出張報告書-九州・博多3泊4日-
九州には前々から行ってみたいとは思っていたが、他にも行きたいところはたくさんあり、なんとなく1度も行かないままになっていた。ちなみに日本で行っていない大きな島は九州だけ。通った県も含めるとほぼ全県に行っている私が、唯一全く行ったことの無い土地。その九州へ、ひょんなことから行けることになってしまった。なんと出張。図書館(というか大学)に勤めたとき、これでどこかへ泊りがけで出張に行くなんて事も無いだろうなと思っていたのだが、3年目にして、「大学のお金でどこかへ行く」という素晴らしい企画が実現したのだ。

今回の出張は、私立大学図書館協会(略して私大図協)の総会・研究大会という学会のようなもの。会場は福岡の九州産業大学。総会・研究大会・見学会(と称する観光)が3日、さらに前泊がついて3泊4日のちょっとした旅行である。せっかく福岡まで行くので、当然デジカメ持参。というわけで、そのときの旅行記・・・いや、出張報告書を書いてみた。総会や研究大会の話をしても、業界以外の方には(業界の方にもかもしれない)、ちーっとも面白くないのでそのあたりは適当に端折ってあることを最初にお伝えしておく。

8月31日(火)

それほど人員に余裕のあるわけではないわが職場。というわけで、出張といっても朝から「いってきま〜す」というわけにはいかない。16時半の終業時間まできっちりお仕事。その後羽田空港へ向かう。今回の出張は、偉い人&上司も一緒だが、彼らは朝から福岡入り。31日は近くに座る先輩と一緒に福岡へ飛ぶ。

最初博多行きが決まったとき、私は「やったー、500系に乗れる」と心ひそかに思っていた。ところが、新幹線はべらぼうに高い上、時間がかかりすぎる。当然のごとく飛行機に決められていた。飛行機も別に嫌いではないのだが、たった1時間半でついてしまっては、遠くに来たーという感じがしないのがいまいち。実はかなり不満だったが、大学のお金で行く以上、文句は言えない。

ハイアットリージェンシー福岡。結構豪華ですけど、出張パックだと安いのです。 羽田20時発のANAで、福岡空港には22時前に到着。さっそく地下鉄に乗って、ホテルへと向かう。ホテルは、博多駅から10分程度のところにある「ハイアット・リージェンシー福岡」。一見豪華で正規料金で払うと実際高いのだが、出張パックにすると驚くほど安い。

最初にすることは、パソコンを探すこと(^^)。このレベルのホテルなら、絶対あると思っていたら、案の定貸し出してくれるらしい。しかも無料。IBMのノートを貸してくれた。夜はひたすらセットアップすることで終わる。就寝2時。


9月1日(水)

起床6時半。眠い。ドアの下に新聞がはさまっていたので、取って見る。なんと日本経済新聞である。ものすごくハイソ。めくっているとやはり福岡。ちょうどダイエーに何十年ぶりかにマジックがついた日で、ダイエーの記事が大きかった。

その後パソコンで遊んでから、外を見ると、すごい雨。つい最近博多は水没したばかりなだけに、ちょっと心配。先輩とともに朝食を食べて、九州産業大学へ向かう。

ちなみに先輩も私も会場地図のようなものを持っていない。まず博多駅で迷う。というか、路線図を見てもどれに乗ったらよいのかさっぱりわからない。きっと地方から東京に出てきた人は、さらに迷っているに違いないと思う。仕方なく売店のおばちゃんに「九産大前に止まるのはどれですか?」と聞く。普通電車しか止まらないらしい。

電車が来ると、なんと私たちが待っているところまで先頭車両が来てくれない。3両編成の電車に、このホームは長すぎるのではないかという疑問が頭をよぎるが、そんなことを言っても仕方が無い。先頭車両まで歩く。九産大前駅まで、15分程度。ふと目の前の広告が目に付く。「福岡で結婚するためのブライダルマガジン『メロン』」。福岡で発行されている雑誌らしいが、メロンというネーミングがなんとも言えない。この雑誌はこの後も常々話題となり、一度現物にお目にかかりたかったが、結局見ることはできなかった。

九産大前で降りると、それらしい人々が同じ方向へ向かっていく。こういう図書館関係の学会に行くといつも思うのだが、図書館業界の人間は、本当に同じような「におい」を発している。自分もあの一員かと思うとちょっと嫌だが、こういうときは結構便利。主体性無くついていくと、案の定九州産業大学についた。

校門まではすぐだったが、そこからが遠い。結局10分近く歩いて会場に到着。図書館前で受け付けをすると、紀伊国屋さんのロゴの入った紙袋をもらえた。中にはレジュメと業界関係会社の宣伝と、記念品(傘)。かなり重い。

業界の宣伝は、結構笑える。「スタッフ不在時も24時間入退館、図書貸出・返却可能」の図書館24時間管理システムとか、グッドデザイン賞受賞の移動棚とか、超耐久性、強粘着糊、超耐擦過リボン使用の「バーコードラベル印字システム」とか、普段通常の場所では見られない宣伝ばかりである。課長・館長クラスも多く出席するこういう図書館系の全国大会は、業界関連会社の彼らにとっては、重要な宣伝の場らしい。展示ブースでは、名札を見て飛んでくる営業の人に、無理矢理デモを見させられたり、挨拶させられたりする。私は個人的興味から、Bookwebの新サービスのデモを見せてもらって、パンフレットをゲットしてきた。はっきりいって、仕事はしていない。

午前:開会式他。

午後:総会

総会が終わると、懇親会。図書館業界は恐ろしく狭いので、おじさんたちはこういう懇親会で旧交をあたためる。当然知り合いなどいない私は、適当に挨拶をしたあと、ひたすら食べに走る。さすが博多。立食パーティなのに、船盛りだの、モツ鍋だの、博多ラーメンだのが出てくる。嫌になるほど食べて、かなり満足。特にここで食べたラーメンはおいしかった。

さて、うちの偉い人&上司とそのお友達(地元の方)と、中洲の屋台に行こうということになる。ここで、日記に書いた「おじさんトイレ事件」(9/2の日記参照)発生。そのときはものすごく話題になったが、ここに再び書くほどの事件ではないので、興味のある方は日記を参照されたい。

雨はあがっているようだ。電車で博多まででて、そこから地下鉄に乗ることにする。ところが、待てど暮らせど電車が来ない。あ、来たと思うとたいてい止まらない。3本(うち1本は恐ろしく長い貨物だった)を見送った後、やっと3両編成の普通電車がやってきた。

中洲はもともと屋台が名物。しかし、今日は朝から土砂降りだったため、屋台はあまり出ていない。残念。それでも川沿いにぽつぽつと屋台が立っている。中には金魚掬いなんかに混じって、うなぎ釣りがあった。水槽にうなぎがびよーんと伸びているのがなんとも不気味。川沿いの1軒に10人だと伝えて入る。とても全員入れるわけもなく、なぜか一番偉い人と他大学の方が外のベンチに座る。先客が3人いたのだが、なんと地元民ではなく横浜の人たちだった。屋台は地元民はいないのだろうか。

懇親会では、ウーロン茶でごまかしていた私も、屋台ではウーロン茶を飲むわけにもいかず、ビールを飲み始める。ほかにそば焼酎というメニューがあったが、大学の時に水と間違えてかなり度数の高い焼酎を一気飲みして以来、焼酎が恐怖の対象である私は、遠慮しておく。女の子が4人いたのだが、さざえのつぼ焼きだの、あげまきだの、理不尽に頼んで堪能した。ちなみに勘定は偉い人がもった。

11時過ぎにホテルに帰ってきて、再びパソコンを起動、酔った勢いで日記を書く(打つ)。就寝1時半。夜更かしがなぜか当たり前になってくる。


9月2日(木)

起床6時半。やっぱり眠い。また日本経済新聞が入っていた。酔っぱらいの日記をそのままUP。

再び先輩と朝食を食べ、九州産業大へ向かう。今日は研究大会。昨日より若干参加者が多いような気がする。

午前:研究大会
午後:研究大会

キャナルシティ博多。左に見えるガラス塔がグランドハイアット。 今日で偉い人&上司たちは帰京。博多の駅でお見送りして、荷物を置きにホテルへ戻る。その後、どこか行こうということになり、キャナルシティ(写真)へと足を向ける。

とりあえずラーメン食べようと、キャナルシティに入っている「一蘭」という結構有名らしいラーメン屋に行く。このラーメン屋とっても面白い。なによりもともと会員制だったこともあり、仕掛けに対するこだわり度がすごい。うちの大学の近くにも、メニューが無く、注文方法は常連しか知らない有名なラーメン屋があるが、それに近い。食券を買うと、席に通されるが、そこでアンケート用紙を渡される。麺のかたさ、スープの濃さ、辛さとかが選べるのだ。濃くて辛いものが大好きなわたしは、こってり、辛いというのに丸をつける。アンケート用紙を出すと、「箸入れが追加注文票になってますのでー」と言われた。確かに箸袋に「ゆで卵」とか「替え玉」とか書いてある。

博多ラーメン。超おいしかった ラーメンが出てきた。とんこつ、とんこつ(^^)。博多ラーメンを食べるのも久々なので、かなり嬉しい。やっぱりラーメンはとんこつよね、と思う。札幌に行ったときに、「やっぱりラーメンは縮れてないとだめだよねー」と言っていたのが嘘のよう。食べ物に関しては節操がない。

せっかくなので、半分替え玉というのを頼んでいた。銀のプレートをここに置いてくださいというボタンがあるので、それを置くと、いきなり店内にチャルメラの音が。しばらくすると、「はい、替え玉でーす」と麺が出てきた。一体どうなってるんだろうと、先輩とプレートをじろじろ見る。

食べた、食べたと思って、外に出ると、アイスクリーム屋を発見。今食べたばかりなのに、アイス食べよーということになって、ジェラートを注文。こういうものは入るところが違うとよく言うが、本当である。

アイス食べてると、噴水が上がりはじめた。なんかすごい勢いでものすごく高くまで上がる。そろそろ行こうかーと博多駅の方へ。駅前のビルの6階に、100万冊の在庫という触れ込みの「紀伊国屋書店」があると上司に聞いていたので、そこへ寄ることにする。ところが! エレベータに乗って気づく。「本日店休日」。明日行くことにする。


9月3日(金)

さてさて、つまらない総会・研究大会が終わり、今日は見学会(と称する一日観光)。私と先輩が選んだのは、柳川、吉野ヶ里に行くAコース。朝食を食べると、集合場所である博多駅前に行く。

柳川。天気はまあまあでした。 九州自動車道に乗って、一路柳川へ。最初に柳川下りをする。柳川は、町の中をずーっと掘割が通り、まるでベニスのようである(ちなみに私はベニスに行ったことは無い)。横に立つ家には、必ず川に下りる階段がついている。おそらく船を持っている家も多いのではないだろうか。ドンコ舟といわれる舟に乗って、川をたらたらと下る。かなり気持ちよい。もう少し天気が良いとさらに良かったかもしれないが、あまり暑くないのはラッキーだった。

川の中には、かなり狭い橋も存在する。舟の横幅ぎりぎりの橋では、絶対に手を出さないようにと注意された。壁を見ると、なにやらピンクのガムのようなものがついている。誰だ、こんなとこにガム付けたのーと思っていたら、なんとタニシの卵だそうだ。そんなものを見たのは初めて。毒々しいピンクがなんとも言えない。

下っていくと、いろんな動物を見ることができた。アヒルが泳いでいたり、鷺が飛んでいたり。柳になんとカメが登っている。カメも木に登るんだなぁと妙なことで感心した。その後ろの岩壁には、カニが登っていた。柳川では、カニは壁に、カメは柳に登るらしい。

1時間ちょっとで、船着場につき、先に北原白秋の生家を訪れる。白秋はここの出身らしい。邸内には待ちぼうけなんかが流れて、いかにもの雰囲気。いろいろ見て回ったが、印象的だったのは、すごい量の校歌。白秋は校歌マニアだったらしい。本当にあちこちの校歌を作っている。さすが流行作詞家である。ちなみにうちのいとこが通っていた高校も、北原白秋作詞だった。

柳川といえば、やはりうなぎ。 御花につく。そこで今見学会のメインイベント、うなぎのセイロ蒸しの昼食。やっぱり本場。スーパーで安売りしているうなぎとは全然違う。やっぱり柳川に来たら、うなぎを食べなくてはならないと思う。

ひたすら食べて、その後は腹ごなしに御花の散歩。もともと柳川藩主の別荘だったこともあって、見事な庭園。うろうろした後は、庭園前の濡れ縁で、まったりしていた。

高床式倉庫。教科書に載ってるのとそっくり。 続いて向かったのは佐賀県の吉野ケ里遺跡。遺跡好きな私は、かなり楽しみにしていた。2時ごろついて、1時間ほど自由に見学していいという。おととし訪れた三内丸山遺跡に比べると、整備されている個所は狭い。まずあるのが、竪穴住居。そして奥の方に教科書の写真そっくりな高床式倉庫があった。三内丸山よりも時代の古いこの遺跡は、竪穴住居も、高床式倉庫もちょっと旧式。高床式倉庫には登ることができた。本当は有名な高いやぐらに登りたかったが、残念ながらはしごが外されていた。多分危険だからだろう。

遺跡の隅に展示室がある。遺跡から発掘された土器なんかが多数展示されているが、その中に恐怖の甕棺墓が。私が「何か入ってますよ」と覗き込んだら、なんと首なし死体の蝋人形。思わずぎょっとしてあとじさってしまった。首の切断部分も忠実に再現されていて、かなり気持ち悪い。説明をみると、もともとこの甕棺に入っていた骨には頭蓋骨が無かったらしい。だからって、何も首なし死体を蝋人形で再現しなくてもいいのでは、と先輩と意見が一致する。

今はまだ発掘現場という様子の吉野ヶ里遺跡は、将来的には遺跡公園として整備されるらしい。しかしこの不況で、財政的にかなり厳しいのだろう。あちこちに寄付をお願いするポスターが出ていた。立派な公園が出来ることを祈りたい。

見学会もこれで終了。再び博多駅に戻って、Bコースで唐津に行っていたもう一人の子と合流。昨日行けなかった100万冊の紀伊国屋書店へ向かう。やっぱりすごい。1フロアでこの本の量は尋常ではない。当然探すのが難しいため、店の入り口に検索機が置いてある。ほとんど図書館である。それで在庫状況や、棚の位置まで検索できるのだから、図書館もうかうかしていられない。私は真保裕一の新刊が出ていることを知っていたため、ハードカバーの新刊コーナーへ。先輩は文庫を見てくると奥へ。そしてもう一人は旅行雑誌見てくるといって雑誌コーナーへそれぞれ散っていった。

真保裕一を発見すると、隣に飛鳥部勝則の新刊も出ている。レジでお金を払って、検索機で遊んでいると、京極の新刊が倉庫から出されてきた。早速1冊もらって購入。その他に東京から持っていった「亡国のイージス」と「夢の島」を持っていた私を見かね、店員さんが大きな紙袋を出してくれた。「そろそろ行きましょうか」と集まると、3人とも紙袋を抱えている。やっぱり司書3人。本に関しては見境がない。

駅で土産を買って、空港へ。あまりに荷物(というか本)が重いので、空港に送っていた衣類などの荷物を、そのまま家へ送る。適当に夕飯を食べ、19時半のANAで東京へ。金曜の夜ということもあってか、ビジネスマンですごく混んでいた。

羽田について、飛行機を降りる。おじさんたちには「お仕事お疲れ様でした。」と言うスッチーも、私たちには「ありがとうございました」としか言ってくれない。「わたしたちも仕事で行ったのにねー」と先輩と不満顔。先輩と羽田で別れ、家へ。11時帰宅。その後ネットにつないではまってしまったのは言うまでも無い・・・。