読書メモ

・「オブジェクト指向でなぜつくるのか
(平澤章:著、日経BP社 \2,400) : 2004.12.11

内容と感想:
 
日経BP「なぜシリーズ」の第五弾。
 「オブジェクト指向」が冠せられているが、内容はオブジェクト指向プログラミングだけに留まらない。オブジェクト指向という思想は今や、C++といったプログラミング言語レベルの話ではなく、「ソフトウエア開発技術全体をカバーする重要なテーマ」となっていることが本書では述べられている。
 開発プロセスのうちプログラミング(実装)について語られているのは第3章から第6章のみで、第8章から第11章ではより上流の工程へのオブジェクト指向的なアプローチの応用について述べられる。UMLなどモデリング技術は設計工程で、RUPやアジャイルな開発プロセスの一つXPなどはソフトウエア開発全体に及ぶ話題である。従って、単なるオブジェクト指向プログラミングの解説本ではないから、そういった内容だと思って読むと(よい意味で)裏切られる。要はソフトウエア開発にはオブジェクト指向的な思考、思想が大事だと言っている。
 より深く学習したい人のために参考書も紹介されている。

-目次-
第1章 オブジェクト指向はソフトウエア開発を楽にする技術
第2章 オブジェクト指向と現実世界は大違い
第3章 OOPを理解する近道はプログラミング言語の歴史にある
第4章 OOPは無駄を省いて整理整頓するプログラミング技術
第5章 メモリの仕組みの理解はプログラマのたしなみ
第6章 OOPがもたらしたソフトウエアとアイデアの再利用
第7章 汎用の整理術に化けたオブジェクト指向
第8章 UMLは形のないソフトウエアを見る道具
第9章 現実世界とソフトウエアのギャップを埋めるモデリング
第10章 擬人化して役割分担させるオブジェクト指向設計
第11章 オブジェクト指向から生まれた柔軟な開発プロセス
第12章 オブジェクト指向を使いこなそう

更新日: 04/12/19