MYSCON3。


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ただいま31日午前11時過ぎ。
一番乗り?一番乗り?(笑)

▼またやってしまった

いつもの如く、集合時間をチェックしたにも関わらず、場所は行けばわかるだろ、という相変わらずのいい加減さ。東大前の駅から、どっちにいけばいいかもわからず。しかも私は携帯を忘れて電話ができない。相方が唯一わかったみのるさんの電話番号にかけても、電波状態が悪くてうまく繋がらず。わたしのうろ覚え案内で、なんとか(ぎりぎりに)たどり着きました。入り口をくぐるとshakaさんがいて、一言「遅いよ」。というか、うろ覚えであの旅館にたどり着けたのは、奇跡としか言いようがないのです。

大学の頃、演奏会の打ち上げを、まさにこの本郷の旅館でやってました。我々が打ち上げをしてたのは朝明館というところだったのですが、今回の会場「鳳明館森川別館」も非常に作りが似ています。迷路館もかくや、と思えるような複雑な建築構造と、いかにも学生が打ち上げで使いそうな、「地下の大広間」。そうです。地下なら騒いでも暴れても外には迷惑をかけないので、きっと地下に大広間を作ったのでしょう。というわけで、懐かしい感じ。

▼西澤氏講演会

まずは本日のメインイベント、西澤保彦氏講演会。近田鳶迩さんの司会で、質問形式の講演会が始まりました。演者が西澤氏ということで?、先に乾杯です。西澤氏も会場も飲みながらの講演会。

質問は、著作の傾向からモーニング娘。まで多岐にわたるもの。風邪で半分薬漬けの頭で覚えてることは、神麻嗣子シリーズの結末は決まっていて、最初からそれを見据えて伏線をはったりしているが、タックシリーズは結末が決まってないこと。モーニング娘。の固体識別はできないこと、ホームページを作ったのは、野間美由紀さんがここでホームページでも作って、無理矢理パソコンを買わせないとやらないだろう、と思って作ってくれたこと、無人島に連れてくなら、奥さんと森○○子さんとどっちにする?という答えに詰まっていた事(笑)ですかね。私は前々から、変な名前を使うのは、何か意味があるのかと思ってたのですが(アナグラムとか、何かの伏線とか)、なんと「珍しい名前なら覚えられるだろう」という意味だったそうで。っていうか、読めない名前なんて、覚えられないんですけど。さっそくMYSCONスタッフから、「こんな名字 誰が読めんねんクイズ」という紙が配られて、あちこちでザワメキが。「これって、本当に僕の作品に出てるんですか?」という西澤氏に一同爆笑。「今、悔い改めました」という西澤氏。次の作品からは、まともな名前が増えるかも。お約束で『聯愁殺』の購読状況アンケートがあったのですが、さすが『聯愁殺』は、買ったという人、既に読んだという人、結構多かったですね。

▼で、買出し&サインタイム?

講演会のあと、買出しに行こうとうろうろしてると、西澤氏控え室でサイン待ちの列ができてたので、私も便乗。『依存』にサインをしてもらいました。ついでに「この続きは・・・」と聞くと、西澤氏は詰まってます。「あとがきで、大風呂敷広げちゃったからねえ、書かなくちゃとは思ってるんですけど」。うーん。続きが書かれるのか、非常に不安。

そのままサイン待ちをしてたそらたさんや、カエルさんや、里見さんと夕飯の買出し。近くのファミマはMYSCON参加者で溢れてました。きっと店の人は何だろうと思ってたに違いない。

広間に行くと、matsuoさんたちがちんまり輪になってごはんを食べてるので、ご一緒させていただきました。市川憂人さんにご挨拶。相方が某カードゲームを送ったときに、「市川憂人」と宛名に書いてたので、本名なのかとびっくりしたのですが、やはり本名ではなく筆名だとか。「筆名で来たからびっくりしましたよー。あはは」と笑ってました。まあよくある話ですけど。夕飯(おにぎり)を食べ、再びドーピング。行きに買った薬を飲もうとして、お茶にしてしまった事に気づく片桐。あーしまった。お茶じゃ薬が効かない・・・。というわけで、置いてあった共用のペットボトルから別の飲み物を拝借。

▼全体企画「MYSCON的裏窓」

全体企画は、9のグループに分かれて、4コマ漫画のふきだしを考えるというもの。男女が争っているようすで、1コマ目が本を振り回しながら怒ってる男性のセリフ、2コマ目が言い返してる女性のセリフ、3コマ目が男性が本で女性を殴っているところのセリフ、4コマ目が女性が男性を刺しているところのセリフ。実際に蔓葉さん七沢さんがそれぞれの役になって、無言で演技をし、班ごとに声をあてていくという趣向です。例として「古本に米粒をつけた」という話が出ていましたが、これが別の人が声をつけるというだけで意外に面白いのです。さてさて、シンキングタイム。私の班は蔓葉さん班。大森望さん、須川毅さん、滅・こぉるさん(の名前の説明がよかった。それ系のハンドルの逸話ってよくありますよね)、無謀松さんみわっち。さん、里見さん、カエルさん。これがなかなか難しい。滅・こぉるさんがいろいろとアイデアを出してくれますが、本のことで言い争いをしてるのはともかく、最後に女性が男性を刺しているのがつながらなくて四苦八苦。何故か、これは本じゃないんだーという話になって、ハイヒールで言い争いをしていることに。「本がハイヒールだと思い込んでる男女」というかなり怪しげな設定になり、滅・こぉるさん、大森さんで暴走。まあいいかと思っていたら、ジャンケンで負けた私が女性の声をあてることに。えーん。

大広間に戻ると、大広間で考えていた4班がまだまだ喧喧諤諤です。私が端っこに座ると、西澤さんが声をかけてきました「決まりました?」。ほとんど見ず知らずの作家さんに泣きつく片桐。「ええ決まりましたけど、なんだかすごいですよ。」やはり西澤さんの1班も最後の刺すところで四苦八苦してたようです。

さて発表。9班もあって、縛りも多い問題ながら、ひとつもかぶるところなし。しかもバラエティに富んでて、すごいなーとひたすら感心。ちゃんとどれも笑えるのですから、ここにいる人たちの「創作能力」っていうのは、やはり並外れてるんでしょうね。私は、刺すシーンを違う形で解釈したテレホンショッピング系のやつが一番好きでした。

▼お風呂の真相

さて、会場である「鳳明館 森川別館」には、お風呂があるのです。その名も「ローマ風呂」と「千鳥風呂」。前者が男性用、後者が女性用です。みのるさんみやさんがお風呂に行くというので、私もついていって覗いたのですが、何が千鳥だったのか疑問。相方に聞いてみると、男性のローマ風呂は、いわゆるローマ風呂ではなく、神殿が壁に描かれてるだけだったようです。さすが。

▼ちょっと休憩

休憩中は広間で挨拶。遅れて来た青木みやさんとしゃべったり、政宗九さんに挨拶して、「新本格モーニング娘。論」の話をちょこっとしたり。戸田和光さんが通りかかったので、お久しぶりです、と挨拶すると、「ああ、若かりし頃、というかまだ独身だった頃以来ですね」。と言われました。ホームページなんかの話をしてると、葉山響さんがいらして、「書評、拝見させていただいてます」と丁寧なご挨拶。というか、「日記見てますよー(笑)」(笑が重要)と言う人は多いんですけど、「書評楽しみにしてます」と言ってくださる方は少ないので、非常に嬉しかったです。書評なんて立派なものじゃないですけど。そこで戸田さん、葉山さんとおしゃべり。葉山さんは最近ストレスが溜まっているそうで、「前お会いしたときはまだ髪がありましたよねー。最近どんどん無くなってるんですよー」と戸田さんに話しています。私も戸田さんもそれにどう返したらいいのかわからない。「それって、無茶無茶悩んでます?」というと、「いいえ」とのお返事。このキャラクターがいいですね。葉山さん。今回のMYSCONの面白かったキャラの1位です。結論的には「そんなにストレスになってるんだーということに悩んでます」。

▼頭の中は日曜日

ちょこっと国内ミステリ読書会に顔を出そうと、2階へ。今回のお題は殊能将之の『鏡の中は日曜日』。確かに読んだときは面白かったし、非常に感心した作品でしたが、何しろ「忘れるのも早い」片桐ですから、皆さんの話を聞いてて「本当にこの本読んだのか」という気分に。置いてあった本をパラパラめくって、ようやく「ああ、そうそう、そういう話だった」と思う辺り、もう終わってるなあと思う今日この頃。遅れて来たINOさんGAKUさん、みのるさんたちに「私も******みたいな気分ですよ」というと(うぉーここがネタバレだった、ダメだ)、GAKUさんにある一言を返されました。面白かったのですが、ダメだ、これはネタバレだ、すっかり忘れてた。

自己紹介のときに、皆さんの感想を聞いて、やっぱり同じ本を読んでも本当に人それぞれだなあと感心。私の場合、どんなに使い古されたトリックでも見事に騙されてしまうので、ある意味ピュアに作品を読めるような気がするのですが、百戦錬磨の方々は、「使い古されたトリック」というだけでも評価がさがったりするものですね。その辺りをどう見るかによって、良し悪しも変わってくるのかも。私は政宗九さんの「○○作品へのオマージュ」というのに(オマージュというだけならわかるのですが、それだけでなく、作品へ当てはめた解説・感想に)非常に感心して、それだけでも満足したのでした。

途中で抜け出して大広間に戻ると、西澤さん、光原百合さんを囲んだ輪ができていました。青木みやさんもいたので、端っこに入ってみたり。輪で盛り上がっていたのは、西澤作品の劇。『麦酒の家の殺人』の劇化裏話に大笑い。お客さんも、演者も、飲みまくりの演劇ってどうなんでしょうね。話を聞いていたら、私も見てみたくなりました。

光原さんに新刊情報を聞くと、8月に出ますとのこと。双葉社からだそうです。しかも「今度は計画犯罪で人が死にます」と非常に強調されてました。相当「人殺しが書けない」と言われることを悔しく思っていたに違いありません。気さくな方で、楽しかったな。

ムラサキノユキさんと図書館の話をひとしきり。大学生(若い!)のムラサキノユキさんは、図書館に勤めたいとか。「うーん、大変よー最近は」と暗い話をして終わってしまいました。すみません。

殊能の部屋が解散になったようで、パラパラと人が戻ってきました。そこにいた篠田真由美さんもやってきて輪の中にまじります。本人を前に西澤作品の話になったのですが、篠田真由美さんの「『人格転移の殺人』は本格だと思って読んだら、最後の最後で、なんだ恋愛小説だったのかこれは、と思った」というのに「カフェオレの最後にガムシロップが残ってた感じ」といった比喩をするのがさすが作家、と妙な感心をしてしまいました。ちなみに私は『人格転移の殺人』は、何故その装置が作られたのかまで説明されるし、その説明にものすごく納得したので、是とする人間です。

▼すると、突然。

なにやら、床の間方面で机が並べられたり、ホワイトボートが設置されたりしてたのですが、そう言えばタイムテーブルに「24時半からトークバトル」とか書いてあったよねー、くらいにしか思ってなかったのです。薄すぎて透き通っちゃうような(ある意味あくまで娯楽として本を読んでる)ヘタレ本読みとしては、どっちかっていうとミステリネタで笑える企画のほうが楽しみ。それを見ようという気もあったので、そのまま大広間でおしゃべりに興じてました。

すると突然大広間の電気が消えて、女性の悲鳴が。

「みのるさん!みのるさん!」

電気がつくと、なんとみのるさんがどまんなかで倒れています。その隣で雪樹さんが「みのるさんが!死んでる!」。

今回はなんとみのるさんが死体になったようです。「笑う大捜査線(ボケましょう in MYSCON3)」の開幕です。トークバトルは「みのるさん殺人事件」でお流れになったそうで。shakaさんによる状況の解説と、七沢さんによる検死報告のあと、GAKU管理官の司会でINOさん、楽志くん、蔓葉さんが次々とボケていきます。まずは事件ですので、捜査本部の名前が必要です。次々出る笑えるアイデアに広間大爆笑。ようやく「官能女王猟奇殺人事件、略して官能事件」(だったかな)という名前がついて一段落。というか、みのるさんがたまらずヒクヒクしてます。「ヒクヒクしてますけど」という3人の捜査員のツッコミに、「死後硬直だ、気にするな」というshakaさんのアドリブ(?)がうまい。さすが劇団員。微妙にはずしがちなボケにも、GAKUさんの絶妙なツッコミで笑いを誘ってました。見取り図もそれぞれに面白いアイデアを出し、現場の遺留品(わけのわからないモノばかり)でも、パイプのつまりを直す「すっぽん」(本当は何て言うんですか、あれ?)で、「心臓をわしづかみ」したりと、奇抜なボケ。そろそろ皆も笑いつかれてきた頃に、shakaさんのあからさまな目撃証言が出て、七沢さんが「なんか、犯人わかっちゃったかもー」と一言。なんと犯人は**氏だったのです。逮捕に向かう刑事たち。そして「勘弁してください、田舎には病弱な母が・・・っていうか、どうせ逮捕されるなら女性がよかったー」と泣く泣く連行されていく**氏。そして突発企画「笑う大捜査線」は幕を閉じたのでした。

その後も大広間でおしゃべりをしてたのですが、やっぱりダメ。2時近くになって、とうとう沈没です。それでもよく頑張った、と自分を誉めてあげたい(またそれか)という感じ。女性部屋の4階に戻って、布団を敷いて寝ようとしたところ、なんと

敷布団が短い

というか、どう考えても長さが150cmぐらいしかありません。これはどういうことでしょう。旅館自体のあまりの古さに、当時の日本人の身長に合わせたものしかなかったのかと思ったのですが、私が入っても、足の裏が壁にぺったりくっつくのです。私はまだ布団の伸ばし方が足りないのかと思って、再び敷布団をひっぱってみましたが、壁から離れるだけで、伸びてはくれません、仕方なく壁にくっついたまま寝たのでした。

しばらくすると、「私も寝るー」と宣言していた青木みやさんがやってきました。「なんだか布団が短いんですよ」と言うと、みやさんも「私の身長でも短いってどういうこと?」と不審声。きっと旅館の人が間違えて、小学生用の布団を用意したに違いありません。いや、絶対にそうだ。

布団の謎は深まるばかりでしたが、眠気には勝てずにそのまま爆睡。しかしやっぱり目が覚めるのは5時半です。体内時計がきっとそうなってしまっているのでしょう。実際寝たのは3時間半くらいでしたが、体調は万全ではないものの、まあそこそこすっきり。そのまま起きて、大広間に行くと、「出たな、早起き星人ひろえ」とshakaさん。光原さんや市川憂人さんは、私が寝たときと全く同じ場所で話しています。すごい。その輪に入ると、なんとミステリを熱く語っているところでした。面白ければなんでもいいの、動機なんてどうでもいいの、トリックがロジックが面白ければ、広がった話が上手く収束してれば、っていう「どうでもいい系本読み」としては、これだけ熱く語れる皆さんを尊敬します。なんとなく、自分にも「面白い」と思う基準はあるように思うのですが、それを筋道立てて話そうとすると、「あーなんだか違うな」という気分になっちゃうのですね。ちなみに私は小学生のときにクイーンの『Yの悲劇』を読んで、本格だのミステリだのの枠は抜きにして、「こういう話は面白い」と思ってクイーン、クリスティ、クロフツなどなどを読み漁った人間なので、あまりに毒されてしまった結果、「そんな動機で人を殺すか?」という疑問はあまり湧かなくなってしまったのかもしれません。戸梶みたいなキレてるバカミスも好きだし、西澤保彦のようなSF仕立ての本格ミステリも楽しいし、当然綾辻、有栖川といったベタベタ本格にも惚れてます。一方で、柴田よしきみたいな切ない恋愛ミステリーも好き。謎解きミステリじゃなくても、重松清とか、金城一紀とか、竹内真とかのような社会の何かをテーマにした普通の小説も好きですし、大沢在昌・馳星周のようなハードボイルドも捨てがたい。横溝も松本清張も父が持ってたのでかなり読みましたし。そこには単に「主観的に面白い」という共通点があるだけで、これこれこうだから面白いという説明はつけられないですね。逆に「こういうのはダメ」という枠もつけられなくて、強いて言えば、「読みにくい文章」とか「日本語になってない」とかいうのは苦手というくらい。一番謎なのは、自分なのかもしれません(笑)。バカミスが好きという市川憂人さん、戸梶読んでください、是非。そうやって戸梶を推していると、INOさんがやってきて、「そこまで言われちゃうと、読まなくちゃなあ」。

▼長かったようで、短かった、もう閉会

というわけで、18時からのMYSCONもあっというまの閉会。本当にあっという間と言う感じでした。半分の人とも話せなかったんじゃないかなあ。体調が思わしくなかったことが、つくづく残念。これでいつもの調子なら、もっとあちこちに声かけられたと思うのに。名簿に私のページを見てると書いてくださったわたべさんには、殊能のところでちょこっと顔を見ただけで、挨拶できなかったのが残念でした。是非今度。次回のMYSCONがあるなら、「ミステリビギナーのための全集企画 国内・海外」とかやろうって言う人いないかなあ(shakaさん、やりません?)。前回どこかの部屋で新本格全集企画をしてたそうですが、それ私も一口乗りたかった。あまりに本が溢れている昨今、どの本を読んだらいいのか分からない人も多いはず。面白い気がするなあ。

▼家に帰るまでがMYSCON

相方と東大前の駅に向かうと、ほそみさんとともさんが。あー全然挨拶もできませんでした。と、今更ながらご挨拶。ともさんとは前回のプレミス2でもあまりお話ができなくて非常に残念。いつも見てますよー。というわけで、MYSCON3も本当にお開きとなったのでした。

政宗九さんは、川平慈英に似てる、と思ったのに言えなかったのが一番心残り。