将棋タイトル戦情報
将棋タイトル戦情報
第75期棋聖戦（2004年6/17〜7/7）
挑戦者 名人、竜王、王将 森内俊之
棋聖 佐藤康光
第１局 ６月１７日 144手で後手佐藤棋聖の勝ち
第２局 ６月２９日 72手で千日手、指し直し局は92手で後手佐藤棋聖の勝ち
第３局 ７月 ７日 133手で先手佐藤棋聖の勝ち
佐藤棋聖３−０で防衛
| 挑戦者／棋聖 | １ | ２ | ３ | ４ | ５ | ||||
| 名人 森内俊之 | ● | ● | ● | ０勝３敗 | |||||
| 棋聖 佐藤康光 | ○ | ○ | ○ | ３勝０敗 | |||||
133手で先手佐藤棋聖の勝ち
佐藤棋聖３−０で防衛
最強の挑戦者森内三冠を３連勝で退けて、
佐藤棋聖が存在感を見せました。
横歩取り８五飛車から中段で両者の飛車角がめまぐるしく移動、交換を繰り返
す展開になって、Ａ図は先手が２五に桂を打って後手角の効きを止めたところ
です。お互いに龍を作っていますが、金銀の連携で堪えている状態ですね。
角の睨みもあり、先手後手共に怖いような局面です。先手は桂で後手角の効き
を止めましたが後手はこのあと５七銀歩成から先手陣に迫ります。▲５七同銀
に▽７九龍と進みました。後手としては▲５七同銀に▽５七香成り、▲同玉と
してから▽７九龍として攻めたいところだったのですが、後手の香が動くと先
手の２七の角が後手陣に直射となり、後手玉は即詰みは無いみたいですが、相
当危ない形です。実際の進行は▽７九龍のあと先手５六歩と香を防いでゆっく
りした展開になりました。この辺の一手一手はぎりぎりの攻防手が続いてすご
い迫力ですね。最後は後手の攻めは少し駒不足だったか先手玉は１筋に逃げて
詰みを逃れました。佐藤棋聖が３連勝での防衛となりました。佐藤は見事でし
たが森内名人はどうしたのでしょうね。期待を裏切る３連敗でした。
| 挑戦者／棋聖 | １ | ２ | ３ | ４ | ５ | ||||
| 名人 森内俊之 | ● | ● | ０勝２敗 | ||||||
| 棋聖 佐藤康光 | ○ | ○ | ２勝０敗 | ||||||
72手で千日手、指し直し局は92手で後手佐藤棋聖の勝ち
佐藤棋聖が連勝で防衛にあと１勝としました。
森内名人の中飛車で始まった本局は相穴熊になりました。図は先手佐藤棋聖の
５一角成りに後手森内が７ニに金を打ったところ。このあと先手は７九に金を
打って受けて、▽８九金、▲同金、▽７八金、▲７九金の繰り返しで千日手成
立となりました。これは先手は仕方がないでしょう。王手が絡んでいるので手
を変えられないですね。後手も変えるのは難しいのでしょうね。後手ですし、
千日手も仕方無しということでしょうか。
指し直し局
先後が替わって指し直し局は後手佐藤の一手損角換わりの四間飛車でした。
Ａ図は後手が６五歩と仕掛けたところ。このタイミングでの仕掛けが良かった
みたいです。後手４四角打ちから９九角成り、３三馬と自陣に馬を引きつける
展開になり馬付きの自陣は相当堅くなりました。先手は８三角打ちから６一角
成りで馬を作ってその馬と後手の金銀二枚と交換しました。普通なら二枚換え
した先手が良さそうですが、後手の３三馬が強力で先手の攻めは届きませんで
した。Ａ図と投了図の先手玉の位置を見ると先手は玉の移動、囲いが少し遅れ
たのかなと思います。小さな隙を突いて角打ちから先手陣をこじ開けていった
佐藤が巧かたし、決断が確かだったということでしょう。
| 挑戦者／棋聖 | １ | ２ | ３ | ４ | ５ | ||||
| 名人 森内俊之 | ● | ０勝１敗 | |||||||
| 棋聖 佐藤康光 | ○ | １勝０敗 | |||||||
144手で後手佐藤棋聖の勝ち
・５二の玉はふうわり梅雨に入る
羽生名人と森内竜王の二冠同士の名人戦は森内が勝ち、将棋界の勢力図が変わ
った感があります。その三冠となった森内を向かえての佐藤棋聖の防衛戦です。
一気に棋界制覇を狙おうかという森内と、そうはさせませんという佐藤はタイ
トル戦では初の対戦ということでどんな将棋になるか楽しみです。
矢倉模様の出だしから後手佐藤が玉を囲わずに５二に置いてバランスで指す将
棋にしました。珍しいし難しいと思うのですが・・。
Ａ図は先手が２四歩と打ったところ。後手の陣形はすごいですね。駒は中央に
集まって飛車角は攻めには使いにくそう。先手に１筋２筋から破られそうです
が、と金は作らせても飛車の成り込みを防げば戦えるということでしょうか。
Ａ図から後手は５六歩と取って▲同金としてから飛車先に歩を連打して１五歩
と歩を取ってから７五歩とこの辺の指しまわしが上手い。巧く手を作っていく
ものです。先手はと金を作ったが後手もと金を作ってＢ図へ。先手７三銀打ち
の挟撃態勢に持っていこうという銀打ちに６二角と５三の角を引いて角で受け
たところです。先手は交換するしかなく、後手玉は手順に安全なほうへ移動し
ていきました。先手は後は後手玉を追う形となり届かず、後手勝ちとなりまし
た。面白い内容の将棋でした。勢いがあるのは森内の方だと思っていましたが
その勢いを押し返すような見事な佐藤の勝利でした。佐藤の巧さが印象深い一
局でした。
第75期棋聖戦挑戦者に森内竜王(5/16)
第75期棋聖戦の挑戦者決定戦が森内俊之竜王と木村一基七段とで行われ、森内
が勝ち挑戦を決めました。森内は竜王、王将ですが羽生名人との名人戦も勝ち
三冠となりました。さらに今回棋聖も佐藤棋聖から奪おうという勢いです。
森内と佐藤はタイトル戦では初の対決だそうで、意外という感じもします。
どんな戦いになるのか楽しみです。
木村七段は残念でした。決定戦では終盤まで有利だった将棋を落としてしまっ
たようで、なんとも残念無念でしょう。決定戦での勝ち負けは大きいですね。
図は先手森内竜王が３五に桂を打ったところ。後手木村七段はここで２八龍と
入りましたが、先手の２六歩で玉を睨んでいた角が止まってしまい、龍も受け
に効かなくなってしまいました。図から後手３六歩で有望だったらしい。
好漢木村のこれからの活躍に期待したい。