読書メモ

・「日本の名城・古城もの知り事典 〜日本史興亡の舞台
(小和田哲男:監修、主婦と生活社 \2,100) : 2004.10.03

内容と感想:
 
原始・古代から幕末までの240の城が地方別に紹介されている。600ページ強にもなる大部の事典である。
 ほとんどは戦国期のものだろう。日本各地で群雄割拠、日本人同士が血みどろの戦を繰り広げた時代。それに伴ってたくさんの城が築かれ、破却された。現在残っているものは、鉄筋コンクリートで復元されたものや、現物とはおそらく似ても似つかない大そう立派な城になっていたりするが、ほとんどは城址といわれる遺構ばかり。名城と言われるものの中には姫路城など世界に誇れるような立派なものもあるが、なによりも現在の重機なんかない当時の日本人が建造した物として、その事業の偉大さに驚かされる。城の中には桜の名所など、観光化されているところも多く、地元と密着し、長く親しまれてきた。もともとは戦のための、人殺しのための建造物であったが、そういった血生臭さは忘れられ、城下町、観光のシンボルとしてうまく利用されてきた。日本人の面白さである。
 紹介された城の中には「xx城」と呼ばれるものばかりでなく、城砦や館、台場、砲台や関、石塁など城とは呼べないものも含まれている。意外なものとしては吉野ケ里遺跡なんかもある。これは弥生時代のものであるが、平和な時代ではなかったらしい。倭国は百余国に別れていて、国家統一に向けて戦いが繰り広げられていたそうだ。
 年をとったらこの本を手に各地の城めぐりもいいかなと思っている今日この頃である。

-目次-
第一章 北海道・東北地方
第二章 関東地方
第三章 中部地方
第四章 近畿地方
第五章 中国・四国地方
第六章 九州・沖縄地方

更新日: 04/10/09