読書メモ

・「ひと月15万字書く私の方法 〜ITジャーナリストの原稿作成フレームワーク
(佐々木俊尚 :著、PHP研究所 \1,000) : 2009.12.21

内容と感想:
 
著者はITジャーナリストとして著作も多い人だ。 本書では彼のその多作の原動力となっている、原稿作成ノウハウを披露している。 「まえがき」では書籍や雑誌、ウェブサイトへの投稿などに書きまくれる秘密を、 「ITの強力なツールによって、徹底的に構造化された原稿作成のためのフレームワーク群を実現しているから」と書いている。
 本書では肝となる3つのフレームワーク「情報集約」、「構造化」、「物語」と、 次の5つのツール、Evernote、delicious、Mind42、WZ Editor、ドキュメント・スキャナを紹介して、 それらを駆使して実際にどのように原稿に仕上げていくのか、事例を示しながら解説している。
 ポイントだけ書くと、原稿作成は、まずテーマの設定から始まって、上記の3つのフレームワークに従って流れ作業のように行なわれる。 構造化フレームワークでの作業で原稿の骨格はほぼできあがる。この作業ではマインドマップを使用する。 更にこれに物語フレームワークを用いて肉付けしていく。 出来上がったマインドマップをテキストに変換すれば、ほとんど原稿に近い形になる。 あとは分析の論考を深めたり、まえがきを付け加えたりして完成度を上げていくのだ。
 第5章で原稿を書く上で最も大切なこととして、ソース(情報源)とロジック(論理)の2つを挙げている。 説得力のある論文やレポートを書きたいと思っている人は必読だ。もの書きを目指す人には小説を書くのにも応用できそうだ。 うまく仕組み化されているので、これなら誰でも著者に近づけるかも知れない。

○印象的な言葉
・タグを使った情報整理。複数のフォルダにまたがるような情報の整理に便利。タグの数は適正な規模にコントロール
・構造化フレームワーク:第1グルーピングで大雑把に項目別に分類、第2グルーピングで「現状・課題・仮説」に分類。 課題は「何が困っているのか」、仮説は「将来の可能性や願望」
・物語フレームワーク:現状→現状分析→現状の課題→仮説→仮説の分析→これからの戦略(結論に近い)
・deliciousでサーバへブックマークを記録。Firefoxのアドオンがある
・Mind42:マインドマップ作成の無料ウェブサービス
・iGoogle:ブラウザのトップページを好みで作れる、パーソナライズ・サービス。delicious、Evernote、Gmailもウィジェットとして組み込める。
・Evernote Web Clipper:ログインしないと読めない記事や時間が経つと削除される記事も即、保存。Firefoxのアドオン。
・Office製品の文書もPDF化して集約
・SpotUS:市民出資のジャーナリズム。ベンチャービジネス
・マインドマップ:中心のテーマノードの下に項目ノードを書き、更にその下に情報ノードを書いていく(第1グルーピング)。 更に現状・課題・仮説の3つの項目ノードを追加して、既にある情報を移動し、この3つのどれかに集約させていく 更に、ここへ疑問・反論・評価・実現可能性・理由の推測・補足などをコメントで追加。
・ターゲットを絞り、相手との共通土台を探る
・インパクトのある前書き、信頼感、読後の余韻

-目次-
第1章 なめらかに原稿を作成するための3つのフレームワーク
第2章 たった5つのツールで完璧な原稿はできあがる
第3章 情報集約フレームワーク
第4章 構造化フレームワーク
第5章 物語フレームワーク