読書メモ  

・「ニッポン百名山よじ登り」(Craig McLachlan・著、橋本恵・訳、 \619、小学館)


はじめに:
 1997年、日本百名山を78日間で制覇した(!)著者と部下の2人組の歯茶目茶な冒険記。
著者は奥方が日本人のニュージーランド人。既に、1993年に徒歩で日本列島を縦断している(これも著書が出ている)。

内容と感想:
 
5月の九州・霧島山をスタートに、たった78日で百座を踏破したのだから驚異的としか言えない。しかもほとんど毎日のように山登りをしているのだ。24時間に3座を制した日もあった。
 簡単にそのルートをまとめると、西の九州から四国へ渡り、中国、紀伊半島、北陸、奥多摩・奥秩父、関東へと東上、上州・越後、東北へ北上、梅雨のない北海道へ。日本海フェリーで直江津(新潟県)に入り、北アルプスへ。北アルプスの一部をやっつけて南アルプス、中央アルプスを制する。再び北アルプスへ戻って残りを片付け、ラストは富士山という行程。
 信じられない話だが、実際にやってしまったというから凄い。あちこちの山で彼らの存在を報道などで知った他の登山者から賞賛を受けたという。少なくとも私は本書を読むまで、当時そんな外人が日本にいたことは知らなかった。もっとも当時(1997年)、百名山すら知らなかったくらいだから。
 全行程を実に面白可笑しく書き綴っていて、思わず電車の中で読みながら吹き出しそうになるくらい。
 この本には著者のクレイグと部下のトラブの他に重要な人物がしばし、登場し話を盛り上げる。その人物は著者たちにはボブと呼ばれていた。しかし、外人ではない。どうしても気になる方は、買って読んでください(別にもったい振ってるわけでも、宣伝というわけでもない。一言では説明出来ないからだ)。その彼らとの駆け引きが、短期間での百名山制覇の成否を決するポイントでもあったのだ。
 兎に角、百座を制したのはいいが、全ての山それぞれを味わうことができたとは到底思えない。
しかし、その無謀とも思える行動力と、体力、脚力、精神力に食欲には恐れ入る。そんな毎日登っていたら飽きてくるんじゃないかと思ったが、さすがに梅雨に入った時期には、互いに険悪なムードにも陥り、口もきかなくなることも。
 最後に、分別のある日本人は彼らの真似をしないように私は忠告したい(彼らを批難しているわけではない)。
 百名山をいつかは制したいと思っている私には非常に羨ましく、楽しく読ませてもらった。

更新日: 00/08/21