読書メモ
・「会社は2年で辞めていい」
(山崎 元 :著、幻冬舎新書 \780) : 2009.06.27
内容と感想:
やや刺激的なタイトルである。
タイトルの「2年」は「最低2年は待て」ではなく、2年単位で考えろ、ということらしい。
著者は自分の将来の具体的な計画が可能な期間は2年だと考えている。
著者自身、12回転職し、中には失敗もあるという。
「7勝4敗1引き分け」と評価し、転職が「失敗したらやり直せばいい」とポジティブである。
本書は著者なりのキャリア戦略論である。
非正規雇用が拡大し、就職自体も厳しい状況では会社を選ぶこともままならないので、
本書の内容に違和感や非現実的な印象を感じる人も多いことだろう。
内容については肯定も否定もしないが、そういう考え方もあるのだと知ることには価値がある。
著者は転職によって「失った評価や信用もある」が、
「自分の進路を選んだという充実感」、「自分の運命に対する責任を自分で握るスリル」があると書いている。
失敗もあったが、トータルでは勝っていることの自信の表れだ。
ビジネス環境の変化が激しい今、「会社はアテにするにはあまりにも頼りない存在」、
「頼むべきは自分」というのは分かる。
しかしその現実に全ての人がついて来れるのか?世の中は著者のようなタフな人間ばかりではない。
ついていけない者を救う社会全体のセーフティネットの脆弱さをなんとかしなくてはならない。
○印象的な言葉
・就職に失敗があるのは当たり前。合わないと分かったら貴重な時間を無駄にせず、次の機会を試せ
・自分会社を経営する。転職は取引先の変更
・金額は相手から言わせる
・転職:仕事を覚えるため、仕事の場を得るため、自由度を拡大するため
・会社とは他人を使うための仕組み
・余人をもって代えがたい仕事をする
・他人の役に立っているという実感
・他人から評価され、感謝を表される
・仕組みを作る
・知的なチャレンジのある仕事
・人間は自分の持つ資源と時間を使って、幸福感を製造しようとしている工場
・「10年後はかくありたい」というような人物像、仕事像
・「普通のレベル」の上に追加できる能力の価値は非常に大きい。伸び幅が小さくなってから、伸ばすことが難しくなってからが本当の勝負
・「ひとかどの人物」になる
・複数の会社を経験する方が会社というものはよくわかる
・会社は社員の一生に責任を持つ存在ではない。個々の社員の持つ可能性に全て応えられるようなものでもない
・会社は自分の労働力を買ってくれる取引先。魂や人生の全てまで売る必要はない
・人脈:関係が継続的にメンテナンスされていること。年齢の分布、社内外のバランス
・アナリスト:分析し、レポートを書き、プレゼンできるのが「プロダクト」。自分の顧客、ファン
・高尚な消費として楽しむ勉強。知識が人生を豊かにしてくれる
・自分のブランド化:「xx社には○○がいる」、個人的知名度、仕事ぶりが知られている
・肩書きを上げて、ベースサラリーを増やすと、固定コストが大きいと見られて、リストラのターゲットになりやすい。
管理的な仕事が増えて、現場から離れると成果を上げにくくなり、顧客も失う
・副業により収入を補う手段を持つことは社員の当然の権利。
・勤務先以外の社会的な立場を持つことは社会との接触面を増やし、自信になる
・個人の立場で伝えたり、主張したい
・高齢者が安全圏にいて、若者に過大な負担を押し付ける日本の会社のシステムの不当さ
・新卒採用抑制:社員の高齢化を招き、沈滞につながる。未来の発展をリストラ
・適職は出会うもの
・他のいい会社に移ったというポジティブな転職者がいない会社は魅力がない
・より満足度の高い会社を常に積極的に探す
・キャリアの一貫性、もっと高度な仕事をしたい(仕事のレベルアップ)、現在の職場で学べることが物足りない。
自分のペースで、落ち着いて仕事ができる環境。自己表現上の自由度を拡大。視点、活動領域を広げる
・部下の退職に備えていないのは上司の落ち度
・会社は利用するもの。アテにもせず、離れもせず。
-目次-
第1章 今の時代を働く考え方
第2章 人材価値のセルフマネジメント
第3章 会社の捨て方・選び方
第4章 女性のためのキャリア戦略
第5章 転職の実際
第6章 私の転職を振り返る
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