読書メモ

・「ビジネスマンのための「解決力」養成講座
(小宮 一慶 :著、ディスカヴァー携書 \1,000) : 2009.08.13

内容と感想:
 
ビジネスマンのための「xx」養成講座シリーズ。
 著者は経営コンサルタントとして顧客である企業や経営者の問題を解決してきた。 「ベストの上にもベストの意思決定をするため」に著者なりに積み上げてきたという問題解決のノウハウを本書で紹介している。 問題解決には「問題解決のための考え方」、「論理的思考力」が必要だと言う。 「問題解決の手法やフレームワーク(枠組み)を補助的に使うことによって」、問題は解決しやすくなる。 そうした問題解決ツールとしての手法やフレームワークを事例を交えて紹介し、論理的思考力を鍛えるための訓練法について述べている。
 問題解決のステップは、問題の優先順位付け⇒真因の特定⇒解決策の策定⇒実行。 本書ではツールとしてPPM、ロジカルツリーやディシジョンツリー、パート図、SWOT分析、ABC分析、レーダーチャート、マーケティングの4P(5P)など数多くを取り上げている。 新書だけに紙面が限られているから十分な説明とはいえないが、概念を掴むことはできるだろう。
 ツールを使えれば、それを知らなかった場合よりも「時間を節約すること」ができる、というのは 問題解決に限らず日々、仕事上で様々なツールから恩恵を受けている者なら納得できるであろう。 ツールを使いこなす「技をたくさん持っていたほうがやはり有利」なのは確か。
 経営だけでなく、仕事とは問題を解決することだと思うが、本書は経営者や組織のリーダーが直面しそうな問題に絞り、 解決のヒントを与えてくれる。とにかくツールを使ってみて、慣れて、自分に合ったものを見つけ、使いこなしていくことで 解決力はアップしていくことだろう。

○印象的な言葉
・なぜ?ほんとう?それから?
・ツールに対する慣れ(習熟)と経験からひらめきが生まれる
・解決策の実行には人を動かす知恵と知識と行動が不可欠
・優先順位は時間と状況によって刻々と変わる
・問題=好ましくない現象(UDE)
・緊急度と重要度のマトリクス:緊急度も重要度も低いところに重要な「問題の芽」が潜んでいる
・ダウンサイドリスク(最大限被るであろう損失)を最小限に抑える
・問題解決にかけられる資源(ヒト、モノ、カネ)には限界がある。資源配分
・事実情報の収集と必要最低限の情報の提供。進展がある都度、適時、情報を流すことで苛立ちは収まる
・対策がうまくいかなかったときの次善の策
・自分ならどうするか、自分なりの優先順位付けや対応策を考えてみる
・優先順位を決めることが戦略の根幹
・優れた経営者やリーダーは大胆なようで、実に細かい。問題の芽を細かい芽のうちに把握する感度が高い
・ロジカルツリー分析:組織や風土の問題が出てくる。経営者の姿勢の問題も出てくる。ツリーにループ(ネガティブ・ループ)が現れる。 ループが現れないと根本問題がどこか分からない。
・対応可能性の検討:限られた資源の中で自分たちで対応できるのか
・十分な情報がない中で簡単に結論を出してはいけない。結論を出すには情報が少なすぎると感じることが重要。 時間的・経済的制約のため完璧なデータを集めるのは不可能だが、失敗の確率をある程度まで下げられる
・プロコン・リスト:それぞれの解決策の良いこと・悪いことを書き出した一覧表。みんなで話し合う。複数の視点で考える。話し合いの中でみんなが納得する。
・ディシジョンツリー:それぞれの解決策のうまくいく確率(仮説、想像)と期待する結果を示す。それぞれの結果に対応する策も考えておける。覚悟を決められる。
・「自分がやらなければ!」と思えるとき人は動く
・ディスカッションによって意識が共有され、モチベーションが醸成される
・マーケティングの4Pは売り手の視点、マーケティングの4Cは買い手の視点
・SWOT分析:強みを活かして機会にしているか、弱みが脅威になっていないか。重要度を加えることで優先順位も決めていける
・PPM:市場の成長率と競争力(マーケットシェア)をマトリクスにしたもの。「金のなる木」で得た収益を「問題児」に投資し、「スター」に育てるのが原則。
・ABC分析:重要なものから順に並べ、3つにグループ分け
・レーダーチャートが役立つのは比較対照群がある場合
・バカの壁:問題解決を妨げる壁。分かったつもりになってしまう。それより奥の世界があることを知らない。
・ひらめきとは頭の中の棚が開くこと。棚をたくさん持っておく。関心の幅を広げておく。日ごろからインプット(水平方向・垂直方向)を続ける。
・古典には普遍的な価値観がある

-目次-
第1章 問題を特定し、優先順位を付ける
第2章 「根本問題」を特定する
第3章 「問題」を検証する
第4章 解決策を策定する
第5章 問題解決の実行
第6章 問題解決、コンサルタントの「技」
第7章 問題解決を妨げるもの 解決力を高める習慣