読書メモ
・「ブレない生き方 〜自分に軸を通す」
(齋藤孝 :著、光文社 \1,300) : 2009.10.26
内容と感想:
日本史上の偉人12人を選んで、彼らの伝記や自伝から「心のやりくり」のヒントを紹介する本。
「あとがき」にあるように、「事を成し遂げた人の人生をたどると、元気になる」。
うまい伝記・自伝を読むと、フィクションではないだけに余計に感情移入するもの。
「人の苦難は心の肥料となる」とも書く。先人が失敗したこと、それをどう乗り越えたかを知ることができれば、
後世の人間は同じ失敗を繰り返さなくてもすむし、失敗しても対処できる。
ノウハウが蓄積され、継承されると、豊かになれる。楽ができる。
彼らの苦労を知れば、「自分の苦境などまだまだたいしたことはない」と元気も出る。
12人分のダイジェストだから、彼らの生き方を効率よくポイントだけ学ぶことができるだろう。
ときの総理の発言が「ブレたの、ブレないの」と批判されることがあった。
一国の総理がブレていては国家、国民は振り回されることになる。
彼らも先人たちの言葉を読み返してはどうであろう。
○印象的な言葉
・根を地平深くに張りながら、強風をしなやかに受け止めていく大樹の安定感
・人を相手にせず、天を空いてにせよ
・伊達政宗には「保身臭」がなかった
・お友達感覚、馴れ合い、ぬるま湯
・唯一の師は造化(創造主、自然や宇宙そのもの)
・自然はいつでも傑作を作る(ロダン)
・ジャンルにこだわらない。
・尊敬できる人物に学ぶ。その人のエネルギーをもらう
・「代表的日本人」(内村鑑三)
・臍下丹田が天と地の結び目。自身が天と地と一体化。腹で判断。
・西郷隆盛の凄さは「大胆識」と「大誠意」(勝海舟)。西郷はエネルギーセンター。皆の気持ちやエネルギーが集まってくる。
・「自分」ではなく「お客さん」から出発する
・貸した以上、払ってもらうことを考えたことはない(菊池寛)
・理を頭に入れて練習すると上達が早い。理業(理論と練習)は車の両輪。
・千葉周作の功績は情報の整理・公開による剣術の近代化。わかりやすい教え方、合理的な練習
・名選手は自身のプレーを言葉にできる。理で語ることができる
・伝記とは一流人が「スタイルを見出したプロセス」を記した書
・戦略は「得意技を組み合わせること」で組み立てる
・的を絞り、そこだけを見続ける。他人が捉えてこなかった細部が見えてくる
・失敗しても次にいけばいい。自分のための表現ではなく、相手のリクエストに応えればいい。
・自由人:結果に対する恐れがないから、自由な発想も生まれる
・風のように軽やかに、どこからともなくやってきて、あてもなく去っていく
・アマチュアであることを誇る。アマチュアだからこそ学問に専心し成し遂げた
・安易な満足を得ようとはしない。知の世界を深く掘る。ダイバー。深海魚。
・独立できないくらいなら不満は言うな
・本質を見極め、成功モデルを持てば、スケールアップは難しくない
-目次-
ピンチを切り抜けるリスク処理能力 ―伊達政宗
退路を断ち、単独者として生きる ―葛飾北斎
上司に見込まれる力 ―北里柴三郎
左遷に強い、折れない心 ―西郷隆盛
需要を嗅ぎとるマーケティング術 ―菊池寛
究極のコーチング ―千葉周作
人の目を引くプレースタイル ―藤田嗣治
人を呼ぶマルチな才能とプロデュース力 ―平賀源内
自分の世界に没入する ―南方熊楠
「評価されない」をパワーにする ―森鴎外
自分本位でなく、仕事本位 ―高橋是清
小さな成功をモデル化する ―豊臣秀吉
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