読書メモ

・「あたりまえのことをバカになってちゃんとやる
(小宮一慶 :著、サンマーク出版 \1,400) : 2009.09.22

内容と感想:
 
タイトルは著者がある経営者から聞いた言葉だという。 頭文字をとって「ABC」。人生にはABCが大事、というのが本書のテーマ。
 本書はこれまで私が読んだ著者の本とは随分と趣きが異なる。 これまでは経営コンサルタントとしてビジネスのノウハウを紹介するものが多いイメージだったが、 ここでは著者の人生観・仕事観を語っている。
 第4章の最後で、「あたりまえな状態は、ふつうすぎて、そのすごさをあまり実感することができません」と言っている。 その「あたりまえ」の定義が私には難しくて分からない。 人によってはそのレベルが高いと感じることもあるかも知れない。 その基準を自分で持たないと低いレベルを「あたりまえ」と思い込んでしまうことになる。 レベルの低いことを「バカになってちゃんと」やっても成果は小さい気がするのだ。 成長しながら、「あたりまえ」の基準を少しずつ上げていくべきだろう。
 世の中、いろんな課題があると思うが、著者のいうように「あたりまえのこと」が、 「ちゃんと」やれてないことで起きている問題も多いだろう。 なぜそれが出来ないのか?どうすれば出来るようになるのか?そのヒントが本書には書かれている。


○印象的な言葉
・一つのことを徹底して続ければ続けるほど、徹底の度合いが足りないことに気付く
・小さなことさえ徹底してできない人に大きなことはできない
・わずかな変化に気付く。感度を磨く
・うまくいかないときは「ためどき」と心得る
・成功や幸せは、人を幸せにしたご褒美
・理想を現実に妥協させなければいけないとき失意を生む。そのとき人はエネルギーを失う
・人間は迷う、悩む、振り子のように振れる。振れたときに戻る原点があるか。
・雑事を雑にやるのではなく丁寧にやる。雑事を雑にやる人は雑な生き方しかできない
・人を動かすのは価値観。気持ちを動かさなければ人は動かない。共感できたときに人は動く。心が触れ合う関係。
・人は理屈ではなく、心を受け取りたい。セミナーは理屈を「教える」のではなく、心や考え方を「伝える」。
・「あなたから買いたい」と言われるのが営業のプロ
・人のエネルギー源は自尊心と自負心(自分がいないと困る、自分ならできる)
・フローの仕事も資産化してストックしていく
・自分の持ち物を全部使い切る。自分はもっとやれる、輝ける
・マクロ全体を見て、ミクロに落とし込んでいく
・自分が死んでも、自分が愛した人の中に生き続ける
・技を磨くにはオンザジョブだけでは難しい。仕事の本質を知らなければいけない。OJTで上達するのはあくまで作業。 基本を知らないと現象に振り回される。基本を勉強しないと応用が利かない。
・実戦の中でしか学べないこともある。勉強して、実戦で試す、の繰り返し。
・小さな意思決定ができない人は、大きな意思決定もできない。小さな意思決定を積み重ね、精度を高める。間違わないためには余裕が必要。
・勘や直観力のある人:無数の小さな意思決定を繰り返し、検証してきた人
・夜の女性のいる所には、運のよい人はいない。高い金を払って、運を落とすだけ。
・ニコニコしているとよいことがある(船井幸雄)

-目次-
第1章 人生は「一本のチューブ」である
(チューブの上限につくか、下限につくかで人生は決まる;目の前の課題を天命と思いなさい ほか)
第2章 仕事はABCが大事である
(三時間の努力を惜しむ人は一生損をする;目の前の仕事を深いところまで掘り下げなさい ほか)
第3章 全力をつくすということ
(散歩のついでに富士山に登った人はいない;水中に住んでいる人は水面上の景色を知らない ほか)
第4章 運命のあみだくじの引き方
(偶然は運命が仕組んだものである;人生の節目には「運命の人」があらわれる ほか)