読書メモ

・「段取り力 〜「うまくいく人」はここがちがう
(齋藤孝:著、筑摩書房 \1,200) : 2004.05.08

内容と感想:
 私の欠点の一つは段取りが悪いことだ。決まって何かうまく行かないことがあると「段取りが悪かったせいだ」と自分を責めることになる。しかしその反省はなかなか活かされない。著者は世の中には特別な天才を除けば、我々にはそれほど大きな能力の差はないという。ただ段取りがよいか悪いかだけだと。なるほど、そうかも知れないと段取りの悪い私は思う。誰でも予定どおり、計画どおりに事が進んだときは気持ちよいものだ。
 段取りはスケールの大きなものから小さなものまで様々だと思うが、大きなものも小さな段取りの集合として成り立っていると言える。小さな段取りのミスが全体としての段取りを狂わせることにもなる。まさにこれはプロジェクト管理である。仕事柄、プロジェクト管理に結び付けたが、段取りは様々な場面で必要な能力・技術である。ソフト開発の場合は、ゴールを決めて、それに必要な工程やリソースの配置や日程などを分析・計画する(プロジェクト計画)。できるだけ実際の作業までブレークダウンして、細かく段取りをしていく。ビジョンが明確で、それまでの経験が活かせ、突然のトラブルにも対応できる段取りであれば、そのプロジェクトはうまくいく可能性が高いだろう。
 しっかり段取りしておけば、トラブルに怯え、常に心配事を抱えながら物事を進めることもなく、精神衛生上もよいだろう。また複数の人間でやる仕事などは特に段取りは重要で、プロジェクトなら全体の段取りも大事だし、個々の担当者レベルでの段取りも大事である。それぞれの段取りが悪いと他人に迷惑を掛けることにもなる。

-目次-
第一章 生産性の高いプロの「段取り力」
第二章 トラブルに強いタフな「段取り力」
第三章 実践編 ケース別「段取り力」
第四章 「段取り力」とは何か
第五章 「段取り力」の鍛え方

ポイント:
・仕事の中心は「段取り」である。段取りが命。
・段取り力とはメリハリの効いたエネルギーの使い方。優先順位付け。
・裏段取り(仕込み)も重要
・目標・照準が明確で、ビジョン・見通しがはっきりしていれば根気も集中力も持続する
・段取りはマニュアルやハウツー本とは違う。単なる手順ではない。スケジューリングとも違う。

更新日: 04/05/09