読書メモ

・「カウンセリングを考える [下]
(河合隼雄:著、\1,300、創元社) : 2004.04.03

内容と感想:
 
本書は「カウンセリングを考える[上]」と同様、四天王寺主催で著者が行ったカウンセリング講座の5回分の記録をまとめた本である(昭和60年から平成4年の間に行われた)。構成は上巻と同じ。講義内容をそのまま口語で活字化しているから読み易い。。
 T章では現代人の家族のあり方について著者が感じていることを述べている。家族の絆の弱まりを警告し、「理屈を越えた存在としての家族の一体感」の復活を願っている。U章では禅を取り上げ、悟りの心理学的な解釈を展開している。ユングは東洋の思想にも興味をもっていたようである。悟りに至る道を山登りに喩えているのも興味深かった。V章はクライアントとカウンセラーの関係について様々な形態があることを面白く述べている。クライアントが恋愛感情を示してきたらどう対応するかなど。W章は児童文学を読むことを勧めている。ファンタジーは魂からの声であると言っている。X章は人類普遍のテーマ「生きる」について大袈裟ではなく身近な視点で、生から死へ至る一生の中でどう生きるべきかを考えている。

-目次-
T 新しい家族関係
U ユング心理学から見た禅体験
V カウンセリングにおける男性と女性
W カウンセラーのための児童文学
X 「生きる」ということ

印象に残った言葉を挙げておく:
・日本の家から火が消えた。火は周りにみんなが集まってくる所
・精神病と言われている人たちは、ある意味で深い世界を知っている
・下手な座禅をすると狂ってしまう。悟りに到達しただけでは駄目で、帰ってこなければならない。
・カウンセラーには男性・女性の両面が必要
・自閉的な子は敏感すぎて、その怖さから自らを閉ざしてしまう
・心理学なんて美人の骨の研究をしているようなもの
・親が一生懸命になるほど子供の魂が殺されていくこともある
・「ただ生きている」というのが実は一番すごいのでは?

更新日: 04/04/08