クッキー・フォーチュン

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ロバートアルトマンお得意の集団劇だが、今回はちょっと毛色が違う。
町で一番慕われていたクッキーおばさんが頭が銃弾で粉々になって死んでいた。明らかに自殺であったが、第一発見者の姪は、「一家に自殺者はいない」ということを言いたいがために、他殺に見せかけた。しかし、思いも寄らぬ状況証拠で、いちばんクッキーおばさんと親しかったウィリスが逮捕されてしまうことになる。ところが町の住民はウィリスを信頼しているので、ウィリスのいる留置所が住民のたまり場になる始末。
これまでになくテンポがのんびりしていて、非常に楽しい映画。その分、やや全般的に芝居の臭さが目立つが、今回も見事に個性的なキャラをまとめあげていて、さすがアルトマン、と思わせる。
改めて、ポール・トーマス・アンダーソン監督の「マグノリア」（これにもジュリアン・ムーアが出ている）と比べてみれば、その差は歴然。アルトマンの円熟・卓越した演出に軍配が上がる。とくにジュリアン・ムーアの演技を比較すれば、明らかにこの作品の時の方がうまい。
ここのところ、アルトマンの作品にかつてのような粋な笑いが見られなかったように思うが、この作品で完全復活を果たしたと言っても良いだろう。