− 岩本 英嗣君 直撃インタビュー −

英嗣君

岩本 英嗣君


新松戸の選手の中ではいい兄貴役としてみんなをまとめていた岩本英嗣君。
外見や、演技にも現れているようになかなかマッチョな性格です。
笑うと鹿島アントラーズの柳沢にそっくりな、めちゃめちゃスポーツマンな英嗣君です。
今回は英嗣君のプログラムに関するこだわりを中心にみっちりとお話を伺いました。


スケートを始めたきっかけはなんですか?
知り合いのお母さんからスケート教室に行かない?って言われたんですよ。鳥取のスケート場でホッケーとフィギュアと両方の教室があって、フィギュアの人からさきに誘われたのでそっちにたまたま入ったんですよ。
ホッケーのほうが先だったら、ホッケーの選手になってたかもしれない。

それくらいの軽い気持ちで・・・
ええそうです。

その時所属していたクラブ名はなんでしょう
鳥取クラブです。

で、レッスンを始めたのはいつ頃からですか?
6歳ぐらいからですね。本格的にやり始めたのは。

先生はどなただったんですか?
初めは岡本先生という方で、その人はプロじゃなくって、会社を持ってて、会社が終わってから教えてもらうといった形で。まえに選手だった方なんですけどね。だから、毎日(リンクに)いるというわけじゃなかったんですよね。で、月に1回無良先生が来て教えてくれて。少し習ってて・・

中学まではむこう(鳥取)にいたんでしだっけ?
中学2年まではむこうにいて、3年の時にこっち(新松戸)へ移ってきました。

それは、無良先生が新松戸に戻ってきたから?おいでって言われたんですか?
ちょうど中学2年の時の全日本ジュニアで、『普通にやったら10番以内には入れるよ』っていわれてたんだけど、結局16番で、その時に『やる気があって、出てくる気があるんだったら、高校になってからでは遅いから中学のうちに出てきなさい』って言われたんですよ。
で、どうしようかなっ?って考えて。で出てきたんですよ。でも、そんなに悩まなかったですね。軽い気持ちで。(笑)

でも、不安じゃなかったですか?一人で出てきたんでしょ?
特に抵抗は無かったです。

最初から一人暮らしで?
いえ、最初は(高橋)学君と二人で。高校の途中までは学君とふたりで、その後は一人で住んでいます。

学君と一緒に出てきたんですか?
いえ、学君のほうは僕が出てくるよりも前から出てきてて、僕が出てくるときに一緒に住んでもいいよって 言ってくれて。

中学から親元はなれて一人暮らし(正確には二人暮らし)じゃ何かと大変だったでしょう。例えば食事一つをとっても。どうしてたんですか?
中学の時はとりあえず、申し込みだけきちんとしとけば給食が食べられるし、朝は僕はあまり食べないほうだし、 夜は無良先生のところで食べてました。

そうなんですか、無良先生のところには(川崎)ゆっこちゃんも住んでましたから、千絵先生は大変だったでしょうね。
そうですね。



ところで、今回も素晴らしい振り付けをしてもらった、ロバート・ドゥさんってどういう風にプログラムを作っていくんですか?
ロバートは(振り付けのイメージが)頭に浮かんでこないと先に進まないんですよ。
日本の選手がプログラムを作る場合は、先生がテープをもって音楽を流しながら、実際に滑っていって、ちょっとずつちょっとずつ細切れに作っていきますよね。
でも、ロバートの場合は、曲を流していて、その個所について考えていても、今作っているところから先まで、ずーっと音楽は流しっぱなしで、自分で動いてみて納得をしてからようやく僕のところへ来て教えるんですよ。

ある程度一曲全部のイメージが固まらないと出来てこないという事ですか?
そうですね。だから何回も、何回も変わっていくことにもなるんですが、出てこない時はその日は終わり!別の人と交代って言う事もあるんですよ。
でも、まあ、僕は楽しそうにやってるんで、ロバートも根はすごい明るい、楽しい人なんで一緒になってふざけ あいながら楽しんで作っていますけど。(笑)

曲も向こうで決めてくれるの?
曲も頼めば決めてくれますしこっちから、曲はこれでお願いしますって言えばそれでやってくれます。
ぼくもショートは最初は出来た曲を3つくらい用意していって、フリーはこの曲をって言って作ってもらいました。
今年の僕の課題をロバートと話し合って、『イメージチェンジ』がしたいって言う事で。
ロバートが言うには英嗣は静かな動きに対しては大丈夫だ。それ以外の動き、ハードな動きに対してどれだけのものが出せるかって言う事が課題だと。
イメージチェンジをしたいのなら仙台にいる期間では短すぎて無理だと。プログラムを作るだけなら出来るけど、 イメージをチェンジしてかつ、いいものを作るには時間がなさ過ぎるという事で。
それだったら、僕がアメリカに行くって言ったんです。
で、アメリカに行って、あらかじめ(候補の)CDを渡してあったので、(先に)ロバートもやっててくれて、二人で曲を聴きながら、「どの曲がいいだろう」って話し合ったんですよ。じつは他の曲でも作ってもらってて、曲自体がセミクラシックだったんですね。どっちかというとクラシックよりという感じの・・・で、イメージチェンジをするというのにはどうかなぁという事で、それもすごくいいプログラムだったんで迷ったんですけども、一度思い切って対極にある曲でやれば、元に戻した時にも面白いんじゃないかなと。
僕もあと2年しかないので思い切ったイメージチェンジにしたいと。そういうことで最初の曲にしてもらったんですよ。

今回のプログラムは確かに英嗣君のキャラもあるんだと思いますが、今までの日本選手には無いプログラムですよね。斬新というか。
ええ、僕もねロバートが作っているときにボーっと見てて最初『このおっさんは何やってんだろう?何がしたい のかなぁ』と思いましたよ。(笑)ずっとこーんなかっこう(ボールを放り上げる真似をしながら)してるし、気でも 狂ったのかなぁ?と思ってたら、僕のプログラムだった!(笑)

ほんと、あのパントマイムのところとかは初めてみた時はびっくり!新鮮な驚きでしたよね。
そう、あれをねロバートがやるとすっごく上手なんですよ。もうカッコよくてしょうがない!体も筋肉がすごくてね。
一個一個の動きがすごい様になってる。たまんない!

自分の頭の中でイメージが出来上がっているから、一つ一つの動きがピッと決まって様になるんでしょうね。
そう、だから(僕が)やる時にはすっごくうるさいです。例えば手の角度が足と同じラインだったらダメって言わ れるんですよ。足よりも後ろにいくように・・・とか。すっごく細かく言われますね。

そのせいか、英嗣君の演技は決めのポーズが様になっているから写真をとるのも取りやすいし、今回もいい写真が取れました。ぴっと決めてくれるから。
いがいと他の選手はポーズを決めないとか、決めてもすぐに動いてしまって見てる側からすると、なんか印象が散漫になる場合が多いような気がします。ジャンプも大事だけど、表現力を磨くのも大切だと思うんですが。

そうですね。もうちょっとやればすごくカッコイイのにって思うことは多いですね。中途半端にやるほうがかっこ悪いと思うのに。
とくにジャンプが跳べる選手、いまジュニアから上がってくる選手はジャンプはすごいじゃないです。だから、もうちょっとちゃんとやれば他の人と、特に僅差の中でやってるんであれば(演技力を)ちゃんとやればぜんぜん群を抜けるんだし。
ジャンプを跳ぶ事よりも難しい事じゃないと思うんですよ。自分を出すか出さないかって事だから。
どっちみち、試合中は自分ひとりだけを(お客さんは)見てくれているんだから、『自分はこうです!』ってところを出したほうが見てる人にも伝わるだろうし、同じような事をやったって印象はぜんぜん違うだろうし、仮に失敗したって自分はこういう風に頑張っているって出せれば(評価は)そんなにガクッと落ちることは無いわけだから。



そうですね。
むしろ、僕は試合の時のほうがすごく楽なんですよ。人が見てくれてるじゃないですか。
こんだけ嫌な思いばっかりして練習して(笑)
でも、いったん試合になったら4分半という間は観客にそれだけ(頑張って)やったものを見せる。
『失敗しようが、成功しようが、いいものを見せよう!』という気持ちだけ、だからすごく楽なんですよ。

試合は楽しい!と、今まで頑張って練習してきた結果を見てもらえる喜びのほうが強いという事ですね。
そうですね。以前は試合もあんまり楽しいとは思ってなかったんですけど、最近は試合を楽しもうという気持 ちになってきましたね。
自分を出して・・・確かに僕はジャンプが特別得意ではないけど、でも人よりも魅せれる自信はあるから。
ジャンプだけの競技だったら多分こんなにはいってなかったと思うんですけど、魅せれる部分で、ほかのひとがあんまりやらないっていうのもあるけど、別に自分でもムリヤリやってるわけじゃなく、人に魅せれて自分も楽 しいし、それで『今度の良かったよ』っていってもらえれば嬉しいですからね。

男子選手って最初は照れくさいとか、そういうのがあってなかなか入り込んで演技できない人がいるじゃないですか、そういう点については英嗣君は無かった?
そうですね、わりと最初から無かったですね。(しっかり演技することが)自分にとってプラスだと思うし、別に人前に出るのも嫌いじゃないので、性格が性格なので・・・(笑)

目立ちたがり?人に見られるのが好きとか?(笑)
そうですね。それに、かっこ悪いのが嫌なんですよ。だから、わざわざ試合で『あーひとが見てるから・・・』って (緊張して)中途半端にやるほうが僕にとっては、競技してる人間としてかっこ悪いと思うんですよ。
それだったらフィギュアスケートじゃなくていいんじゃない?って気がするんですよね。フィギュアスケートをやってるんだったら人に見てもらって、まして機械が点数つけるわけじゃないんだから、ジャッジの人にもアピールできるところはアピールしていくし、人間が点数をつけるんだから、その人に思いがちゃんと伝われば、それなりの点数を出してくれると思うんですよね。自分にマイナスな事をやってもしょうがないでしょう。わざわざかっこ悪いことをやるほどかっこ悪いことはないなぁ!と思ってるんですよ。どうせならカッコよくやりたいですよ。

自分をカッコよく見せて、いい点つけてもらえば言うことないと。フィギュア向きの性格なんですね。
目立ちたいってのもあるとは思うんですけど・・・だからプログラムにはこだわりたいですね。

プログラムにこだわるというのは大事ですよね。
プロの演技を見るとジャンプはさして跳んでいなくても、やっぱり感動しますからね。演技力のなせる技ですよね。

そうですね、僕はポール・ワイリーを崇拝してるといってもいいくらい好きで、プロになってからの試合とか結構見てるんですけど。なんといっても『フィギュアスケート』やってるじゃないですか。
とくべつジャンプが上手いよとかは無いけども、見せることも上手いし、スピンも上手いし、スケーティングも上手いし、僕もああなれたらいいなって思っていますね。

今まではロックっぽいっていうか、ワイルドっていった感じの、英嗣君だったんですけど、今回はもっと深みがあるというか、ストーリー性のあるプログラムでしたね。さて、これから先はどういったところを目指していきたいですか?
そうなんですよぉ!来シーズンのプログラムをどうしようかと・・・(笑)

今回のプログラムがかなり評判よかったでしょ?さらに期待が大きくなりますね。
フリーを変えるか、ショートを変えるかすごい迷ってるんですよ。あのフリーはもっと煮詰めてやっていきたい気もありますし。そうなるとショートをまたちょっと変わったものに変えて見ようかな?と。まだ、ロバートと相談してみないと分からないですけど。

英嗣君は兄弟いましたっけ?
姉がいますよ。

という事は長男なんですね。じゃあゆくゆくは鳥取に帰って、お父さんの会社を継がなきゃいけないんじゃないですか?
いや、継がないです。ていうか、おまえには無理って言われました。(笑)

あはは、そうなの。(笑)
それに、継ぐとなると鳥取に帰んなきゃいけないけど・・・どっちみち、やめても東京には居ないと思うんですよ。

じゃやめて、一旦(田舎へ)帰るってことですか?
僕はアメリカへ行きたいんですよ。3年くらいは。

何をしに?プロになるんですか?
いえ、勉強をしに。英語と、スケートの。
コーチになったときに、日本で、プログラムをできる先生になりたいので・・・
日本で試合のときに選手を見ていてもあまり衝撃を受けるという事は無いんですよ。
それが、海外の試合になると、こないだ初めてシニアの海外の試合に出たんですけど、もう、雰囲気からして 違う。
それができる、プログラムも作れる先生になりたいと思っていて。やめてすぐに先生になったら、ジャンプとかは まあ、今までの自分の経験で何とか教えられるかもしれないけど、プログラムを作ってくださいって言われた時に、いいものが作れるかな?って思っていて。だからどうせだったら、まだそんなに焦って先生として板につかなくても、勉強してからでも、若いうちにしか出来ない事だから。

先生としての基礎を作ってからという事ですね。
後からアメリカに行きたいなって思っても、自分が生徒を持っちゃったら出来なくなっちゃう事だし。

確かにそうですね。やはり現実問題として、プログラムの良し悪しは大変重要ですよね。
そして、日本の選手も、いいプログラムが欲しかったら、海外に行って作ってもらうっていうのが現状になっていますからね。

ぼくはロバート(ドゥ)のところでやってもらってるんですけど、ロバートのもとでやるようになってから、ロバートのやり方とか、作り方とかが、僕の性格とか、僕のやっていく段階とかにすごくよく合っていると感じてるから。
だから、ロバートのところで受け入れてくれるかどうかは分からないけど、でも、アメリカでやるのなら紹介してあげるよという人も居るので、行きたいなと。
それに、もし仮にスケートに携わらないにしても英語が出来ると出来ないでは大きく違うし、武器になるじゃないですか。どんな職種についても仕事をしていく上で。だから英語の勉強もしたいんですよ。
人に言われた事を理解するだけだと1年くらいで出来るだろうけど、討論するとかというレベルに行くには最低3年くらいかかるかなと。



で、具体的にプログラムについての勉強をするって、どういう勉強をするんでしょうね。
僕はいろんな人の(プログラムを)作ってるのを見たいんですよ。僕のを作っている時のもそうだけど、ほかの人のでも、同じ曲を使ってても、ロバートの頭の中にあるイメージというのが、次から次へと変わっていくんですけど、そのパターンが僕にとっては貴重な情報になるんですよ。で、いろいろな人のを見てれば、こういう(イメージ)のはこういう時につかえるんだな、とかって参考になりますから。
僕の発想に全く出てこないことをやるんですよ。音に対する間の取り方も、僕の考えているのと全然違っているし、頭の中にあるのがスローの時にはスローにって感じなんですが、ロバートは「スローの曲だからスローに動かないで」って言うんですよ。クイックな部分もスローの曲の中に必要だし。全く僕の発想の中に無かった事なんですよ。そういうところで、(学べば)もし自分がプログラムを作る時にも(イメージを)広げられるじゃないですか。

つまり、ほかの人に振り付けをしているところをそばで見ている事自体が勉強になるということですね。
そうです。

振り返ってみると、新松戸の選手ってそれぞれプログラムにこだわるというか、しっかり表現しようという選手が居ましたよね。
直樹君もいわゆる正統派の演技派だったでしょ。洋輔くんも今回は独創的なプログラムで個性をアピールしているし、そして英嗣君は男性的な魅力っていうか、力強さを表現する演技ですよね。・・・それぞれ個性を意識して 表現していると思うんですけど、お互いに意識している部分ってあるんですか?

そうですね。それぞれ違っているので、なんとも言えないんですが・・・
洋輔がプログラムを作ってもらって帰ってきて、初めて曲がけをやった時、みんなは見て笑ってたんですけど、 僕はその時、すっごい嫌だったんですよ。『あっ!まずい・・・』と思ったんですよ。

えっどういう意味?
まずいなぁ・・・と。想像したよりも相当よくって。(笑)
そうきたか!と。こりゃぁやられたなぁ!と。
僕はその時はショートだけ出来てて、フリーは作ってもらってた段階だったんですけど、洋輔が丁度戻ってきて、見て、このフリーはちょっとやられたな!と。アメリカへ行ってフリーを作ってもらう時に、こりゃぁロバートに相当頑張ってもらわないと・・・って思いましたよ。(笑)
でも、僕はあれ(ターザン)はちょっと無理だなと。

キャラに合わない。(笑)
僕の思う『カッコイイ!』というのとはちょっと違うかなと。(笑)

英嗣君の思う美学にはあれは入ってない?
ちょっと違う。でも、あのプログラム、洋輔にはすごく合ってると思ったし、人を笑わせたり、納得させられるものを持ってきたっていうのはすごいなぁ!って思いましたね。

いままで、表現力に関しては負けてないぞっ!って自負してたのに、やられたっ!て所ですか?(笑)
あのプログラムに関してはやられたかなと。(笑)
かりにロバートがあれをやれっていっても僕は出来ないですね。

では、正統派の演技のほうだったらどうですか?
たとえば直樹君の『ボレロ』ああいう演技はできるんじゃないですか?

うーん、もし、僕があのボレロをやったとしたら、今の僕が表現できる形のものになると思いますね。
僕は、女々しいのが嫌いなんですよ。
(べつに直樹君のボレロが女々しいといっているわけではありません)
だから、クラシック的なものができるからといって、フリーで4分半、フルでクラシックを使うのは出来ないと思うんですよ。まっ、やったことも無いから分からないんですけども。
スローの部分があって、スローパートで柔らかい動きを出す事はできるけど、それだけだったら自分が思う、 男としてカッコイイ、男として魅力を感じてもらうものを出すのに、全部柔らかい動きにしてしまうのは違うかなと。

男性的な力強さなどを引き立たせるためのスローパートであったり、柔らかい動きであればOKだけど、全編そういった感じでは出来ないと。あくまでも、男の魅力を引き立てるためのスパイスのようなもの、だという事ですね。
英嗣君が目指すカッコよさはあくまでも男性的魅力であるという事ですね。それはいままでも十分に表現されているとは思いますけどね。

あのー、よく直樹先生に言われる事なんですが・・・
僕はジャンプは出来るだけ大きく跳ぼうと思っているんですよ。でかいほどかっこいい!と。
それが良いのかどうかは分からないんですけど、でも、人よりジャンプ力があるんだったら高く飛ぼうと思っ ているんですよ。
しかし、直樹先生にはそれは確率は悪いって言われるんですよ。
直樹先生のジャンプはどっちかというと、できるだけ軸を細くして流すジャンプ。僕のは出来るだけあがるジ ャンプ。

がっ!と豪快に。
でも、『それは確率が悪い』って言われるんですよ。で、すごく直されて、直ってきたかどうかまだわかんないですけど、僕はでかく跳ぶのを止めようとはしてないです。
その中で上手くいくようになれば、でかく跳んで確率が上がれば言う事ないと思ってるんですよ。
(直樹先生と)同じことをやって、(先生と)同じジャンプにしてしまわれると、それは僕のスタイルが崩れるから。
すごく分かるんですよ、先生の言う事も。確かに先生からしたら確率のいいものを・・・
でも、僕はどうしてもでかく跳んで確率を上げたいんですよ。
それを直すのが大変で。先シーズンから?その前からだっけ?直樹先生に習うようになって、先生とはいろ んな衝突もありましたしね。
僕も変えなきゃいけないこともありましたしね。

スタイルが違いますからね、二人の。
そうですね。まぁ、それで変わった部分もありますし、だからだいぶそれが今年につながったかなぁ、と思いますけど。
今年は、練習と試合とであまりギャップが無かったですね。昨季は練習では出来ても試合では全く跳べなかっ たですから。いままでで一番ひどかったですね。試合でジャンプが1つ入ればいい方っていう状態で。
どーしても試合でジャンプが入らなくて。
あー、どーしよー!って思って。
でも、だいぶ直樹先生が言ってる部分、確率が上がってきてるし。だからっていって、ちっちゃいジャンプには まとまってはいないし。

小ささくまとめて安全運転にはしたくないと。
確率もよくなっただろうし、ジャンプの大きさもあまり変わってないと思うんですよね。

そうですね。
やっと、出来るようになってきたのかな、立て続けにミスすることはなくなったかな?



今後の課題は?もっとジャンプの確率を上げる?
もう、4回転を入れていかないと・・・

そうですねぇ。
インカレとかでも、(中庭)健介は4回転綺麗に入れてきてるし。あれみて、絶対勝てないと思ったですよ。(笑)

そうなの?(笑)
ちょっと無理だろう、さすがにきついなぁ、4回転入れられたらって思いましたもん。

そうなると、トリプルアクセルと4回転がないと国内でもね、若手がどんどん伸びてきていますからね。
アクセルか、4回転のどちらかが入ればそれほど負けない自信はあるんですけどね。どっちかがコンスタントに入るようになれば・・・たぶん・・・ 今のままだったらやっぱり2番、3番を取りにいくという状況になっちゃうから。1番を取りにいこう!って自分で思えるくらいになるんだったらコンスタントに入るようにならないと。勿論両方入るのがベストなんですけど。

ぜひ!両方でお願いします。
一応4回転も練習しているんですよぉ。でも、おっかなくて!(笑)

えっ、そうなの?(笑)まさか船橋ではやってなかったでしょ?
やってましたよ!

えっ!うそーぉ!だってあそこ危ないでしょ。
いや、あそこ風があって跳べるから。(笑)

屋外ですからね。やったらめったら寒いんですよね。親は座ってみてられなくてみんな立ったままですよ。 でも、風って影響あるんですか?追い風で?
風に乗るとすごいジャンプが上がるんですよ!ホントに!

そういえば、私が観に行った時も3フィリップをすっごく綺麗に跳んでましたよね。
そう、(中川)雄介とかもすごいよく跳んでますよ。

そうそう、3ルッツを綺麗に跳んでましたね。
風ですよ。きっと風!(笑)

みんな楽しげに練習してますよね。
僕、船橋好きです。

船橋の専属になりますか?(笑)
船橋って屋外じゃないですか。しかも、遊びで滑るのじゃなくって、真剣に練習できるところって珍しいですよね。 あんまりないし。

でも、船橋ってすぐ上に万国旗が張ってあるでしょ。邪魔というか、怖くないですか?
あんまり怖くは無いです。っていうか、僕は届かないかなっ?って思いながら跳んでるんですけど。(笑)

ええっ!本当に?見てると視界に入るし、引っかかりそうで怖いんですけど、反対に、届かないかなって思ってたんですか?そりゃぁ知りませんでした。下のヒラヒラの部分ぐらいになら触りそうですよ。
そう、あそこをいっつも気にしながら・・・(笑)
丁度、ジャンプの頂点が旗の真下に来るようにって、跳んでたんですけど。

船橋のリンク

これが噂の船橋のリンク

ずれてますよ。後ろに。(笑)
そうなんですよ。なかなか頂点が合わないんですよ。

あははは、なんだか最後はおかしな話になっちゃいましたけど・・・(笑) 真面目に戻って・・
これからは神宮で練習するんですよね。

はい。もう引越しもしました。

そうなんですか、で、今年、ユニバに出たいと?
そうですね。でも、できれば4大陸にも出たいし・・・ あっ、でもユニバはイタリアだっけ?イタリアはいいですよね。イタリア行きたいなぁ。

じゃあ4回転も入れつつ、大きいジャンプで、1番を狙う演技をお願いします。 期待していますのでがんばって下さい。
はい、頑張ります。



英嗣君のプログラムに対する思い入れの片鱗が伝わったでしょうか?
英嗣君独自の、男性的魅力に溢れた演技が今年も期待できそうです。
選手としては最後のシーズンになりますが、いい成績が残せるように頑張っていただきたいです。


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