読書メモ

・「ウィルス、伝染るんです
(中村正三郎:著、廣済堂 \1,500) : 2004.06.12

内容と感想:
 
題名のウィルスとはコンピュータ・ウィルスを指す。”伝染るんです”は某漫画とは無関係。発刊されたのが2001年の本だが、内容的には現在も通用する。IT技術の進歩は日進月歩ならぬ、秒進分歩だとか。一方で毎日のように新種のコンピュータ・ウィルスが登場し、私のPCのアンチ・ウィルス・ソフトも頻繁にパターン・ファイルを更新している様子。
 本書ではITやブロードバンドの発展・普及が、一般の人々をいかに危険な状況に置き去りにしたまま突き進んでいるかを気付かせるために書かれた。いまや老若男女を問わず、世界で多くの人々がインターネットを利用している。しかし、単にウィルスに留まらず、オープンなネットの世界には罠や闇が潜んでいる。
 タイミングがいいのか悪いのか、つい最近、いやな事件が起きてしまった。女子小学生が学校内で同級生をカッターで刺殺したのだ。犯行の理由としてネットの掲示板が関係しているとかで、ネット社会もそろそろヤバい状況に入りつつあるかというのが感想。ITの急速な普及で学校や家庭で子供も容易にネットへアクセスできるようになった。しかし、子供たちはどれほど、ネットの危険性や利用のための常識を教えられているのだろうか?掲示板に誹謗中傷を書かれた相手がどんなに傷つくか。しかしこれはネットのせいではない。掲示板は単なるツールである。同じような問題はリアルな人間関係でも発生しうる。だから、ネットのせいにするのは的外れだろう。きっと子供にネットさせるのはやめよう、などと運動を始める輩も出てくるだろう。こういう事件が起きると学校のせいにされることが多いが、それも短絡的だろう。社会全体が責任を感じなければ、同じような事件はなくならないだろう。方向性を誤らないよう、しっかし対策を考えるべきだ。
 インターネットは確かに便利だが、危険性をどれくらいの人が理解しているか?ネットを安全に使うための常識やノウハウを理解できるから、まず初心者は本書を読んで欲しいもの。

-目次-
第1章 こんなにある!セキュリティ崩壊
第2章 なぜ狙われるようになったのか?
第3章 ウィルスとセキュリティホールの仕組み
第4章 セキュリティ確保の技術
第5章 ソフトウエアがもつ根本的な欠陥とは?
第6章 マイクロソフト、悪の経営術
第7章 ネットワーク社会の長所と問題点
第8章 インターネットの脅威からあなたを守る鉄則集

 最後に著者は言っている。「無知は罪」だと。セキュリティの知識がなかったから、ウィルスに感染した。更には知らずにウィルスをばら撒いてしまった。知らなかったで、済まされない。自分だけの被害ならまだ小さいが、他人に迷惑を掛けないよう、最低限の知識をもつ必要があるだろう。

更新日: 04/06/15