ここは上海から、南へ飛行機で1時間くらいの地方都市の空港ロビー。出発予定時刻はとっくに過ぎ既に3時間近く待っている。なにやら同じ便に乗る人たちがカウンターでチケットを見せ何かもらっている。言葉は全くわからず、英語のアナウンスも音が割れていて聞き取れない。それでなくても苦手な英語。私も他の人と同じようにチケットを見せて飲み物とカップラーメンをもらった。コリャ相当遅れるな、空港まで送ってくれた友人はとっくに帰ってしまった。友人に連絡も取れないし、こうなったら腹を決めるしかない。同じ便に乗る中国人にくっついて同じ行動をするしかない。といってもじっと待つしかない。空港ロビーも狭く、売店やお土産屋もとっくに見尽くしてしまった。多分この店ですぐにでも店員が勤まるくらいどこに何がおいてあるか覚えてしまった。そうこうしている内に搭乗口に人が集まりだした。やっと、乗れる、上海に帰る事が出来ると私もバッグを持って順番を作る事が出来ない人種の中に入った。
外に待っていたのはバスだ。狭い飛行場、来た時も飛行機から降りて、歩いてロビーに来たはずだ。なんだ?とにかく満員のバスに乗った。滑走路から出た、どこへ行くんだ?着いたところはホテルだった。ここで待てという事か?一晩待つのか?ホテルのロビーでは、中国人が金を出してキーをもらっている。同じ行動をするしかない私は同じようにしてキーをもらった。
薄暗いホテルのわびしい部屋に入った、とそこに青年が既にベットに横になっていた。鍵のナンバーを確かめる、間違ってはいない。二人一部屋だ。しょうがない、青年とあいさつだ。彼は片言の英語も出来ない、笑顔でニーハオを連発するしかない、お互いの安全のために握手しておこう。今までに経験のないくらい、気持ちをこめて握手した、私の気持ちは通じただろうか?ジェスチャーつきの英語、日本語、知っている限りのあやしい中国語チャンポンで彼に聞いた、「上海行きの飛行機はいつ出るの?」と、伝わらなかった。
二人ともこれ以上のコミュニケーションは無理な事を知り、それぞれがベットに横になった。体力温存が必要だ、これから何が起こるかわからない。横になるといつでも、どこでも、すぐに寝ることが出来る私は、ウトウトし始めた。横に見ず知らずの青年がいる事を忘れ寝てしまった。
2時間近く寝ただろうか?横にいる青年の携帯電話が鳴った。何やら喋っている。当然のことながら内容は分からない。私はまだ寝ぼけている、彼は出て行った。とっさにバッグを確かめた、財布、パスポートは身に着けている、バッグはちゃんとあった。疑ってごめんね!と彼に言った(つもり)。
腹が強烈に減ってきた。朝早くホテルでの食事から何も喰っていない。腹減った!起きて窓から外を見ると裸の青年が屋台らしき店で何か喰っている。うまそうだ!
喰いに行こうか迷っていた。腹は強烈に減っていた。
部屋の電話が鳴った、何を言っているのか全く判らない。多分、飛行機が出るのではないか、と思いバッグを持ってフロントに行ったが、横の食堂に食事が用意されていた。中国人が円卓を囲んで騒がしく喰っている。席を探し、勇気を持って中国人の円卓に1人加わった。がつがつ喰う彼らに加わり私も負けじとがつがつ喰った。横の中国人が英語が少し分かる人だった。喰え喰えと盛んに勧めてくれる。良い人だ。よし、これからは彼についていこう!香港から来ているらしい、出来る限りコミュニケーションをとった。喰い終わり彼はさっさと部屋に行ってしまった。私は、バッグも持っていることだし、フロントのロビーで彼を待つ事にした。しばらくするとバッグを持った人がフロントに来て、キーを返しお金を受け取り出て行く。外を見ると飛行場の目の前のホテルだった。バスは大回りして来たらしく、こんなに近いところだとは分からなかった。香港の彼を待っても仕方がない、私も金を受け取り飛行場に歩いて行った。1時間後、今度はバスではなく飛行機に乗るために搭乗口に行った。ほぼ、12時間遅れの出発。上海のホテルにつくと、心配した友人のメッセージが届いていた。
今回の教訓:喰える時に喰っておく事! |
 
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