読書メモ

・「断る力
(勝間和代 :著、文春新書 \900) : 2009.10.25

内容と感想:
 
我々は「断ること」をしないがために、生産性や成長を阻害し、ストレスを溜めることになっている、と著者はいう。 そこで本書では「断る力」を身に付けるための訓練方法を説いている。
 「断る」というとネガティブ、消極的な印象があるから、つい「断れない」。 しかし、本書では能動的に、上手に「断る」ことで人生をよりよくしていこうとしている。 断るためには実力をつける必要がある。 断ったからには「厳選した仕事」に対するアウトプットの品質を上げることに注力する。 実力を出せないような余計な仕事をしている暇はない。
 誤解してはいけないのは、「断る」は「相手の否定」ではないということ。 交渉する癖、代替案を作って断る癖を付けることが目標だ。

○印象的な言葉
・9割を断る以上、引き受けた仕事は全力投球・命がけ
・アサーティブ:賢い自己主張。相手の権利を侵害することなく、誠実に、率直に、対等に表現。自分も相手も大事にする。
・コモディティでなく、スペシャリティになるための環境を選ぶ
・熱狂的なファンを作る。個性、才能、癖。努力、姿勢。まめ。謙虚。
・嫉妬はあるものと割り切る。受け流す
・嫌われるリスクを取る
・自分が自分のコーチ
・無視できる力
・相手を尊重するからこそ断る
・間違った考え方、間違った社会にNOと言う
・三毒(妬む、怒る、愚痴る)追放
・ToDoリストでなく、「してはいけないリスト」を作る
・事実なんてない。あるのは認識だけ(フィリップ・マグロー)。問題は互いの認識が異なること。
・高い倫理観、国際人としての資質を養う
・日本はハイ・コンテクスト文化:空気を読む、礼、親和を大事にする
・一つの組織に長くいると、その掟や考え方に染まった同調思考に陥る
・内部評価だけの危険性:上司など自分をうまく利用する人のローカルな評価にしがみつく
・依存心が強い人は嫉妬心が強い。他者評価を気にする。
・嫉妬されたら、それは自分の才能が伸びてきた証拠
・攻撃性が高い人は自己承認欲求が強い。本人はそれが事実、正義だと思っており、悪意はない。
・問題解決は本当に解決できるとろこに注力する。過剰対応を防ぐ
・本を読み、気づいたことや考えたことを書くことが思索の訓練
・ファンが求めるものはどんどんマニアックになっていく。一般のニーズからは離れていき、縮小均衡に陥る
・場の空気とは違うことをあえて言い切るだけの力をつける
・メンツを保つためだけの指示は上司・部下の両方にとって不幸
・日本人は思考をサボっている。市民という考え方が希薄。お上が与えてくれたものに文句を言う構造。対案は出さない。
・身体を揺らして緊張を緩める
・できることに限界があることを互いに認識して、互いの能力をどう組み合わせたら上手くいくか模索
・組織としてメンバーそれぞれが責任感をもって実行するのは5〜7人が限界

-目次-
第1章 総論「断る力」の圧倒的な効用を理解する
第2章 ホップ 自分の揺るぎない軸を持つ
第3章 ステップ 相手への建設的な影響力を発揮する
第4章 ジャンプ 「断る力」で、自分と周囲の好循環を作る