読書メモ

・「ザイルをかついだお巡りさん
(長野県警察山岳遭難救助隊:編、山と渓谷社 \1,359) : 2004.08.28

内容と感想:
 
長野県警の山岳遭難救助隊の新旧隊員の手記を集めた本。長野県は日本アルプスを初め有名な山々を擁する山岳県である。長い登山ブームが続き、長野県の山を訪れる登山者の数も多く、それに伴い、遭難事故も増えている。正式に山岳遭難救助隊が発足したのが昭和41年。遭難者の救出作業ともなると、非常に危険を伴い、二重遭難の危険すらある。救助するほうも命賭けである。そんな困難に立ち向かうため日夜、隊員たちは訓練に励んでいる。彼らの苦労話がたくさん詰まっている。
 遭難者の救助を語った手記は緊張感が伝わってくる。遭難した当人の手記もあったりして、何日も救助を待っていた女子大生の手記も興味深かった。県警のこのような組織ができる以前は、現在のような装備も発達しておらず、無線機すらなかった時代は、伝書鳩で山中の救助隊員と山麓との連絡を取っていたそうである。またヘリもなく、遺体を運び降ろすにも危険な場所では仕方なく、現場で荼毘に付すこともあったという。
 最近は些細なことで安易に救助を求める登山者が多いそうである。携帯電話で連絡も容易になったこともあり、登山者の意識の低さ・モラルが問われている。遭難者など出ないにこしたことはない。登山者各自が事故を未然に防ぐ努力をしなければいけないし、無理や無茶をしないことだろう。

-目次-
第一章 救助隊ヒストリー
第二章 訓練と常駐の日々
第三章 アルプスに命を賭して
第四章 信頼の絆

更新日: 04/09/07