読書メモ

・「逆説の日本史 8 中世混沌編
(井沢元彦:著、小学館文庫 \657) : 2004.11.14

内容と感想:
 
シリーズ「逆説の日本史」の文庫版の第8巻。
 本巻でカバーする時代は以下の目次にあるようなトピックが登場する時代。15世紀半ばから終りの頃である。足利六代将軍義教は暗殺され、その子・義政が八代将軍となった頃はますます幕府は弱体化し、その在位中に応仁の乱が起こり、京の都が戦場と化し、焼け野原となると将軍権威は名ばかりとなり、下剋上の戦国の世の色が濃くなっていく。日野富子は義政の妻で、史上最大の悪妻として有名。

-目次-
第一章 「懶惰の将軍」足利義政編
第二章 日野富子と傀儡政権編
第三章 国一揆と一向一揆編
第四章 室町文化の光と影編

 あまり足利(室町)時代というのは興味がないのだが(あっても義満の頃までだろう)、政治面よりも文化面のほうが重要かもしれない。いわゆる我々が日本文化と考えているものの多くが、この時代にほぼに形作られている。第四章では文化面に注目して書かれており興味深かった。能や華道、茶道などは現代もしっかり生き続けている。これらは海外の人に胸をはって紹介できる日本文化だろう。
 銀閣くらいしか印象のなかった義政だが、彼がいかに政治に興味がなかった将軍であったか、その妻・富子がなぜ悪妻とまで言われたかがようやく分かった(第一章、第二章)。
 第三章では興味深い疑問が提示されている。守護を追放し、百姓の国になった加賀のような一向一揆がなぜ他国に広がらなかったか?もしこれが全国に広がり、日本人は阿弥陀仏の前に全て平等だという思想に染まったとしたら、フランス革命のような革命は起こっただろうか?と。

更新日: 04/11/21