読書メモ

・「日本地図から歴史を読む方法
(武光誠:著、\667、KAWADE夢新書) : 2004.05.30

内容と感想:
 
先に読んだ「日本地図から歴史を読む方法2」では日本史上の大事件が起きた場所を取り上げ、天下分け目の戦い・関ヶ原合戦など地形から歴史を捉え直そうとしていた。
 本書は縄文・弥生時代などもっと古い時代からの、日本の地形から日本人の歴史を捉えている。縄文人は落葉広葉樹林帯が生活圏だったが、次第に日本列島は照葉樹林帯に向いた気候に変化し、照葉樹林帯が北へ拡大していった。これに伴い縄文人は北へ追われるようになり、稲作を行う弥生人が日本各地へ勢力を伸ばしたらしい。
 今でこそ首都東京一極集中化が問題になっているが、江戸幕府が開かれるまでは関東平野はもっと寂びれた一地方に過ぎなかった。しかし関東は武士が開いた土地。頼朝以降の武士政権の確立で次第に農地も拡大し、人も増えていったようである。それまでは日本の中心は京都・大坂など近畿地方。平安京や大坂城が作られた理由を地勢学的な視点から示している。
 視点を変えれば、いかに日本人が国土を都合よく作り変えてきたかも知ることができる。今のように便利な暮らしができるのも、遠い昔からの祖先たちが、暮らしやすくと願い国土を改造してきたおかげともいえるが、その一方で自然破壊を犯してきたのも事実である。

-目次-
1 列島を俯瞰して初めてわかるこの国の成り立ち
2 なぜ東国の鄙辺に大都市「江戸」が誕生しえたのか
3 政治・経済の中心として「京」と「大坂」が選ばれた理由
4 今日まで賑わい続ける城下町その発展の秘密
5 都市を築き文化を運ぶ港町と街道の消長
6 辺境だった地の異色の歴史を探る

更新日: 04/06/04