読書メモ

・「逆説の日本史6 中世神風編
(井沢元彦:著、 \657、小学館文庫) : 2004.03.27

内容と感想:
 
シリーズ「逆説の日本史」の文庫版の第6巻。
 前半、第一〜三章は「鎌倉新仏教の展開」(T〜V)と題され、意外にも大きく宗教を取り上げている。鎌倉時代が、飛鳥時代の仏教伝来や平安時代の最澄・空海による新仏教の導入などと並んで、仏教界に新たな展開があった時代だったということだろう。この時期、実際に法然、親鸞、一遍、道元、日蓮など個性的な宗教家が登場し、現代の我々でも名前や宗派くらいは広く知られるようになった。本書では釈迦の開いた仏教(原始仏教)が時代を経て、良くも悪くも如何に変形していったかが分かる。日本の仏教は原始仏教とは全く別物らしい。法然、親鸞、一遍、道元、日蓮らも修行や勉強を通して、それぞれの宗派を確立していくが、彼らの教えを広めたのは彼らの弟子たちであったが、布教のために本来の教えを歪めることさえしている。これは驚きである。戦国時代の一向一揆で有名な浄土真宗の蓮如は親鸞の子孫であるが、そもそも僧侶は妻帯できなかったから子孫ができるはずはなかったのだ。いつから日本の僧侶は妻帯できるようになったかなど興味深い話もある。ちなみに現在、日本で信徒の多い宗派は真宗と曹洞宗だそうである。寺の数で言えば曹洞宗がトップで1万4千を越えるそうである。いずれにせよ鎌倉新仏教の聖者たちはそれぞれに仏教の解釈や教えが異なり面白い。一般人に分かり易かったのが広く信徒を集めた理由であろう。

-目次-
第一章 鎌倉以前の仏教編
第二章 浄土門の聖者たち編
第三章 道元と日蓮編
第四章 元寇と日本人編
第五章 後醍醐天皇の野望編
第六章 後醍醐天皇の新政編

元寇については多くを語っていないが、後醍醐天皇については第五、六章をさいて取り上げている。彼の登場は鎌倉幕府の滅亡を招く。頼朝が開いた幕府も100年以上を経て、独裁的な北条氏による執権政治に対し、御家人たちは多くの不満を抱えていた。そこに天皇親政を目指す後醍醐が登場し、倒幕活動を始めた。自らは手を汚さず、反幕府方御家人を扇動した。結局その試みは半ば成功、半ば失敗した。倒幕側の有力御家人・足利尊氏は天皇親政なんて考えていないし、自ら征夷大将軍になって新たに幕府を開こうと考えていたのだから。(後醍醐 vs 尊氏についての続きは第7巻で)

更新日: 04/03/27