読書メモ  

・PHP文庫「真田幸村 〜 家康が怖れた男の生涯」(佐竹申伍・著 \780、PHP研究所)


はじめに:真田といえば”真田十勇士”。子供のころNKHの人形劇を楽しみに見ていた覚えがあるが、ほとんど筋は記憶にない。この連続TV劇は、(私の世代では読んだことはないが)おそらく講談本と呼ばれるものの性格に近いものだった。
  その主人公が幸村という名であったかどうかも定かではなかったが(きっとそのはずだ)、なぜか猿飛佐助や霧隠才蔵、三好清海入道という名前のほうが深く記憶に残っている。あの人形劇の原作者が誰かは知らないが、私を含め多くの子供たちをわくわくさせてくれた。



感想:さて、この本は題名にもあるように真田幸村の一生を描いた小説である。内容は先の人形劇的な展開ではなく、より史実に近いというか、登場人物たちも超人ヒーローではなく、より人間的な姿に描かれている。幸村が主人公の小説だから多分にヒーロー的な描きかたはされてはいるが。
  丁度、今年はNHK大河ドラマで”葵徳川三代”が放送されているが、おそらくそろそろ幸村の出番も近いだろう。関ヶ原合戦では幸村は直接働きはないが、地元・信州上田で秀忠部隊を足止めし、彼らの関ヶ原への遅参につなげた。結局、秀忠部隊なしでも家康は勝利を得たため、敵対した幸村・昌幸(父)親子は高野山へ流されることになった。兄・信幸は徳川方についたため、真田家は安泰ではあったが。
  浪人生活の後の、大阪冬の陣、夏の陣での活躍は既に、司馬遼太郎の”城塞”(新潮文庫、上・中・下巻)で読んでいたから、そちらとほぼ同じ内容で新たな発見はなかったが、幸村という男の生き様が格好よくはあった。
  しっかり、猿飛佐助や霧隠才蔵、三好清海入道、海野六郎、穴山小助、由利鎌之助、筧十蔵という面々が登場する辺りはなんとも、うれしくはある。


更新日: 00/04/21