小人閑居して不善をなす

ドラクエはいつまで経ってもドラクエか

ドラクエは面白かったねえ。過去形で言ってるわりに終わってねえけど。
はっきりいうと、まだ始めたばっかし。
ま、ドラクエ7自体はかなり「いい感じ」なので、じっくり時間をかけてプレイしようと思っている。
で、ちっと早いんだけど、いろいろ気づいたこととか注文(文句とも言う)を加工かと思ったわけだ。
素直な感想からいうと、「変わってない」ねえ。
前作がスーファミで、今作はプレステなわけだが、ほとんど違和感がない。
「グラIII」じゃないけど、なんか懐かしい感じがしたよ。
ライバル関係にあるFFがプレステになって以来、どんどん別のゲームになっていったのに対し、ほとんどなんの進歩も見られない。
結論から言うと、「これもアリ」だとは思うのだけれど、なんかショボい。
もちろん、マップは3Dになったし、グルグル回るんだけど、
あれは完全に技術力不足が露呈している。
テクスチャーの張り方も雑で、回転させるとすぐ破れるし、「オール手描き」テクスチャーなんてただの言い訳に思える。
さらにはっきり言うと、キャラクターは2D(疑似3D)だから完全3Dでもない。
FFの洗練されたプログラム技術からすると、かなり幼稚。
おそらくはプレステ登場期相当の出来の悪い3Dグラフィックなものだから、
久しぶりに「3D酔い」しました。
あれって、出来が悪い、またはリアルじゃないと「酔う」んだね。
それでもFF9よりもFF8よりも売れたんだから、
ユーザーの本物を見る目はとても鋭いんだと思う。
もともと、ドラクエのプログラム技術自体はそれほど凄いものじゃないし、
その魅力は別のところにあったのだろう。

やっぱり、シナリオなのかねえ。
最初のクエストがもう秀逸で、この段階で「傑作」決定なわけよ。
そもそも、子供が近所の森やらなんやらを探検するノリで始まるでしょ。
これ最高。
どう考えても、大人が自慰行為替わりにプレイするためのゲームである「ぼくの夏休み」よりもゲームとして立派だ。
「ぼくの夏休み」を楽しくプレイしているような小学生はただのインポで、そこからなにも発展がないでしょ?
未来のない大人は「ああ、昔はよかった」で終わりだから発展がなくてもいいけど、
未来ある小学生だったら、自分の足で近所の森へでも田舎へでも行けばいいじゃん。
ドラクエの場合だと、「ドラクエごっこ」というかどうか疑問だが、少なくとも自分らでも近所の森へ探検行ったりしないかな。
少なくとも、俺がガキだったらそうしたし、それどころか、ドラクエ7の影響で、この前奥多摩の鍾乳洞までつい行ってしまった。
天然のダンジョン巡りは最高です。
なんつうか、冒険心をくすぐるのよ。
そういうくすぐりのうまさは、ドラクエならではだなあと思う。
そっから先は、まあ、ドラクエらしい世界が広がっていくのだけど、
最初の「ドキドキ感」は後々まで引きずるんじゃなかと思う。

フォーマットと違うけど、ここで余談。
最近見た映画で最高だったのは「アイアン・ジャイアント」ね。
これについて騒ぐの、今更遅いんだけどさ。
いい年こいてまだ、ロボットアニメで泣くんだから情けない。
今や条件反射で、何度見ても泣ける。
この作品には、原作もあるんだけど、どう考えてもその元型は「日本のロボットアニメ」でしょ。
少年とロボットの交流がメインテーマだったりして、
すでに日本では陳腐化してるテーマをアメリカ流に焼き直した感じ。
陳腐化した話を焼き直すなんて手法(先祖帰りとか原点回帰なんて言うね)は、
当然日本でもよくやる手法で、直接的元ネタではないかと思っている
「ジャイアントロボ・ジ・アニメーション」や「新世紀エヴァンゲリオン」は間違いなくそれ。
ただ、その本質の捉え方が上手い。
ただしく本質を捉えているから、間違いなく「子供向き」の作品に仕上がっているし、
なおかつ、大人が見ても楽しめるものになっているわけだ。
話の内容はシンプルなので、簡単に語れるんだが、あえて語らない。
ただ、中身はとても濃密で、「もしかすると子供には難しいかな」とさえ思う。
まあ、きっと一番重要なメッセージは伝わると思っているのだが。
ここのところ急速に増殖をはじめた甥っ子姪っ子を実験台にして検証してみようと思うのだが、どうなるかな。
実際、泣けるポイントもだいたい予想通りなので(それでも泣けるから困る)、
本当に陳腐で、にも関わらずよく出来たシナリオだと思う。
また、作品に反映されている「時代の空気」も興味深い。
ロボット同士の戦いなんていう子供の好きそうなジャンルに、「時代の空気」をリアルに映し出すことで、物語に奥行きを与えるってのは、富野監督の得意技なんだけど、ガンダムはこれがあったからこそ、今も生き続けていると思う。
だから、多分、今「アイアンジャイアント」を見た幸せなガキは、
十年後に偶然それを見て、かつて得た素晴らしい宝物の価値に気づくと思う。
別に見なくても、その宝物は見た者のすべてに与えられているんだけど。

で、ドラクエに戻る。
ドラクエにも「時代の空気」って奴が反映されていて、
いい年こいた大人がプレイすると、いろいろな意味で面白い。
この「時代の空気」って奴は、FFの方が得意だし、FF9もかなり直接的にそれをテーマにしている。
ドラクエは、もはやそれを描くことがテーマで、ゲームとしての成長はそれほど要求されていないのかもしれない。
偉大なるマンネリという奴か。
そもそもドラクエって奴は、「ウィザードリー」を基本ルールにしつつ、シナリオだとか平面マップを移動するってアイデアを「ウルティマ」からもらったもの。
ではあるんだけれど、もはやオリジナルの「ドラクエ」スタイルって言ってもいいと思う。
今更、「ウィザードリー1」とかプレイしてみろって言っても、ねえ。
俺は実際、「ドラクエ6」をプレイして、「どうもここんところ難易度上がってないかしら」と思うことがあり、今後のシリーズの売り上げに影響が出るような気がしていた。
でも、そんなのただの杞憂であったわけだから、俺も余計な心配をしたもんだ。
今回も難易度高くてねえ。「頭の固くなったオヤジには解けない仕組みか?」なんて序盤から思ってた。
難易度っていうか、攻略中のクエストの解法がちょっとひねってあったり、おそらく話が進むと、複数のクエストが平行して進んだりするんだろうなとか、
暇つぶし気分でいい加減にやれるゲームではないと思う。
今は面倒でやってないけど(だから難易度が高い)、
きちんとメモをとっておくとプレイがスムーズになるだろうと思う。
そういうのもあって、スタートとゴールは一緒でも、過程がプレーヤーの性格によってそれぞれ違ってくるような気がする。
手に入るマップも、ランダムだったりするのかなあ。
そういう趣向も入っているような気がする。
これが、ドラクエ流の「一本道RPG」打破に対する回答のひとつではないかと思う。
その他、アイテム探しや転職とか、FFにも共通するシナリオに直接影響しないクエストもたくさんあるし。
俺も普通はそうしないんだけど、「傑作」と認めたゲームに対してだけ、
「リセットチャレンジの禁止」を課していて、プレーヤーが死んだらわざわざ教会まで戻ってやり直すとかしている。
当然、全滅したら最初からやり直し。
いや、時間かかりすぎ。
こういうのも含めて、自分の好きなスタイルでやると面白いのかな。
最短時間クリアーとかも面白そうではあるしね。
なんというか、表面的な部分は何も変わらなかったぶん、奥行きが増していると思いたい。
あっ、だから見た目も3Dになったわけだ。
強引な理屈でオチをつけてしまった。

なんか、この後も面白そうなゲームが出るらしいんだけど、
当分はドラクエ7一筋ってことにしよう。

メールは下記まで zenryoku@mac.com