読書メモ
・「「国力」会議 〜保守の底力が日本を一流にする」
(浜田 和幸:編、祥伝社 \1,600) : 2009.09.28
内容と感想:
編者が認めた日本の保守政治のリーダー4人(麻生 太郎、石破 茂、平沼 赳夫、与謝野 馨)と、
日本の現状と未来について語り合った討論集(2008年4月頃)。
いずれも自民党か元・自民の名の知れた政治家ばかりだが、一体どんなことを語るのか、語れるのか?
編者は「はじめに」では、日本には多くの「国力」が未開発なまま埋蔵されているという。
果たしてそれが何かと楽しみにして読んだのだが、結局、私にはありふれた台詞しか聞こえてこなかった。
「保守」派を自任する方々だから、特別新しいことを期待しても仕方がないのは当然か?
第4章では石破氏は「国民は聞く耳をもっている」、「政治家が語っていないだけ」と言っている。
政治家は言葉を大切にして欲しい。分かりやすい言葉で、丁寧に国民に語りかけてもらいたい。
○印象的な言葉
・熱狂の中で判断を誤る日本人。全員が賛成している話は熟考の上での結論ではない。
・従米(米国への従属)ではなく、日米連合。媚中(中国に媚びる)のではなく、日中共益。
・我々は1960年代の高度経済成長の遺産で食っているにすぎない
・日本では悲観論を語らないとインテリに思われない
・(国防は)あり得ないようなことも心配しておく。結局、何事もなかったら、それでいい。
・国民をギャンブルに巻き込むわけにはいかない。できるだけベターな道を選ぶことになる
・アメリカからの日本への「年次改革要望書」の「要望書」は、英語では「initiative」。強圧的意味合いがある。
郵政民営化も米国の要望。米国の保険会社が郵貯と簡保の巨額資金を狙っている。
・中国の軍事費の伸びよりも、保有兵器の質、その運用構想を知るのが大事
・外務省のチャイナ・スクール:中国関係のキャリアを有する外交官
・保守:歴史、伝統、文化に立脚したもの。祖国と郷土を愛し、祖先から子孫へ続く長い時間軸に基づいて行動する
・防衛省の大臣がしょっちゅう替わっていてはシビリアン・コントロールが効かない
・自衛隊は軍ではないから、軍法も軍律もない
・日露戦争時、明石元二郎はロシア革命支援工作を行い、レーニンを帝政ロシアに送り込んだ。ロシア革命の数カ月後に日本海海戦で日本が勝利。
・戦後、日本は資源がなくても、人という財産があれば経済は発展しうることを証明した
<感想>
・過疎地ほど家計の電子化が急務。郵便局が減り、年寄りの年金や恩給の受け取りなども大変。
-目次-
1 日本の「国力」は劣化したのか
2 日本国の「国柄」 ―その比類なき特質とは
3 従米でなく、媚中でなく
4 「保守」の思想 ―日本を一流にするために
5 日本国100年の計 ―保守政治が果たすべきこと
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