読書メモ

・「プロジェクトはなぜ失敗するのか
(伊藤健太郎:著、 \1,800、日経BP社) : 2004.03.13

内容と感想:
 
表紙帯の「IT開発の地雷原を生き抜くプロジェクトマネジメントの極意」にあるように、IT開発は地雷原を歩いているように感じることが多い。バグが発覚するたびにうんざりさせられるが、自分が埋め込んだ地雷もあるから他人を責められない。互いに傷を舐め合っているのがこの業界だ。
 ソフトウエアにバグは付き物という、開発者の言い訳とも諦めとも聞こえる非常識がこの業界にはまかり通っている。バグを理由に安易な逃げ道にしていては、いつまでもこの業界人の倫理観に疑問・誤解をもつ人々は減らないだろう。
 本書は題にもあるようにプロジェクトに失敗は付き物という前提で、じゃあ失敗の確率を減らしていくにはどうすればいいかを説いている。何をもって成功・失敗かという定義は難しいのだが、やはり開発当初からある程度の成功の定義をし、文書化しておき、常に成功イメージを持って作業していく必要があるだろう。プロジェクト終了時にはこれを元に反省会をし、成功・失敗を評価・分析する。製品あるいはシステムとしての機能・動作レベルが顧客が満足する品質のものであるか、または納品までの開発期間(納期)や要したコストなどが、計画をどれだけ満たしたかを出来るだけ客観的に分析する必要がある。
 本書が言うまでもなく成功のためには、まずしっかりとした計画、予定が狂った場合を想定したリスク管理、柔軟な軌道修正、ノウハウの蓄積などが必要になる。そのために更には、そのプロジェクトに適切なプロジェクト管理手法の適用・運用や、プロジェクトマネージャのスキル向上も重要である。

-目次-
第1章 プロジェクトの成功と失敗とは何か
第2章 プロジェクトの失敗は防げるのか
第3章 プロジェクトはなぜ失敗するのか
第4章 プロジェクトの成功率を上げるには
第5章 プロジェクトマネジメントを企業に導入する
第6章 プロジェクトマネージャの仕事

 特に本書で新たに得るものは少なかったが「プロジェクトマネージャを第三のキャリアパス」と位置付けるという意見は興味深かった。通常の管理職、技術専門職とは別のスキルが要求される職種であるからだ。
 本書は特にIT開発プロジェクトに特化して書かれているが、この業界以外でもプロジェクト管理には昔から取り組んでいると想像するのだが、もしうまく管理できていないのであれば、本書は他の業界にも応用できるはずだ。
 できればもっと成功、失敗の事例が読みたかった。

更新日: 04/03/15