僕の点数:4.5
見た日:00.10.28
1999
Country: トルコ
アクション ドラマ コメディー
映画館で見た
キャスト | タネル・ビルセル ベンヌ・ユルドゥルムラル ズハル・ゲンジェル |
監督 | レハ・エルデム |
音楽 | プレッシャー・ドロップス |
備考 | 東京国際映画祭コンペ参加作品を見てきた。 現代社会でいやおうなく手にする貨幣(カネ)がテーマのスラップスティックなコメディドラマ。 洋服屋を営む生真面目なセリムは、ある日、ひょんなことで大金を拾ってしまう。後にそれが銀行強盗去れたものであることが分かり、家族にも質素な生活を続けさせてきたセリムに、変化が訪れる・・・。 オチであんなラストをサラリと描いてしまうあたり、監督の遊び心もたっぷり。 無いと困る「カネ」、されどありすぎても困る「カネ」。「カネ」にまつわる、人間のどうしようもないさまざまな行動をペーソスたっぷりに描く。これまで、ありそうで無かった「カネ」の映画。ストックとフローのバランスが急に崩れた男のおかしくも悲しい話。 無表情でお堅いセリムの心の変化を(ティーチインによれば普段は外向的という)タネル・ビルセルが、好演。終始、会場の笑いを誘った。ティーチインで見せた愛嬌たっぷりの表情がさらに笑いを呼んだ。 娯楽映画らしく、非常に速いテンポで物語が展開する。映像も映画を知っている人ならではの、程よい美意識が随所に見られて、好印象を持った。そして、「あえて観光名所を避けた」というイスタンブールの景色が息を飲むほど美しい。 ティーチインでは、トルコの現状が多く議論されたが、この映画でトルコ的なものといえば、普通に「数十万」という単位がやりとりされる凄まじいトルコリラのインフレぐらいで、この寓話的ストーリーは、トルコに限らず全世界に強い普遍性を持つ。 |
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