読書メモ
・「チャン・キムとモボルニュの「ブルー・オーシャン戦略」がわかる本」
(中野 明 :著 、秀和システム \600) : 2009.05.02
内容と感想:
いま最もホットな経営戦略論が「ブルー・オーシャン戦略」。
目や耳にしたこともあるのではないだろうか。
本書はその経営戦略論の原典、チャン・キムとモボルニュの「ブルー・オーシャン戦略」の
エッセンスだけを取り出し、図解により解説した本である。
原典を読んでいる最中に本書が出ていることを知って、概略だけでも先に押さえておこうと考え、手に取った。
(従って原典は読みかけのまま放置されているが)
「ブルー・オーシャン」とは、市場が血で赤く染まる競争の海をイメージさせる「レッド・オーシャン」とは
対立するイメージである。そのブルー・オーシャンとなる市場を創造していく戦略が「ブルー・オーシャン戦略」である。
その戦略は、従来の競争を前提とした「競争の戦略」(ポーター)からの発想の転換であり、競争を無意味にする。
また、従来のセグメンテーション重視のマーケティングからも距離を置き、脱セグメンテーションを目指す。
「ブルー・オーシャン戦略」のもう一つの特徴は戦略策定の手順が細部まで構築されていることと、
その手順に効果的なツールが用意されていることだ。
ダイジェスト版の本ながら、「戦略キャンパス」と呼ばれるツール等の使い方も例(自社のWebサイト)を挙げて説明していて、
ざっくりとは理解できるだろう。
そのブルー・オーシャンも安泰なのは10〜15年という。
ブルー・オーシャンもいつかはレッド・オーシャン化するのだ。
企業活動を持続していくためには、そうなる前に「競争の戦略」を推進していく必要があり、レッド・オーシャン化が進展してきたら、
新たなブルー・オーシャンを創造するべく「ブルー・オーシャン戦略」を推進していくという繰り返しになる。
具体的な事例などは原典のほうが圧倒的に豊富だから、原典のほうもチャレンジするとよいだろう。
○ポイント
・バリュー・イノベーション:かつてない価値を提供しつつ、既存市場の境界を再定義。差別化と低コスト化の両立を目指す。
→買い手にとって価値のないイノベーションは技術的な発見や発明で終わる。
・マイケル・E・ポーター「競争の戦略」。「5Fources」(5つの競争要因)
・コア・コンピタンス:中核的能力
・ランチェスター戦略:強者の戦略と弱者の戦略
・戦略キャンパスと価値曲線:過剰奉仕や一貫性の欠如、矛盾などを分析。集中・独自性・メッセージ。メリハリのある価値曲線。
・非顧客に目を向ける
・代替産業に注目する
・バーティカル(垂直)・マーケティングからラテラル(水平)・マーケティング(コトラー、デ・ベス)へ。
垂直マーケティングは市場境界外の需要を無視しがち。
・アクション・マトリックスと4つのアクション
・ビジュアル・ストラテジーの見本市:複数の戦略キャンパスを比較
・買い手の効用マップ:買い手にとっての効用を生む6つのテコ、購買プロセスにおける6つのステージの6×6のマトリックス。
・価格を前提にしてコストを決定
・組織の4つのハードル:変化を嫌う組織。新戦略の必要性を説く。危機意識。納得。戦略策定における公正なプロセス。
・ティッピング・ポイント(臨界点)・リーダーシップ
・少数者の法則:影響力の大きいある少数の人たち。ハブになる人たち
・敵のいないところを見つけ出す
・ピーター・F・ドラッカー:企業の目的=顧客の創造。そのために必要な機能はマーケティングとイノベーションだけ。
これまでは軸足がマーケティングに振れ過ぎていた。
・新市場の創造は無限
-目次-
第1章 ブルー・オーシャン戦略とは何か
第2章 ブルー・オーシャン戦略が注目される理由
第3章 現状の分析と戦略の方向付け
第4章 戦略策定の具体的手法
第5章 ビジネス・モデルの構築
第6章 ブルー・オーシャン戦略の導入と実行
第7章 持続的成長を目指すために
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