読書メモ

・「経済ってそういうことだったのか会議
(佐藤雅彦、竹中平蔵:著、 \1,500、日本経済新聞社) : 2003.05.18

内容と感想:
 
題名には”会議”とあるが、実際には著者二人の経済についての対談集である。表紙の帯には「この地球(ほし)の経済をやさしくするどく解き明かす、新・経済の入門書」とあるが、子供や学生相手に、竹中先生が講義するといったものではないから、決してやさしくはないかも知れない。日経を購読し、経済ニュースを見ていて、経済が分かってるつもりになっている私が日頃、疑問に思っていたことも対談の話題として取り上げられていて、目を開かされることも多い。特に20世紀末のアジア通貨危機の本質を全然理解していなかった。
 竹中平蔵といえば小泉内閣の現・経済財政・金融担当大臣として活躍中の経済学の先生で既に有名である。多分、本書が出る頃はまだ慶応の先生だったようだ(本の略歴には閣僚入りしたことは書かれていないから)。
 一方、佐藤雅彦という名前は残念ながら知らなかった。しかし、挿絵の漫画や対談中の話題から、ドンタコスのCMとか団子三兄弟とかの仕掛人だったことが判明。

 いろいろ新たな発見があった(知っている人には当然にことかも知れないが)。
・国民の所得を正確に把握するのは難しく、所得税(直接税)よりも消費税(間接税)の方が税金をとる側とすれば取り易いし、ある意味で公平な税制
・日本のサラリーマンの3割が所得税ゼロで、人口の所得上位6%が税金の4割を負担
・円の国際化のメリット・デメリットと通貨主権
・欧州通貨統合と日本の過疎問題の共通性
・「(一位じゃなく)一位になれる可能性のものが楽しい」(ジレット社会長の企業買収に対する言葉)
・資本の自由は移動は重要だが、急速な資金逃避は問題。「国際的な資本取引には課税すべき」(トービン教授の主張)
・現在の日本国民の所得はバブルのピーク時の10%も上昇している。バブルで1,200兆円の資産を失ったのに所得が上がるという、世にも珍しい国(それだけ経済力があった)。

更新日: 03/05/19