読書メモ  

・「他力 - TARIKI」(五木寛之・著 \1,500、講談社)

きっかけ:
五木寛之の著書を読むのは初めて。しかし、これは小説ではなく、エッセイ。
去年(1999年)あたり新聞の書籍広告で、彼の名前をよく見かけていたので少しその著書が気になっていた。

内容:
なんともシンプルな題名であるが、”他力”という単語からだいたいの内容は想像できた。2、3ページ単位の全部で百のエッセイ集なので、すぐに読み切ることができた。
が、内容は決して気楽なエッセイなどではなく、どちらかというと哲学的なもの。
他力本願という言葉は知っていても、普段は別の意味で使うことが多く、真の思想的な意味は深く考えてみることもなかったが、本書であまり堅苦しくなく、その哲学の雰囲気くらいは私なりに感じることができた。
五木さんの数奇な人生経験や休筆中の大学での仏教研究などからくる”生きるヒント”が分かりやすく書かれている。彼は本書の前にも「生きるヒント」シリーズというエッセイを数多く出しているいるようで、こういった本が広く読まれるのは時代のせいであろうか?

余談

そういえば昨年(1999年)最も多く売れたCDの一つにCMソングでブレークした坂本龍一教授のピアノ・インストCDがあった。まさに1999年は”癒し”系のマーケットがヒットした年であったように思う。不景気もあり日本を重く覆う停滞感が、日本国民を疲弊させているのだ。
それと世紀末もあってか、あいかわらずオウムを初め、”定説”とか”足裏”とか怪しげな新興宗教団体の話題も世間を賑わせた。
不思議なもので少し前に読んだ、蓮如の伝記といい、この本といい年のせいか、こういう世界に引き寄せられる私もどうやら疲れているらしい。
実感としてはないが、人生はどう生きるべきかというのは永遠のテーマとして私の心の何処かで種火が燃え続けているようだ(私だけに限ったことではないとは思うが)。多分死ぬまで答えは出ないと思うが、あまり固苦しく考えず、他力を感じながらいけばいいのかも知れない。

(2000.01.09)