読書メモ

・「早わかり戦国史」〜時代の流れが図解でわかる!
(戸川淳・編著、 \1,400、日本実業出版社) : 2001.12.12

内容と感想:
 
現代日本の状況をかつての戦国時代になぞらえて、語られることがある。高度成長期ははるか昔。バブルがはじけて10年。この10年は”失われた10年”とも言われる。日本経済はグローバル化の波に飲み込まれ、外資系企業の日本進出やM&Aも珍しくなくなった。労使関係や労働形態はアメリカナイズされ、よりドライな方向に向かっている。小泉改革の影響もあり、失業率も上昇中。武力にこそ訴えないが、世界経済戦争の様相である。バブルで浮かれていた頃は、想像もしなかった悲惨な状況に現在、日本は陥っている。何度も復活のチャンスがありながら、問題を先送りし、銀行は不良債権の処理を誤り、政府は景気刺激の名目で赤字国債を乱造し、その場しのぎの公共事業を大量発注し、膨大な借金のつけが結局は将来、国民に回ってくる。
 そんな混沌とした世の中を戦国時代に例えるのも分からないでもない。信長待望論も耳にする。旧秩序の解体、大胆な改革を国民は望んでいる。だからこそ小泉政権誕生は世間をあっと言わせたのであり、今なお異常な高さの支持率を得ているのである。小泉首相を信長と同列には語れないが、当時の庶民はどうだったか知らないが、少なくとも現在国民は首相に期待をしているのである。
 戦国時代とは日本史の中ではごく短い期間であるが、私は日本史では一番好きな時代である。下克上が当たり前、能力さえあれば成功できる、夢が見られるダイナミズムの時代であった。シミュレーションゲーム”信長の野望”シリーズを好んでプレイするのも、実在した戦国大名になり、敵対勢力と戦い一歩一歩、天下取りの夢を実現していく楽しみがあるからである。
 本書は見開き2ページ単位で、図を用いてその戦国史を平易に解説してくれる。平易とは言っても、義務教育で学んだ歴史よりも深い内容であり、個々の出来事に繋がり・流れがある。
 第六章では戦国大名の必勝のための戦略・戦術とは何かについてゲーム感覚で書かれていて興味深い。現代社会では全く役には立たない戦略・戦術論であるが、シミュレーションゲームの攻略本にも通じる部分であり面白かった。

目次 〜
第一章:戦国時代とはどんな時代だったのか
第二章:群雄が割拠していた日本
第三章:信長の出現 - 天下布武への道のり
第四章:秀吉の制覇 - 天下人への10年
第五章:家康の時代 - 四海平定への策略
第六章:戦国大名の基礎知識

更新日: 01/12/13