読書メモ

・「最速で開発し最短で納めるプロジェクト・マネジメント〜 TOCの管理手法”クリティカル・チェーン”
(村上悟、井川伸治:著、中経出版 \1,300) : 2004.05.05

内容と感想:
 
近年、プロジェクト管理が注目されている。NHKの人気番組「プロジェクトX」の影響もあるかどうかは不明だが、それだけプロジェクト管理の重要性が認識されてきたということだろう。私の仕事のソフト開発もプロジェクト型業務の典型である。常に納期と品質に追い駆けられ気が休まらない。本書の表紙の帯には「プロジェクト完了期間を2分の1に縮める方法!」という文字が大きく踊っている。これだけ見るとちょっと眉唾か?とも思いたくもなるが、副題にもある”TOC”(Theory Of Constraints:制約条件理論)は、ベストセラー小説「The Goal」の著者でもあるGoldratt博士が開発したものである。TOCは特に工場などの生産改善手法として多くの企業に取り入れられているようである。この理論はプロジェクト管理にも応用できる、ということで本書は展開されている。
 まず、TOCとは何かで始まり、従来型の管理手法であるPERT理論、クリティカル・パスの問題点を指摘し、PERTに替わる管理手法としてTOCの考え方を取り入れ、クリティカル・チェーンという概念を説いている。第4章ではこの”クリティカル・チェーン”の概念や業務への活かし方を理解しやすいように小説仕立てにして、改めて説明している。

-目次-
序章 なぜ今、プロジェクト管理なのか
第1章 進化する革新手法TOC
第2章 従来型管理技法の考え方と問題点
第3章 遅れを絶対に出さないプロジェクト管理
第4章 夢を「かたち」に変えるスケジュール

 結局、プロジェクトを遅らせる原因としてはリソースが最大限に活かせない状況が挙げられる。リソースとしては人であったり、機材や施設であったりする。1人の人が掛け持ちで業務を行っていて1プロジェクトに十分なパフォーマンスを出せないとか、同じ時期に複数のタスク(他のプロジェクトであったり、サブ・プロジェクトだったり)が同じ機材を使用したいのだが、1タスクしか使用できないために無駄に待たされたり・・。そういったプロジェクト上のボトルネックを事前に発見し、プロジェクト開始前に計画する。できるだけ掛け持ち業務(マルチタスク)は避け、1業務に集中させたほうが効率がよい。できるだけ早めに着手する。これらは当たり前といえばそれまでだが実際にはうまく実施されていない。
 プロジェクト全体の工数の精度の高い見積もりをし、プロジェクト全体としての日程余裕(プロジェクト・バッファー)を全日程の中では後ろへもっていく。納期を守るためにボトルネックが停止しないよう管理する。バッファーを日程の余裕と考えれば、ボトルネックの進捗状況でプロジェクト全体の進捗を管理できることになる。このバッファーの扱いが”クリティカル・チェーン”のミソである。バッファーは保険のようなものだが、単なる保険なら従来も日程に余裕を見て、大雑把に日程を見積もったりしてきた。しかし非効率な計画で無駄に余裕を食いつぶしてはいけない、というのがTOCである。
 ボトルネックが人的リソースの場合、ボトルネックとされた人は最重要な監視対象になってしまうが、当然プレッシャーが厳しくなるような気がする。ボトルネックとなる場合、その人はその分だけ、重要な部分を担当しているといえる。ここでの遅れが全体に影響する。そうならないためには本人にプレッシャーにならないよう、業務に集中でき、ゆとりが持てる環境づくりも必要だろう。管理者のフォロー、バックアップが大事になる。

更新日: 04/05/09