読書メモ

・「Google経済学 ―10年後にトップに立てる新経済学入門
(柴山政行 :著、フォレスト出版 \1,400) : 2009.03.15

内容と感想:
 
Googleの決算書を分析し、その強さの秘密に迫る、と謳う本 しかし実際にGoogleを分析しているのは最初の2つの章のみでがっくり。 Googleについての記述は私にはほとんど知っていることばかりで新たな発見はなかった。 それでもタイトルに「経済学」とあるように経済や金融の話題、財務諸表の読み方などは勉強になる。

○印象的な言葉
・徹底無料サービス、ネット不動産
・損益計算書のポイント:売上高、営業利益(本業の儲け。5%以上が健全経営)、当期純利益(業績の最終結論。配当の財源)の3つのみ。
・2007年12月期のGoogleの営業利益は30%(平均的な企業で5%)で利幅が大きい。 1998年創業からわずか8年で年商1兆円突破。
・貸借対照表:万が一不況になったときの反発力を測る。日本企業では借金は総資産の7割くらいが標準。自己資本比率は30%以上あればOK。
・MSのビジネス:基幹ソフトの普及および更新によるリピート販売が主力。ビジネスモデルはパソコン出荷台数の推移と運命を共にする
・インターネットに不可欠な要素:質の高い情報に無料で短時間でたどり着けること
・ヤフージャパンの売り上げはヤフーの全世界の売り上げの3割以上(2006年)。
・ネットサービスではメリットを「お試し」などでじっくり利用させ、理解してもらうことが大事
・豊富なコンテンツのわりに売り上げがあがっていない会社がM&Aのターゲットとしておいしい
・従来の投資・ビジネス感覚では投資額は20年で回収できれば悪い話ではない
・M&A成功の条件:相手の持つ経営資源の活用、シナジー効果、相手の従業員との友好関係の構築
・企業規模が大きくなれば社会的存在としての世間への影響力が高まる
・オプション取引:オプション料(買う権利、売る権利の料金)の範囲で万が一のときの損失を限定させる取引。 予想が外れても権利行使をせずにオプション料を諦めるだけ。先物取引よりリスクを軽減しやすい。
・金利スワップ:固定金利を受け取り、変動金利を支払う取引。自分とは反対の予想をしている者がいれば取引は成立。
・天候デリバティブ:天候不順により生じるリスク軽減が目的。実際の損害がなくても気象データが条件を満たせば補償金が支払われる
・世界では年間7800万人規模の人口増加
・世界で8億人以上が飢餓状態(栄養不足で体調維持が困難な状態)。サハラ以南の南アフリカに集中し(2億人弱)、3人に1人が飢餓状態。 アジア地域では5億人が飢餓状態。
・世界の食糧生産総量は世界中の人口を養うに十分。豊かな国は必要以上の食糧お輸入している。
・東京23区の家庭から1日に捨てられる食物は、アジアの20万人以上が1日に食べる食糧に相当
・今後CO2排出権取引を原資産とした先物取引やオプション取引が開発されるだろう
・2005年、日本であ前年比で人口がマイナスとなった。歴史的事件。
・東京・大阪・名古屋の3大都市圏には日本全体の45%に当たる人口がいる。3大都市圏が占める面積は日本のわずか6.2%。
・74歳以下の100人に95人は介護要らず
・ジニ係数:0.2〜0.4が一般的。0.5を超えると格差が激しい。
・日本人の金融資産:一人当たり1,200万円。その5割が現金・預金。そのうち444兆円が定期預金。
・超低金利政策は預金者の利息収入を奪って金融機関に付け替えている面がある
・預金金利を2%上げるだけで家計は20兆円の利子収入となり潤う。利子収入の2割を税金として取れば税収は4兆円増える。実質的に消費税2%アップと同じ効果がある。 (消費税の税収は10兆円)
・経済の本質:限られた資源や財産を、みんなが一定の満足を得られるように上手に配分するにはどうすればよいか、を考えること

★ネタ
・ネットなら小規模な会社でも数万人の読者を持つメディアが作れる。
→ニッチ、マニアック、お金持の層に絞ったビジネス。少ない顧客で高収益。息が長く、顧客と一緒に成長するビジネス

-目次-
第1章 グーグルのすごさを知れば、近未来のビジネスが見える! ―グーグルの決算書を解剖しよう!
第2章 なぜ、グーグルが勝つのか? ―グーグルから見えた!新・経済学のキーワード
第3章 金儲けのキーワードはグーグルで探せ! ―証券化、デリバティブなどを知っておこう!
第4章 グーグルニュースから学ぶ世界経済の行方 ―「資源高」「人口増加」「食糧問題」「エコ」で世界経済は大きく変わる!
第5章 グーグルニュースから学ぶ日本経済の行方 ―「人口減少」「格差」「財政不安」「低金利」が日本を動かす!
特別付録 グーグルを使い倒そう! ―できる人はグーグルをこう使う!