ROBODEX 2003


4月5日(土)

10:30- ロボットパレード

wakamaru hospi hospi asimo

最初は綜合警備保障の警備ロボットが会場を偵察するという趣向から始まります。そして登場したのが進行役のSONY SDR-4X II。しかし歩いて現れるわけではなく、抱きかかえられてきました。おそらくあの歩幅で歩かれると、ステージに着くまでに持ち時間全てを使ってしまうからなのでしょう。
次々とロボットが現れる。三菱重工製作の家庭用ロボット、wakamaru(写真左端)は、私が思う「万博でよく見かけた未来ロボット」の形状そのもの。しかし外見はあまり変わってなくても中身はかなり違うらしく、何人もの人間を区別したりするらしいのです。次に紹介された世界最小のロボットという「ムッシュ II-P」は、あまりの小ささに写真に写らず。形状は私の天敵である●●ブリにも似ていて、あまり好きになれないけれども、この小ささが役に立つこともあるのでしょう。っていうか、おそらくこの大きさでも、ものすごく高いんだろうと考えると、行方不明になるのが怖くて、そうそうあちこちに動き回せないなあと庶民の私は思うのでした。

病院ですでに使われているというホスピーは、さすが実用ロボットという形状(写真左から2番目)。2足歩行のほうが親しみはありますが、やっぱり不安定ですからね。結構賢くて、止まった後顔の部分にもなっているタッチパネルで操作すると、お腹の部分を開けて試薬やカルテなどを入れて目的地まで運んでくれる仕様になっているようです。

もう1台2足歩行のロボットのHRP-2登場。これがごっついロボットなんです。アシモやSDRとは全然違うのですが、でもロボットっていうと、こういうのを思い浮かべるロボットアニメフリークは多いのでは。こいつ、私が苦手な腹筋をものの見事にこなして(写真右から2番目)、ちょっと嫌なやつ。

いよいよ最後がASIMO(写真右端。後ろに写る小さいのがSONYのSDR)。2足歩行ロボットの2大メーカーの(?)SONYが最初でホンダが最後といういかにものプログラムです。入り口から歩いてきたASIMOは、正面ステージ上で偉そうな顔をしているSONYのSDRに対してアイーンのポーズ。それに対してSDRは泣きのポーズでお返しという芸の細かさ。しかも他のロボットとは一線を画すこの2台は、最後にもう一度すべてのロボットを紹介しているときにも、ちゃんと拍手をしたりするのでした。

11:00- テムザック「番竜」のデモ

番竜

10分の休憩をおいて、次はテムザックのセキュリティロボット「番竜」(写真はロボットパレードのときのもの)のデモ。家庭用としても販売される予定だそうですが、これがちょっといまいち。PHSや携帯で遠隔操作ができるというのに、反応なし。段を上ることができるというフリなのに、動かず。留守番モード中に侵入者が近づくと何をするかと思ったら吠えて威嚇(もちろんご主人様の携帯に連絡もするそうですが)という情けなさ。いくらくらいなのかは言ってませんでしたが、お遊びとしてならともかく、セキュリティロボットという意味では実用にはならないようなモノでした。精密機械がデモの時に限って思うとおりに動かないのは良くある話ですが、さすがに2つの足で自在に歩くロボットを見せられた後では、お客さんもしらけ気味でした。

ただ、この機械、前にNHKの朝のニュースの中でやってる「まちかど情報室」っていう特集シリーズで取り上げられてた気がするんですよね。そのときはこういう機械も結構進歩したんだなあと思ったので、きっと見せ方の問題なんでしょうね。

11:30- SONYのショー

こけちゃった さすが機械。息もぴったり

いよいよメインイベントのSONYのロボットショー。先ほどからよく出ているSDRと、SONYの人気商品AIBOが共演して、坂本龍一がわざわざこれのために書き下ろしたという曲2曲に合わせて歌ったり踊ったり。ところが1曲目のスローテンポな曲が終わる直前、司会進行役の1台が後ろに転倒。お客さんは「これは仕込みなのか、それともハプニングなのか」見極めがつかず、笑うこともできないし、ザワザワもできない、という妙な空気の中、なんとSDR君は自らの腹筋を使って立ち上がりました(写真左)。おお!やっぱり仕込みだったのか!と納得したお客さんは、パチパチと拍手したのですが、その後舞台下に控えていたお兄さんが、何やら無線で話しながらSDRに手を出しています。会場にはまた妙な間が流れました。お兄さんが位置を直して、背中のボタンか何かを押したら元通り。司会進行のSDR君は再び話し出しました。一体あれは何だったのでしょう。毎回やってるのか、それともハプニングだったのか。仕込みにしては、妙な間が納得できないし、ハプニングだとしたらSDRは「倒れたら、倒れたことを認識して自力で起きあがれる」ということを証明したわけで、もっとアピールしても良いような気もするし・・・。何はともあれ面白いものが見られました。

2曲目はアップテンポの曲で、それに合わせて見事な踊りを披露。結構ニュースでは見ていますが、ニュースじゃ一部分だけだし、これは生だし、またまた感動。確かにまだ動きは小さくぎこちないところもありますが、しばらくは目新しさで客を呼べるんじゃないかと思ったのでした。

12:00- ホンダのロボットショー

勝った勝った 今度はPK戦

ASIMOは今までのように踊るわけではなく、2台のASIMOが障害物競走とPK戦をするというモノ。当たり前のように階段を上り下りし、さらにリモート操作盤を使って複雑なS字歩行をさせ、そして最後は身振り手振りで呼ぶことでASIMOを動かすという障害物競走。やっていることはたいしたことではなくても、ロボットでここまでできるというのはきっとASIMOだけなのでしょう。動きも滑らかだし、本当に人が「こっちこっち」というとついてくるし、止まれと言えば命令に従うし。最後はお姉さんと一緒に勝ったことを喜んでガッツポーズ(写真左)。本当は中に誰か入ってるんじゃないの?と思った場面でした。ショーになると壊れていた万博の機械とは大違いなのでした。

PK戦は見ているとたいしたこと無いのですが、多分すごいことなのでしょう。ロボットが片足でボールを蹴るのです(写真右)。確かに片足と言ってもちょっと上げるだけだし、蹴るというか撫でるというか、そんな感じなのですが、それでもボールは転がっていったし、見事ゴールもしたのでした。

しかしSONYもホンダもこの時代にものすごく優雅な商売をしていますよね。ただアシモがいろんなイベントで引っ張りだことかいうのを聞くと、こういう良い意味で余裕がある会社が増えれば日本も少し上向きになるかも。という希望的観測。

ちなみにショーとしてはSONYに軍配、ロボットとしてはホンダに軍配でした(その差は、この2社の性格をそのまま表しているような気もします)。そして今の私の最大の疑問は、「アシモは一体何台あるんだろう」ということなのでした。

6日はアトム誕生の前夜祭もあるみたいですね。そうそう、ここまで全くアトムの話が出てきませんでしたが、実は私がアトム(のアニメ)を見たことがないので、思い入れも全く無いからなのです。すみません。もう少し年上の方には、別の意味で感慨があるかも。ショー以外の個々のブースでも時間を決めてデモが行われていて、どこも人気でした。1日中遊べるイベントです。いずれにせよ一見の価値あり。おすすめ。


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