読書メモ

・「一流の人は空気を読まない
(堀 紘一 :著、角川oneテーマ21 \705) : 2009.11.15

内容と感想:
 
最近、「KY」なる言葉が流行った。本書のテーマは空気が「読めない」ことではなく「読まない」こと。
 「はじめに」で「空気読み」が必要だったのは欧米を追い上げていた時代であり、その役割は終わったと言っている。 今、必要なのは「新しい空気を創っていける人」だという。 そうした人が歴史をつくっていける。 選択すべきは「空気からの脱出」なのだ。 日本は世界水準に追いついたことで「見本」がなくなった 「自分の頭で考えて、人とは違ったことをやらなければならなくなってきた」、差別化が大事になってきた。
 従って、我々はもう空気を読んでいる場合ではなく、人とは「違う価値観」を持たねば、成長はないということ。 「常識に囚われない」発想とも言える。
 著者は「空気を読めないよりは読めたほうがいいが、読んでばかりいてはいけない」というように、 空気を読むことを全面否定しているわけではない。
 現在の日本の問題として、日本経済が「空気に縛られすぎているからこそ、生産性を上げられなくなっている」と著者は捉えている。 組織が大きくなればなるほどそうかも知れない。官僚化が進んでいるようだ。 その弊害に気づき「同じタイプの社員が集まった組織であることから脱却しようとしている」進んだ会社もあるそうである。
 最後に周りの空気が停滞しているときに「空気を変えようと考えるよりも自分自身を変えるほうがいい」と書いている。 周りの人間を変えることは難しいが、自分が変わることで周りも変わっていく可能性がある。 そうしたマインドを持つ人が増えてくれば、もっと日本は良くなる。

○印象的な言葉
・空気読みの達人、迎合主義
・空気が会社を作っている (→社風、風土、和)。
・ムラ社会意識。「周囲と同じ」であることに居心地の良さを感じている。そこには嫉妬も生まれる
・能力主義から貢献主義
・プライドと自惚れの違い
・チャンスは創るもの
・「空気」は妖怪、超能力。科学的手段や論理的論証も無駄(山本七平)
・犬死するより、生き永らえることで別の形で国に貢献できることもある
・徳川時代と明治初期の指導者は「空気」に支配されることを「恥」としていた
・疲れ切って誰も何も言えなくなるまで議論して意見をまとめる。そうなれば一致団結する。それが本当の「和」
・空気を読むのは批難を恐れる、孤立する勇気がない。保守的、処世術、要領がいいともいえる。無難に平穏でやり過ごす。波風立てない。
・イジメの構図:村八分的な状況
・サラリーマン集団の日本のマスコミは空気を読んで報道。横並び。偏った世論形成。無気力な空気
・テレビは視聴者の多数決的要望に応える迎合主義、商業主義。大多数の視聴者が考えていそうなことを代弁。
・個人個人の能力など誰にも分からない
・世の中には困ったことのほうが多くて自然。ひと皮剥けるチャンスを得たと思え。それが人生の岐路になるかも。
・負けさえしなければ、その後に何が起こるか分からない
・営業ができる人間になれ。仕事は依頼を受けなければ始まらない
・基礎ができていない子にそのまま教えてもまったく意味がない
・何かを失うことを恐れていては人生はつまらない。安定を放棄してこそ再成長がある
・エリート:大衆のために犠牲になる精神をもつ人間
・努力は周囲の人間の感動や共感を呼ぶ
・一番手と二番手の差は創造性
・チャレンジしない人生は死んでいるのと同じ
・「日本の安い労働力」が求められるようになる日
・空気を読んだ「正しい判断」ではなく「必要な判断」

<感想>
・特攻で散った英霊たち:空気に逆らい異を唱える勇気は持てなかったか?
・当選してから「これから勉強」という議員。単なる数合わせだけに擁立される。→議席を減らせ

-目次-
第一章 職場を縛る「空気」を読むな
 1 「空気」の正体
 2 突破すべき空気!
第二章 空気を読んでいるだけでは生きていけない時代
 1 組織のスペシャリストは必要とされない!
 2 日本を引き離す、「世界」の現実
第三章 社会で生き残るための「自分の磨き方」
 1 会社の中でまずやるべきこと
 2 「努力」を「成果」に変える方法
第四章 チャレンジから掴みとる成功
 1 人生における「勝負時」の見つけ方
 2 「リスク」と「投資」の捉え方
第五章 「同じであること」をやめる
 1 「沈滞」から抜け出す方法
 2 「人生」を分ける決断