4月26日 松島周遊
ゴールデンウィーク初日と言われた26日(土)。しかし丸ビルも開いていない午前10時頃の東京駅の人影はまばら。もっと早い電車で行ってしまったのか、それともカレンダーの影響なのか。テレビ局のカメラが来ていましたが、あまりに絵にならない光景に、早々に引き返していきました。
駅弁を買ってやまびこ109号に乗り込みます。えきねっとポイントでボーナスポイントがつくというので、109号の1階にしたのですが、ボーナスポイントは1階のせいばかりではないことに、福島で気づきました。やたらと停まるのです。上野、大宮、郡山、宇都宮、そしてここ福島。しかも山形新幹線を切り離している間に、なんと「はやて」に追い抜かれました。もともと東北に近いところで暮らしていたせいで、電車で北進するのは初めて。当然東北新幹線に乗るのも初めて。「はやて」が「のぞみ」で、「やまびこ」が「ひかり」であることを知らなかったのです。
ようやく仙台到着。両親とお茶してロッカーに荷物を預けると、そのまま松島へ。あおば通りの駅からJR仙石線に乗ってから気づきます。
ロッカーにカメラも預けてしまった・・・。
というわけで1日目は文章だけです、すみません。随分前に松島には1度来ているのですが、行ってみてあまり覚えてないことに気づきました(^^;。前に来たときは夏だったから混んでた気がするのですが、天気もまあまあなこの日は観光客も少ない。小さい頃だったからもっと広く感じた気もするのですが、それほど広い海岸ではありませんでした。有料の橋を通って島へ渡り海を眺めると、観光船が港に入ってきます。どの船もカモメをまとわりつかせて、まるでカモメに襲撃されているようです。
我々も塩釜行き(島巡り付き)の観光船に乗ることにしました。案の定カモメが待ちかまえています。関心なさそうな顔をしながら、横目でしっかり客がえさを買うかどうか探っているようです。観光船で売っている「えさ」は、やはりここもかっぱえびせん。日本で販売されているかっぱえびせんのうち、2割くらいは動物のえさとして売られているのではないかと考える片桐です。買う客はやっぱりいて、カモメは臨戦態勢。えびせんが舞い始めると、大量のカモメが飛んできたのでした。しかし人間が食べるにしても塩辛いかっぱえびせん。そんなものを主食にしてカモメは塩分過多にならないのだろうかという疑問を相方にぶつけると、
「塩水飲んでるんだから、大丈夫だろ」
そ、そうなのか?
あちこちの奇岩をみていると、松島の命もあとどのくらいもつのだろうという気がしてきます。波と岩が喧嘩してできた「絶景」は当然のように勝ち続ける波のせいで、きっとあと何百年かのうちに無くなってしまうのでしょう。いや何千年か?我々が気に入っていたのは、岩が展望台のようになった島。そう言えば前に来たときも見たような気がするのですが、近くで見るとますます面白い岩でした。
塩釜が近づくにつれて気になるのが、平行に3本ならんだ大きな煙突です。実は私はでっかい無機物が大嫌いです。東京タワーとか遠くから見る分には全然平気なのですが、足下でものすごく大きな基礎に突き刺さる鉄の足を見ると、ぞぞーっとします。のたくったような工場のパイプも大嫌い。というわけで、異様に大きい煙突が近づいてくるとぞぞーっとしてきました。雰囲気から電力系の建物だということはわかったのですが、見たこと無いような煙突の大きさから原発じゃないかと疑っていたところ、アナウンスで「東北電力の仙台火力発電所」だということが判明。
塩釜港に到着すると、港のショップに榮太楼のなまどら焼が売っているのを見つけました。さっそく2つ購入。私は普通のやつを食べたのですが、相方の買ったごま風味のもgood。
夕食は「利久」。さっそく牛タンです。黒板に刺身が書かれていて、旬のカツオがあったのでそれも迷わず注文。旬には少し早いですが岩がきも書かれていたのでそっちも注文したら、ものすごく美しい岩がきが登場して感動。私は麦めし、テールスープも食べて超満足。後で考えたところ、ご飯とスープ分相方よりも多く食べてたのでした・・・。
4月27日 ウィスキーと温泉
日曜日はかねてからの計画通り、青葉区の奥地・作並へ。快速に乗って作並駅に着くと、駅前にニッカウヰスキー仙台工場(宮城峡蒸留所)行きの無料送迎バスが待っていてくれました。我々2人とあと1人の女性だけを乗せて、バスは蒸留所へ向かいます。朝早かったからか、すぐに着きました。少し山のほうに来たこともあって、街中では先週のうちに散ってしまったという桜も、ここではまだ少し残っていました。ウィスキーを作る場所は、当然水が綺麗でないとダメなので、どの蒸留所も山中の綺麗なところにあるんですよね。しかもウィスキーは長期間の貯蔵が必要になるので、蔵を配置した蒸留所はどこも雰囲気が抜群です。意外と穴場の観光地かも。見学の出発を待つ間、ビジターセンターの中にあるバーカウンター
のようなところで、年代がすこしづつ違うウィスキーの匂いをかがせてもらいましたが、面白いですねーこれ。樽に詰める前のなんて、日本酒そっくり。そこのおじさん曰く、「泡盛に似てるという人もいます」とのこと。それが10年、20年経つうちに、いかにもウィスキーの木(樽)の香りが強くなってくるんですよね。ひとつ、シェリー樽のものがありましたが、またこれも匂いが違う。家にあるのは比較的癖の強いウィスキーばっかりなのですが、新しい樽に詰めたものだと言われたウィスキーは、あまり強くない雰囲気でした。おじさんが試しにどうぞと少しアルコール度数が高めのウィスキーをストレートでくれたのですが、なめただけで「胃までアルコールが降りていきます」という感じの強さにぶっとんだのでした。
見学は何度か行ったウィスキー工場とほぼ同じ。見学としてはチャーの現場が見られる「サントリーウィスキー白州蒸留所」が一番でしたが、園内の美しさとしてはこの宮城峡蒸留所がよかったかな。この工場の特徴は、モルトウィスキーだけじゃなくてグレンウィスキーも作っていることだそうで、グレンウィスキー用のカフェスチル模型も見せて貰いました。が本物が見られなかったのが残念。せっかくだからそこも見学ルートにすればいいのに。
見学の後は試飲です。さすが仙台というか、おつまみが牛タンのスモークでした。昨日あれほど牛タンを食べたのに、また食べてしまいました。さっきのウィスキーでノックアウトされてた私は、ジュースとワインを飲むことに。一口嘗めさせて貰いましたが、やっぱりウィスキーは強いです。
お土産の限定ウィスキーを買ってお昼を食べ、再び作並駅に戻ると、今度は作並温泉一の坊行きの無料送迎バスに乗り換え。私たちを送ってきたウィスキー工場行きのバスはうってかわって満員になっていましたが、朝は満員だった作並温泉行きのバスは今度は私たちだけ。どうも我々の行程は、一般の人たちとは逆ルートのようです。
土日祝日は予約を、というホームページの記述を見て、あらかじめ予約を入れておいた一の坊は思ったよりずっと大きな宿でした。入ってとりあえず内湯につかり、その後男女の時間が入れ替わったに頃合いを見計らってこの宿の名物?でもある源流露天風呂に行ってみたのですが、これがすごい。ホームページの写真を見ていた私もびっくりするほどの露天風呂でした。真下に川が見えるのです。それがものすごく綺麗な川で、見飽きないのでした。端に寄ると向こうの宿から丸見えっていう気がしたのですが、まあ気にしない気にしない。食事は食べてないので何とも言えませんが、お風呂だけでもこの宿はおすすめ。また来よう。
再び仙台に戻り、今日のご飯は・・・と思ったら、狙っていたお店がみんな休みだったんです。日曜日は休みなんですね。残念。目についた居酒屋さんで。と思ったら、ここで出たよせ豆腐が意外や意外おいしくて、驚いたのでした。知ってる人は知っていますが、私は豆腐が苦手なのです。それでもおいしいと感じたのですから、仙台侮りがたし。
4月28日 角館桜見物
新幹線の誤算はここでも噴出しまして、まさか「こまち」が全席指定だとは思っていなかった私は、前日にあわてて座席を予約。取れた新幹線は午前6時37分仙台発のこまち71号でした。というわけで、いつも通りの時間に起きて、6時に両親の家を出た私たち。朝食のパンを買って乗り込んだのですが、この誤算が今日は良い方向に働きました。9時前に角館に到着したので、まだ人出もそれほどではなかったのです。散策用地図を貰ってとりあえずは国名勝の桧木内川堤へと向かった我々。道行く人は、観光客よりもカメラおたくのほうが多いようです。10分ほどで堤到着。確かにこれはすごいです。川縁の道がずーっと桜。ひたすら桜。しかも完全満開。芝生ではおそらく地元民と思われる作業服を着た男の人たちが、シートはりに夢中。今日はここで宴会なのでしょう。時間も早いので、犬のお散歩もちらほら。その間に様々なレンズを付けたカメラマンたち大勢。なんだか嵐の前の静けさといった様相です。
そのまま川縁を進んで、今度は武家屋敷のほうへ。こちらはソメイヨシノではなく、国の天然記念物でもある枝垂桜。ソメイヨシノはものすごく存在感を主張する木ですが、枝垂桜ははかない感じで、これがまた武家屋敷の黒の映えていいですね。道が狭いので、こちらのほうが徐々に混み始めている感じでした。
まだまだ午前中。お昼にも早いので、駅前で自転車を借り、田沢湖方面の抱返り渓谷へ向かいます。ところが、同じ車輪の自転車を漕いでいるのに、何故か私は徐々に遅れていくのです。相方曰く、漕ぎ方がヘタクソだそうですが、力の違いを考えても10馬身差状態。しかも坂道がてんでダメな片桐は、渓谷までの6キロ程度ですでに筋肉痛でした。
苦労してたどりついた渓谷。釣りをする人たちがいたりする綺麗な川でしたが、残念ながら雨が降ってきてしまいました。写真のとおり、角館は雲もないような空だったのです。さすが山の天気は変わりやすい。雨が大粒になってきたので、川を見物しただけで退散。今度はもう少し天気が良い時に行きたいかな。
往復12キロという過酷な自転車運動のおかげで、すっかりお腹が空いた二人。角館へ戻ると、武家屋敷通りにあるうどん屋へ。意外とすんなり入れて、私は稲庭うどん、相方はそばを頼んだのですが、その後が長かった。待つことなんと30分!うどんですよ、うどん。しかも木屋の太麺のように時間がかかるようなものではなく、素麺と見間違う稲庭うどん。前に座ったおじさんは「50分待ったよ・・・」と言ってるし、店の手際の悪さに対するいらだちで、客の間に妙な連帯感が生まれています。「みんな20分は待ってますよ」と嘆いたり、店の戸の前で並んでる人にも「座ってからのほうが時間かかりますよ」と忠告する始末。いや、おいしかったんですけどね。わざわざこれだけを食べに来るほどではなかったかな。どちらかというと、その後通りで食べた比内鶏の焼き鳥のほうがすばらしいお味でした。
それでもまだ新幹線の時間まで間があったので、自転車屋のおじさんにすすめられた安藤家へ行ってみることに。ちょうど武家屋敷通りと駅前通りを挟んで反対側にあるせいで、大量の人もそちらのほうには向かっていません。安藤家は武家ではなく、昔から味噌・醤油の醸造元だったようで、今でも自家製の味噌や醤油、そしてそれらを使った漬け物などが売られていました。さらに奥に入っていくと、五月人形が飾られた部屋。逆の奥に行くと、味噌の試飲と称してみそ汁を飲ませてくれる部屋がありました。せっかくなのでいただくことに。机には漬け物もあって、みそ汁に漬け物にと至れりつくせり。味噌はちょっと甘い感じで、豚汁に合いそうと相方と意見が一致したのでした。家のおばちゃんが「今日はすごい人でしょう」と東北なまりで話しかけてきて、「朝はカメラマンが行列作ってた」とか「でも昨日のほうがすごかった」といった話を聞かせてくれました。見学も無料だったし、結構満足。
時間になったので、駅から東京行きの新幹線に乗ったのですが、これまたすごい人。全席指定ですが、満席の場合に立席特急券も売り出されます。それで乗った人々がデッキからあふれている状態。子供は泣くし、議員らしい一行の携帯が鳴りまくるし、川縁もびっくりの騒音車内でしたが、ただそんな喧噪も盛岡まで。一気に人が減ったかと思うと、静かになったのでした。
今日の夕飯は昨日休みだった「花ごっこ」。ちょっと中心からは外れたところにあるのですが、両親の家から近いので便利。ここの料理がとーってもおいしかったのでした。店員さんの教育もよくて接客も気持ちよかったし、とってもに満足。今回の旅行で一番満足した食事だったかも。食べ過ぎたけど。
4月29日 仙台をちょこっと散歩&帰京
最終日は新幹線の時間までゆっくりしようと、青葉城に散策に行くだけに。護国神社で結婚式をやってました。赤い絨毯が引かれていて、ちょうどお嫁さんとお婿さんが出てくるところ。そこから行列で外に行くらしく、招待客がはっぴ姿になって提灯と長持ちを担いで先頭に立ってます。おー私たちのときはあんなの無かったねー、と言ってました。いや、いいですよ、神社の結婚式は(単なる神前式っていうんじゃなくて、神社で結婚式です)。晴れる自信のある方には特におすすめ。とりあえず外国人観光客シャッターチャンス状態。
仙台市博物館で茶器の展覧会をやっているというので、ついでに見に行きます。相方が「チャキの展覧会」というのを、私は「チャッキーの展覧会」と聞き間違え、ホラーの展覧会?と不思議に思っていたのが、チャキ違いだったことに気づいたのは、博物館に着いてからでした。「良い仕事してますねー」という感じの茶器と茶道具がそろった展覧会は、意外と伊達家の素顔を出した展示工夫がされていて面白かったのでした。私のお気に入りは茄子型の茶入れ。
職場へのお土産を買って、いざ帰京。帰りは新幹線も空いていました。今年はゴールデンウィークと言っても、地元で遊ぶ人が多いのかな。自分たちのお土産は、地域限定ドラえもん(なまはげ)と、樽出しウィスキー原酒(アルコール度数55.5%)でした。