読書メモ

・「ヒエログリフを書こう!
(フィリップ・アーダ:著、吉村作治:監修、林啓恵:訳 \1,500、翔泳社) : 2003.12.15

内容と感想:
 
ヒエログリフとは古代エジプト語の象形文字。誰もがTVなどできっと見たことがあるだろう。ピラミッドの壁画や石棺などに刻まれた様々な模様のあれだ。少し前には古代中国のトンバ文字というのがブームになった。あれも象形文字だ。単なる模様として見ても十分楽しいのだが、これら象形文字を読み書きできたら、もっと楽しいに違いない。
 本書は頁数こそ少ないが大きな文字と絵をたっぷり使っていて、絵本に近い。語学学習などと気張らなくても楽しめる構成になっている。
 前半はヒエログリフ入門になっていて、基本が学べる。絵が並んでいるだけの暗号のような文も多少は読めるようになる。ヒエログリフのそれぞれの文字(絵)は一文字一文字が意味を持っていることもあるが(表意文字)、それだけでなくて表音文字、決定詞などもある。
 当然文法もあって、文章の組み立ては日本語や英語とも異なる。基本は「動詞」+「主語」+「目的語」。男性名詞、女性名詞、前置詞、形容詞もあり、語尾の変化や時制(現在形、過去形、未来形等)など現在世界中で使用されている言語の機能はほとんど入っている。古代エジプト語が人類最古の言語の一つであることを考えれば、現代語の源流がそこにあるのは当然だろう。
 後半は応用編で、エジプトの遺跡に残されたヒエログリフで書かれた碑文を実際に読み解いてみている。また、現代エジプト人さえも読めないヒエログリフをどうやって解読したか、という興味深いお話しもある。
 実際に書くには効率の悪い象形文字であるが、当時の人はそうは捉えていなかったのかも知れない。現代に生きる我々にはほとんど必要性のないヒエログリフであるが、カラフルな絵文字を眺めているだけでも楽しいし、古代文明のロマンを感じることができる。

更新日: 03/12/19