読書メモ

・「説教名人
(齋藤孝:著、文藝春秋 \1,200) : 2004.10.01

内容と感想:
 
いつも思うのだが、著者はネタが泉のように湧き出てくるようである。今回はいろんな人の説教を集めた本を出した。説教には納得できるものと、できないものがある。納得できないとき、その説教は単なる批難にしか聞こえない。本書で取り上げているのは、勿論、説教された側がきっと腑に落ちる(であろう)説教ばかりである。そんな説教を「いい説教」と定義している。いい説教は聴いた人に目を開かせる、人生を変えることすらある。こんな説教ならいくらでも受けたいと思うような名言が詰まっている。

-本書で説教している人達-
坂口安吾、岡本太郎、黒澤明、宇野千代、寺山修司、立川談志、瀬戸内寂聴、アントニオ猪木、本田宗一郎、サリバン先生、星一徹(★)、小林秀雄、マリア・テレジア、いかりや長介、親鸞、松下幸之助、幸田露伴、ニーチェ、ジャンヌ・ダルク、森鴎外、ナポレオン、吉田松陰、正岡子規、野口晴哉、ドン・キホーテ(★)、沢庵(☆)、下村湖人、トルストイ、今東光、内村鑑三、升田幸三、大島渚、マザー・テレサ、淡谷のり子、ジョン・レノン、ミリエル司教(★)、市川房枝、浮浪雲(★)、西岡常一、矢野正五郎(★)
(★:実在しない架空の人物。小説や漫画の登場人物。☆実在したが小説の中での言葉)

<ポイント>
・人をきちんと叱り、教えを説くのには、技とエネルギーが要る。責任がある。勇気も要る。肚が据わっていること。強い命がけの構え
・心に届く言葉であること。心を開かせること。短いこと。筋が通っていること。単なる抽象的なものに陥らないこと
・高みからものを言わない、考えを押し付けない。さっぱりしていること。腹で分かること
・視点を変えてみる
・実地体験方式。身体のレベルでの繋がり
・説教空間。自然な距離感
・説教したいという教育欲
・論語は「よい説教」に満ちている
・ガツンと殴って目を覚まさせる
・指導者としての資格は、悪口を言われ、批判されていること。

更新日: 04/10/02