読書メモ
・「人トム・デマルコの「プロジェクト管理」がわかる本」
(吉平 健治 :著、秀和システム \700) : 2009.03.01
内容と感想:
「ポケット図解」シリーズ。
トム・デマルコのプロジェクト管理手法のポイントを、彼の著書「ピープルウエア」、「デッドライン」、「熊とワルツを」を
もとに図解で解説。
トム・デマルコの思想はソフトウエア開発が「人ありき」であることが根底にある。だからプロジェクト管理手法も人と人との関係を重視し、
「開発者主体」になっている。
デマルコの本を読んでいない人は管理者も管理される側も、手っ取り早くポイントだけは抑えることが出来るから読んでみて欲しい。
「ピープルウエア」、「デッドライン」は既に読んでいたから復習になった。
「熊とワルツを」ではリスク管理の重要性を説いており、本書でもそのエッセンスだけが紹介されているが、私は「熊とワルツを」は未読であったから、
第6章、7章ではリスク管理手法の概要を掴むことができた。和訳も出ているから全文を読もうと考えている。
○印象的な言葉
・品質第一主義:開発者の自尊心。最高のものを作り出したい、という根本的な欲求
・プロジェクト失敗の原因:社会学的な問題により引き起こされる。意志疎通、意欲の欠如、不信感
・管理者の役割:部下を働く気にさせること
・WBSやガントチャートなどはハード的で表面的なテクニックだが、対応できる問題が限られている。本当の問題には役に立たない。
・開発の生産性には企業間で10倍の開きがある。それは企業文化、仕事場の環境に起因
・生産性を上げるには集中できる時間を増やしてあげること
・スカンクワーク:通常業務とは異なったことを陰で行なう。自由な研究
・プロジェクトの成否はチーム編成の時点でほとんど決まる
・採用では応募者同士の議論を観察することでコミュニケーションスキルを測れる
・退職者の埋め合わせにかかるコストは経理上の数字には現れない。埋め合わせには2年かかる
・自分の直感を信じる
・怒りは恐怖(不安)の別の表現
・バグはモジュール間のインターフェースに存在することが多い
・プロジェクトの初期の全体設計作業は、少数精鋭で行なうほうが効率的
・残り作業が全体の1/6になった時点で人員を多く投入するのが理想
・リスク:起きてほしくない悪い事態。望まない結果を生むもの、もしくはその結果そのもの。
問題はリスクから発生する。問題が発生することを「リスクが実現する」という。その兆候を(リスク)移行指標という。
・リスクの最小化。負けの程度を抑える。
・リスク図:プロジェクトの不確定性を確率分布で表わす
・risk exposure:リスクがどうのようなものかを明確にする(発生確率、兆候の把握、発生後の問題の規模)
・要求仕様の変更(の増大幅)をリスクとしてあらかじめ見込んでおく
・ショートストッパー:実現したら必ずプロジェクトが中止してしまうリスク要因。競合他社が同等の製品を前倒し出荷してきた、法律が変わった、等。
・管理者のプロ意識「4Pモデル」:熟練、普遍的、公言できる、約束を守る
-目次-
第1章 プロジェクト管理は心の管理
第2章 生産性を向上させるオフィス環境
第3章 チーム力を上げる
第4章 プロジェクトを成功させる組織
第5章 デマルコのプロジェクト管理術
第6章 ソフトウェア開発におけるリスク管理
第7章 リスク管理の手順
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