読書メモ

・「「脳にいいこと」だけをやりなさい!
(マーシー・シャイモフ:著、茂木健一郎 :訳、三笠書房 \1,400) : 2009.02.11

内容と感想:
 
冒頭の「訳者のことば」には茂木さんの解説が書かれている。 「脳がそれをどう評価するかによって幸せ度は決ま」るという。 つまり「幸せ」かどうかは自分の脳が決めること。脳の働かせ方しだいで幸せ度を増大させることができるのだ。
 本書は幸せを感じるための7つのポイントを挙げて解説している。 自分の脳の状態を知るための自己診断や、脳を活性化させたり考え方を改善するためのエクササイズなども紹介している。
 脳には「楽観回路」というものがあることを初めて知った。 その回路が「うまく回っていないと、脳にある他の回路も働いてくれ」ないのだという。 だからポイントの1つとして「ポジティブ回路」を作る方法について3章に書かれている。 ネガティブ思考の人に対しては2章に、考え方を変える方法が書かれている。
 5章では食事や運動、生活を通して肉体的な改善を行い、健康になる方法を説いている。 4章では愛情表現の効用を、6章では瞑想法を、8章では人付き合いの仕方などを延べている。 それらを実践し習慣化することで、より多く幸せを感じられる人生を送ることができると期待される。
 脳内では幸せを感じる化学物質が作られているというのも本書で初めて知った。運動にはその物質を増やす役割があるそうで、 身体を動かすことは単に肉体的な健康だけでなく、脳や心にも効果があることを再確認した。 本書は脳科学の研究の成果をうまく応用していて実践的である。科学的なデータにもとづいているから安心できる。 よりよい人生を送るための智恵に満ちている。
 1章の幸せ度テストをやってみたところ私は「かなり幸せ」と判断されたのでホッとしたのだが、 私だって落ち込むこともある。そんなときは本書を読み返して、エクササイズをするなり、楽観回路を元気にさせるようにしたいと思う。 世界の幸福度をアップさせる良書である。

○印象的な言葉
・人間は客観的な事実よりちょっと楽観的に物事を見る傾向がある
・分かち合い:利他的な行動が自分の喜びにつながる
・直感と「何となく」はけっこう正しい
・常に揺るぎない充足と喜び、心の平安を感じる
・困難も自分に必要だから起こったと考える。そこから何か学べるはず。宇宙が自分を成長させてくれている
・無駄なあがきにエネルギーを使わない。今できることにエネルギーを注ぐ
・感謝、小さな進歩を喜ぶ
・不平のない世界をつくる取り組み。紫色のリストバンド(ボウエン牧師)
・エネルギー心理学のエクササイズ「Mパワー・マーチ」、人体にはエネルギーの通り道がある
・ネガティブな考えが脳内の憂鬱や不安を引き起こす部分を刺激する
・ネガティブなものはポジティブなものより、脳に強烈なインパクトを与える。アドレナリンなどのストレスホルモンが強い記憶を生み出す
・DNAはその人の考え方に影響を受ける
・感情は大きく「愛」と「恐怖」に分類できる
・感謝の日記、感謝の儀式
・怒りや拒絶の感情が病気や悪癖を生み出す要因
・他人の幸せを願う、何をしてあげられるかを考える
・脳で作られる幸せの化学物質は日々の行動で増やすことができる。運動の後には幸せの化学物質が増えている。爽快感は5倍。 運動には不安を取り除いたり予防する働きがある。
・人智を超えた大きな力、大きな愛と英知の存在を信じ、流れに身を任せる。生きていることへの感謝と驚きと畏敬の念。
・いつでもどこでもできる瞑想法「ポーズ・プラクティス」:ただ立ち止まって今を感じる
・自分が今できるだけのことをして、あとは大きな力に任せておく
・他人を励まして最高の人生を送ってもらう
・女性は男性よりも他人とのつながりを求める傾向がある。結びつきのホルモン
・他人を変えたいと思うなら、自分が手本を示す
・歴史上の偉人たちの名言や写真に囲まれて暮らす。彼らから励まされる。最強のドリームチームがサポートしてくれる

-目次-
1「脳の使い方がうまい人」には7つの特徴があった!
2 簡単で効果抜群の脳の「大そうじ」!
3 脳に「ポジティブな回路」をつくる法
4「脳が一番喜ぶこと」を毎日する
5 脳細胞が元気なら、何でも思い通りに!
6 夢を楽々実現する、ハイパーエネルギーの秘密!
7 眠っている才能を目覚めさせる脳の刺激法
8 こんな人とつき合えば、脳はいい刺激を受ける