読書メモ
・「恥の殿堂」
(落合信彦 :著、小学館101新書 \720) : 2009.12.06
内容と感想:
日本には恥を知らない政治家が多過ぎる。日本は「恥の文化」といわれるが、戦後日本人は忘れてしまったのか?
世界中の恥知らず達に、著者は(親切心から)「恥知らず!」と糾弾する。
自分も含むが、自分のことは棚に挙げて、他人を批判する人は多いが、とりあえず息抜きの読み物としては面白い。
皆、自分の行為を恥ずべき行為と自覚してやっているわけではないのだろう。
自分なりに信念を持ってやっているのだろう。
「利己的な遺伝子」という本があったが、基本的に人間はみな利己的だ。
自分が可愛い。
多分、恥だと感じる基準が人それぞれ違うの。
しかし、基準が低すぎると、影響力のある人だからこそ、その行為が与える影響が大きい。
世が乱れる。
恥の観念は必要だが、いちいち恥かどうか迷っていたら、外にも出られない。
人はどこかで折り合いを付けて生きている。
人それぞれ信じるものは違うかだろうが、天(神や仏かも知れないが)は誤魔化せないと思えれば、恥ずべき行為も思い留まれる。
本書ではタイトルが示す通り、様々な「恥」が展示物のように登場するが、行き着くところは教育の問題なのかとも思う。
無意識レベルで恥か否かを瞬時に判断できるような、道徳教育が必要なんじゃないか?
○印象的な言葉
・サブプライム危機で、国民の税金で救われた金融機関の社員たちが法外なゴーナスをもらっていたのを知りながら、米国議会は何の手も打たなかった。
ウォール街から献金が止まるのを恐れた。
・業務時間中に組合活動に浸るヤミ専従者たち(公務員)。その分の給料は支給されている。税金泥棒だ。
・忠臣蔵の話の核となるのは、恥と忠義と復讐
・政治家にも一般常識試験と知能指数テストを。ボランティアを経験しろ
・毒害垂れ流しのバラエティ番組
・スポンサーを気にする広告代理店とテレビ局の弱腰
・米国の医療保険制度は医者と保険会社が患者を食い物にする制度
・TVキャスターは、取材経験も専門性もない素人の思いつき放言。物知り顔で話す
・一人の女も幸せにできなくて何が政治家だ(米国政治家ジェームス・ウォーカー)
・恥ずかしい政治家を国会議員に選出した国民も恥じるべき
・テレビカメラの視線には侮蔑が込められている。道化として蔑んで見ている。
・大統領に恥をかかせても国家国民には何のプラスにもならないというモラル
・大統領という名誉ある存在をみんなで守る。大統領の恥は子供たちに伝えるべきでない
・日本のマスコミには政治家を批判的に扱えば安心、という風潮が溢れる。批判だけで自己満足に陥っている
・英国国民は公共放送が政権を厳しくチェックするのは当たり前だと考えている
・21世紀はテロの世紀
・二十代は冬の時代。黙々と力を蓄える。満を持して三十代という芽生えの春を迎え、蓄積した力を思う存分発揮する
・自ら命を絶つことは、自分にとっても残された家族にとっても不名誉
・必ず自分の時代が訪れると信じる
・権利を主張する前に義務を果たせ
・殺人者を生み出すのは親の恥、教育の恥。教育の間違いはボディブローのように利いてくる
・他人に対する優しさと余裕
・捨てられたペットを教育に活かす。心に闇を抱えた子供たちにペットを与えて、(ペットに)自分を必要としてもらえる喜びに気付かせる
・日本人はスポーツ選手に侍のような孤高の精神を求める。それが重苦しい悲壮感を漂わせる
・本当のアスリートは存在自体が神々しく美しい
・一人の人間の権利が脅かされるなら、すべての人間の権利は減少する
・ベトナム戦争で米国兵士は辛い帰還を味わった。人殺しと罵られ、帰っても職がなかった。心のケアも行なわれなかった
・「金融専門家」という矛盾語。本当に専門家なのか?
・デリバティブが暴走する法的枠組みを90年代に作ったのがルービン、サマーズ、グリーンスパン。
・弁護士の数はその社会が安定化しているかどうかのバロメータ。
・とんでもない発想や、常識を覆すようなアイデアは自由な雰囲気の中でしか生まれない
・人の心から生まれたグリード(強欲)を克服するのは、心から生み出すモラルから
・転落して貧乏になっても「知足安分」の精神で生きる
<感想>
・スポーツ選手の草食系度合いは?
-目次-
第一章 日本編
政治家の恥
マスコミの恥
親の恥
若者の恥
教育の恥
スポーツの恥
第二章 世界編
アメリカの恥
中国の恥
独裁者の恥
終章 人類の恥
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