読書メモ

・「スポーツマンガの身体
(齋藤孝:著、文春新書 \700) : 2004.11.23

内容と感想:
 
スポーツマンガを身体論の視点から読み直した書。著者は私とほぼ同世代だが私よりもマンガを読み込んでいることに驚く。本書で取り上げられている7作品のうち私が知っていると言えるのは「巨人の星」、「あしたのジョー」までだ(それも原作を読んだというよりも、TVアニメで見た、というレベル)。「バガボンド」は昨年のNHK大河ドラマが「武蔵」だったことで、メディアでも取り上げられたりして、名前だけは聞いていた。「スラムダンク」がバスケの、「ピンポン」が卓球のマンガであることは何となく知っていたが、ちゃんと読んだことはない。だから私のマンガ知識はかなり前から更新されていないに等しい。
 スポーツを題材としたマンガは数多いが、それらの中から著者が「身体の内側の感覚が、しっかりと表現されているか」という視点から選りすぐった7作品。どの作品もそれぞれ異なるスポーツだが(「バガボンド」は宮本武蔵が主人公だからスポーツとはちょっと違うかな?)、共通するのは上手くなろう、強くなろうとする向上心を描いていること。特訓、根性、友情、挫折、苦悩、勝負、プレッシャー、コンプレックス、etc. そこに様々なドラマが絡み合っていく。
 上達、技化、説教名人、腰肚、呼吸、型、など齋藤ワードが散りばめられ、マンガを題材に新たな視点で齋藤ワールドを展開している。

-目次-
一. 巨人の星
二. あしたのジョー
三. スラムダンク
四. バガボンド
五. バタアシ金魚
六. 奈緒子
七. ピンポン

 「巨人の星」と「あしたのジョー」の原作者が梶原一騎だとは初めて知った。また星飛雄馬の名がヒューマニズムから来ていることも。最近は全くマンガを読む気にもならないが、「バガボンド」だけはちょっと気になる。本書がいつか読もうという気にしてくれた。

更新日: 04/12/04