読書メモ

・「10年先を読む長期投資 〜暴落時こそ株を買え
(澤上 篤人 :著、朝日新書 \700) : 2009.07.19

内容と感想:
 
「はじめに」にもあるように、著者は「5年先、10年先の世の中をイメージして、お金にゆったりと働いてもらう」というのだが、 どうしても長期投資に違和感というか信用を置けないのは、国内企業に限って見れば、 今後、日本経済が拡大発展していくことが期待できないからだ。 5年、10年も待てるのは一部の優良企業に限られるのではないか? そういう企業の株価は既に買われて割高なのではないか、と思ってしまう。
 著者は株式や投信を中心に長期投資を勧めるのだが、具体的な銘柄選択の手法などには触れていない。 基本は「自分が応援したいという会社を買う」である。言うは易しだが、応援してもすぐに潰れてしまっては意味がない。 選択眼が必要だ。投信の選び方については第4章にヒントが書かれているが、本全体としてあまり得るものはなかった。

○印象的な言葉
・将来どんな社会を築いていきたいのか。自分の将来像と同じ方向に向かって経営努力を続ける企業を選び集中投資
・長期投資に参加することで社会をよくする
・損切りはないが「縁切り」はある。見込み違い、社長の交代、応援する理由の消滅
・インフレ時には物価上昇が金利の上昇より先行する、預貯金は急速に目減りする
・真面目に働いていれば人生設計に何の狂いも生じない幸せな時代はもう過ぎ去った
・約700万人の団塊世代が巨額の退職金を手にする
・運用リターンには物価上昇に2〜3%上乗せした年5〜6%を目標にしたい
・子や孫にどんな社会を残してやりたいのか。5年先、10年先もずっと必要なものは何か
・株主は会社の成長を気長に待てる人にお願いしたい
・夏休みは穴場の買い時。理由もないのに売りが出やすい
・日本には長期間、顧客満足度の高い運用実績を残している投信は数えるほどしかない
・インデックスファンド:運用やリサーチに多額の費用がかからない
・成熟経済の経営をいちはやく実行している企業の大半は輸出関連企業。先行浮上組の懸命に追いかける第2グループの企業群の業績向上はやがて来る

-目次-
第1章 投資で暮らしを守る時代
第2章 長期投資は難しく考えない
第3章 長期投資を実践しよう ―株式投資の巻
第4章 長期投資を実践しよう ―投資信託の巻
第5章 長期投資の先に広がる世界