読書メモ  

・「それがぼくには楽しかったから - 全世界を巻き込んだリナックス革命の真実
(Linus Torvalds and David Diamond・著、 \1,800、小学館プロダクション、原題「Just for fun - the story of an accidental revolutionary」) : 2001.05.22

内容と感想:
 
Linus Torvaldsの名を知らなくても最近は、Linuxという名を目にしない日はない(日経の読者ならだが)。Linus Torvalds氏はLinuxというコンピュータOSの開発者である。本書は氏の自伝ということらしいが、まだ30代の彼の自伝といってもほとんどが最近の話である。副題にもある「リナックス革命」の「革命」たる由縁は、その開発手法とプロダクトの提供方法である。基本的には氏が開発を取りまとめるが、実際の開発は世界中のボランティアのプログラマーが行う。ソースコードはオープンで(公開されているということ)、腕に自身があれば誰もが開発に加われるのだ。みんなで寄って集って改善を加えていくから、質も急速に向上する。そうする内に瞬く間に世界のサーバ用OSのシェアの1/4を占めるにまで成長したのだ。今や猫も杓子もIT、ITと口にするが、氏はそのIT革命をリードした立役者の一人であり、ITを裏で支えているのがLinuxであるとも言える。
 本書では、氏がどんな子供時代から学生時代をフィンランドで過ごしたか、そこでLinuxの開発にのめり込んでいくきっかけや、経過が自らの口で語られる。そして寒い北欧の地から、全く対称的な気候のアメリカ西海岸へ移住し、謎の企業トランスメタ社で働くようになるきっかけや、その後も続けられるLinux開発と、ますます導入が広がるLinuxを巡る批判も含めた外野の声など。氏の家族のことや私生活にも触れられている。
 原題の「Just for fun」は直訳すれば「楽しけりゃ、それでいいじゃん」ということ。氏の考える人生の意味というか、人生の究極のゴールは「楽しむこと」らしい。氏の提唱するオープンソースというプロジェクトの成功の原動力は、見返りを求めないボランティア・プログラマー達が、そこに金には換えられない「楽しみ」や充実感を見出している点にある。Linuxは世界の巨人マイクロソフトの製品とは対極的なプロダクトなのである。

 タイミングよくというか、先日そのマイクロソフトの幹部がオープンソースについて、頓珍漢な批判を口にしたものだから、各界から批難轟々。またしても敵を増やした。マイクロソフト製品でこの文章を書いているようでは、マイクロソフトを批判しても説得力がないが、日に日にマイクロソフトのやり方にはうんざりしてくる。Windowsのバージョンアップを頻繁に繰り返し、その度に高いバージョンアップ料金を要求する。コンピュータはOSがなければただの箱。しかしOSだけのコンピュータなぞ誰も欲しくはない。ユーザはOSが欲しいのではない。その上で動くアプリケーションが欲しいのだ。メールを読んだり書いたり、WEBを見たりしたいからコンピュータを買う。今やパソコンOSのほとんどを抑えて、その独占的な立場を悪用してやりたい放題だ。確かにDOSやWindows3.1の頃なんかよりは、ずっとPCも扱い易くなり、恩恵を感じている人は多いと思う。しかし繁栄はいつまでも続くものではない。ひたひたとMSさんに脅威は迫っている。盛者必衰の理(ことわり)。そろそろMSさんもやばいのでは?少しずつではあるが、確実にLinuxは成長し、真の主役の座に向けてばく進中である。

更新日: 01/05/23