読書メモ

・「逆説の日本史4 中世鳴動編
(井沢元彦:著、 \619、小学館文庫) : 2003.03.17

内容と感想:
 
シリーズ「逆説の日本史」の文庫版の第四巻。週刊ポストで連載のものを単行本化していて、ハードカバー版は最近10巻目を迎えた(信長の時代辺り)。確か第一巻を購入したはずだったが読んだ覚えがなく、いざ読もうと思うが部屋中を探せども見つからず。昨年の引越しの際に古本屋へまとめて売り払った中に紛れ込んでしまったのかも知れない。
 著者はTVなどで見かけることもあるが、ちゃんと彼の著作を読んだことはなかった。飲食店にある週刊ポストで連載をちょっと読んだ程度。まともに読む最初が第四巻というのは何の脈絡もないが、読むのは私だからしかたがない。
 キーワードは「穢れ」、「怨霊」、「言霊」。
 本巻でカバーする時代は以下の目次にあるようなトピックが登場する平安時代。9〜12世紀頃のことである。”平安”とかいうと平和で良い時代だったような響きはあるが、それだけにこの頃の歴史にはそれほど興味を持てなかった。

第一章 「古今和歌集」と六歌仙編 
第二章 良房と天皇家編
第三章 「源氏物語」と菅原道真編
第四章 「反逆者」平将門編
第五章 院政と崇徳上皇編
第六章 武士はなぜ生まれたのか編
第七章 平清盛と平氏政権編

 実はまず第六章から読み始めたのだが、一番の興味はここにあった。なぜ武士が登場したのか?なぜ武士と言えば源氏と平氏なのか?特に武士の誕生には疑問は感じなかったが、源平が政権を交代して受け持つという説があり、その原点を知りたいとかねてから思っていた。
 武士は生まれるべくして生まれたと理解しているから不思議には感じないが、藤原氏が長く実権を握っていた事の方がよほど理解に苦しむ。天皇家との血縁関係だけを根拠に権力を維持していたのだから。それに最大の不思議、絶えることのない天皇家の存在。時の権力者にいいように利用されたりしながも、古代から現代へ脈々と血を受け継いできた。その謎の答はやはり著者のいう「怨霊」信仰にあるのだろうか?
 武士と自衛隊とを結びつけた理論はなるほどと思わせた。著者は憲法第9条改正論者でもあり、その理由も明快である。なんと言って誤魔化そうとも自衛隊は軍隊である。軍隊を持ってはいけないと憲法に書いてあるならそれは修正しなければならない。なぜなら軍隊は日本国民に安全というサービスを提供する組織であるからきちん明文化して存在を認めなければ、命を賭けて任務されておる自衛官に失礼である。

更新日: 03/03/29