読書メモ

・「GO PUBLIC 〜起業公開物語
(市川一郎&アソシエイツ:著、東洋経済新報社 \1,600) : 2004.09.26

内容と感想:
 
本書はフィクションであるが、主人公が起業からIPO(株式公開)を果たすまでを描いていて、IPOを目指す起業家(予備軍)にとって参考になる物語である。著者が公認会計士ということもあって、IPOや経理・会計に関する専門的な内容については、私のような素人にはリアルに感じられる。ただ、作家が書いた本ではないから、小説として読むには面白みに欠けるだろう。ガチガチの専門書や解説書を読むよりは、よっぽど読み易いし、興味をもって読めるだろう。小説の形を取っているから、登場人物になったつもりで疑似体験ができる。
 物語は2003年の独立から始まって、2007年のジャスダックでの株式公開で終わる。起業当初からIPOを計画し、一度はマザーズへの公開準備までいきながら、事情でやむなく諦めたり、社員の不祥事などの危機を乗越えて、IPOを成功させる。主人公はメーカーの研究者という設定で、環境関連ビジネスで起業している。会社を軌道に乗せ、成長させるため、気の休まる暇もない。それでも彼をかき立てたのは高い目標であった。多くの人の支えもあった。経営者としては専門外の経理や会計も勉強しなければいけない。一方で技術者として製品開発も疎かにはできない。
 本書を読んで、経営者の苦労をしたいと思うか、気楽なサラリーマンのままでいるか考えさせられる。最近は起業家を支援する仕組みを整えようという動きもあるし、あと必要なのは起業しようと思う気持ちだけだろう。ITバブル崩壊の記憶は新しい。痛い目にあった人も多いことだろう。一方で楽天のような勝ち組の存在も忘れてはいけない。IPOや起業自体を諦めている人も多いだろう。
 公開までの諸々の手続きや、何やかやと色々大変そうなのが分かったが、サラリーマンの私には好い刺激となった。

-目次-
T スピンアウト(跳躍)
U スタートアップ(起業)
V グロウアップ(躍進)
W リスキーグロウ(危機)
X アドミニストレーション(安定期)
Y IPO(ゴーパブリック:株式公開)

更新日: 04/09/26