読書メモ

・「自分をグローバル化する仕事術
(天野雅晴 :著、主ダイヤモンド社 \1,429) : 2009.03.16

内容と感想:
 
「自分をグローバル化する」とは何とも不思議な言い回しだ。多分、グローバル化するビジネスの世界で成功するための仕事術を言い換えたのだろう。 グローバリゼーションが進んで世界市場を相手にビジネスをするために世界標準のルールや心構えを知ることは大切だ。
 著者はシリコンバレー在住30年のIT関連ビジネスの経営者。 各章が「××のルール」となっているように著者がこれまでの経験から見つけた成功のための20のルールを説いている。 ルールというと少し違和感を感じるのだが、法則・流儀とでも言い換えてもよいかも知れない。 自己実現のために自分を戒めたり、よい習慣を身に付けるためのルールと考えればよい。 自分の中にしっかりした判断基準を持つためにもこれらのルールは役立つだろう。
 シリコンバレー・スタイルが世界標準かどうかは私には分からないが、世界には多様な文化的背景を持つ人がいて、多様な考え方を持っていることを 知っておくことは基本であり、交渉ごとをうまく進めるためには互いを理解しようと努め、認め合おうとすることが第一歩である。
 本書には「押し付け」がよくないという記述があったが、確かに日本流を押し付けるのはよくない面もあるかも知れない。 日本流も決して悪いことばかりではないのではないのだろうか?何でもかんでも世界標準がいいとも限らない。 良いものは良いと日本人も主張して、世界に説明して理解してもらうよう努力すればいいのだ。それが著者もいう多様化社会(世界)だから。

○印象的な言葉
・外向きのマインド
・穏やかな気持ちとゆったりとした口調で
・相手を立てる
・自分流を押し付けない、相手のスタイルも認める。対等姿勢
・脳は理屈より感情を優先させる
・罪文化の考え方:判断の拠り所は自分自身にある。自分自身の倫理観に根ざした判断基準を持つ。←→恥文化:判断基準が自分の外にある
・リーダーが決断し、メンバーはそれに従う。メンバーは自分たちの意見を吸い上げてもらうために意見を出す。
・良い戦略は十分な時間と心の余裕から
・一つの問題を着実に決着させてから前に進む。マルチタスクではなかなか答えは出ない
・共有体験が強固なネットワークを作る
・学会に参加
・個人名でつながる
・頼まれたときがチャンス。依頼を引き受けることがネットワークを強固にする。日ごろから真面目に仕事に取り組み、コツコツと実績を作っておく。
・チャンスは社外にある
・知らないところに出掛けることでネットワークが広がる
・文句や要望も事態を良い方向に進めようとする気持ちから
・来客にコーヒーを出すのは押し付け。必要か尋ねるべき
・自分をしっかり持ち、責任を取る覚悟があれば、自由に自分のやりたいことに邁進できる
・ぐずぐずしているとチャンスは逃げてしまう。スピードが要求される。まずはアクション。チャレンジしないでじっとしているほうがリスクが大きい。
・直感を信じる。直感は自分が思うよりもレベルが高い
・交渉では相手が何を大事に思っているのかを探ることが重要
・シリコンバレーでは明日、職を失う可能性はみんな平等。クビになった経験をもつ人も少なくない。いつ何が起こるか分からない。
・目標を決めるのは休日の朝。リラックスして、精神的に余裕がある。目標はビジュアル化する
・チャンスはその場では気づかないことが多い。ダメもとで兎に角やってみることで情報も入ってくる
・社員が会社にいる間は、その社員の能力が会社の価値。経費を惜しんで社員を成長させられなければ会社の価値も魅力も下がる。優秀な人材が集まらない。
・会社の壁を越えてお互いに支え合い、共存共栄していく
・何かあったら連絡してください。いつでもお手伝いします。

-目次-
第1章 コミュニケーションのルール
第2章 判断と実行のルール
第3章 目的達成のルール
第4章 自分磨きのルール
第5章 チャンスをつかむルール