「臨界期」と現状の中学英語指導考察


1.言語習得は成熟状態が到来していないと最初は抑えられた形になり、その 終結は脳の再構築のためのとくに神経生理学的過程の解剖学的制限により適応力 および能力が失われることに関連しているように思われる。人の年齢的限界は大 脳における機能の一側化という特異な種に固有の現象に関連していることも考え られる。この現象は大脳における生長現象が終結したのちはじめて不可逆的なも のとなる。

言語習得の臨界期以前、臨界期中、および臨界期後に脳がいかなる状態であ るかをしることは大切。言葉の発生開始時(言語が急速に完全なものとなるおよ そ2歳)以前には大脳は成人の約60%の状態にあり、この値が100%になっ た時臨界期は終結する。(下図参照)

言語習得能力は他の霊長類はもとよりホモサピエンスの成熟過程とまったく 異なる人間独自の「種に固有」の事象なのである。
そしてそれは大脳機能の他の種に見られぬ「一側化」という現象がもたらす。


2.「第一言語習得」はほぼ「自然発生的」である。
「長期記憶」として自然発生的に言語を第一言語として獲得する場合、2歳ま での一側化の
開始前に言語を入れておく必要がある
。そしてそれは失語症となっても回復可能なまでの記憶で「Wernicke」長期記 憶言語野に刻印されていると言えよう。
そして、なお且つ「中期記憶」でインプットするなら、「臨界期終結前」12歳前後、すなわち小学 校までに触れておく必要が有りそうである。

それ以後は「短期記憶」か訓練による中期記憶か...更なる努力による長期記憶か?

さて、問題は英語である。
以下は私なりの仮説的結論である。後に修正する可能性大。

英語科は外国語である。第二言語ではないし間違っても第一言語ではない。2 歳までに長期記憶に入れる必要はない。入れた場合は母国語に障害が出る恐れが 有りそうである。(←この件についてご訪問された方からご意見がでました)
ましてや正常な発育をしてはじめての言語獲得であるから正常発育第一優先で ある。親もそうでなければいけない。第一言語第二言語が入ってからの外国語科 であるので中期記憶として本格的に英語を習う前段階として簡略なインプットが 必要であろう。
「小学校における聴く、話すの簡単な課外学習」の導入である。
低学年で所謂「英語であそうぼう」程度のことを週1位で入れていくこと。
言語獲得はほとんど頭の善し悪しに関係ないことは実証されているので評価は いらない。しても教師からのコメントか観点別のみ。努力を認める。

中学校でのコミュニケーション活動も考え直す。何の目的でやっているのか?
もし、自然発生的なことを考えて言語能力を伸ばそうというなら、前述の通り 「訓練的」な Shadowing を提唱したい。現行コミュニケーション活動はどちら かというと「国際理解能力育成」である。それは大切なことである。
高学年では文法指導も行う。基本はリスニング・リーディング中心の音声、文 字列即再現訓練である。あくまで自然発生的に外国語を捉えない場合のこと。
もし、自然にNaturalにつけるのなら、時間と環境を整え限りなく中期 記憶に向かわせる。しかし、運動言語野の助けがなければならないとなると「訓 練的要素」をいれ体得できる工夫をする。

<結論>
楽しく自然に英語力を週3時間で伸ばすのは限りなく不可能。
訓練的にリスニング・リーディングをたくさん行う。楽しいコミュニケーショ ンは国際感覚育成のため。真の英語力をつけるには論理的思考能力も必要。遅い かもしれないが、中1の段階でたくさん聴かせること。読ませること。そのため の材料(アルファベット、単語、フレーズ)は日本語をつかってでも訓練的に覚 えてもらう。


年齢的に九歳説、三歳説いろいろあるが、、、、



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