将棋タイトル戦情報
第74期棋聖戦(2003年6/7〜7/1)
挑戦者 棋王 丸山忠久
棋聖 佐藤康光
第1局 6月 7日 115手で先手佐藤棋聖の勝ち
第2局 6月19日 84手で後手佐藤棋聖の勝ち
第3局 7月 1日 89手で先手佐藤棋聖の勝ち
佐藤棋聖3連勝で防衛
挑戦者/棋聖 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | ||||
棋王 丸山忠久 | ● | ● | ● | 0勝3敗 | |||||
棋聖 佐藤康光 | ○ | ○ | ○ | 3勝0敗 |
89手で先手佐藤棋聖の勝ち
・一勝も出来ぬか馬の梅雨篭もり
挑戦者の丸山棋王は連敗で後がありません。ここで1番返したいところ。後
手番で8五飛車から5五〜5四と飛車を移動。先手佐藤棋聖は3三で角交換
してから角を8三に打ちます。後手も4五桂捨てから4六角打ちとして1九
角成りと馬を作りました。先手5六角成り、後手5五馬と両者中央に馬を引
き付けたのがA図です。お互いの飛車馬が中段でぶつかり合い、睨み合いは
迫力ありますね〜。後手は自分から4五桂と跳んで先手に4五同桂と取らせ
ての角打ちから、香を取って馬を作ったのですが、桂香の交換の形でお互い
に馬を作って良い勝負なのでしょうか。ここからどう局面がほぐれて行くの
か面白いところです。後手4六馬、先手4六馬と進みました。単純に後手か
ら馬交換は損なのでしょう。後手7六歩、先手8八銀が入ってから後手は2
一歩でした。さらに7一香と攻防の香を打ってから飛車を8四にまわして8
六歩と8筋から攻めて出ました。馬も5五で交換して7筋、8筋から先手陣
に迫って行こうというのでしょうが、投了図を見ての通り後手の飛車先には
桂歩があり香も止められていて、先手に上手く対応されたのがわかります。
先手のほうは局面がほぐれてから飛車を成りこんで一気呵成でした。
中段での飛車馬の睨み合いは後手が少し押されていたようです。後手の飛車
馬は歩の上で、先手の4五の桂に4四歩などとすることもできず、先手の4
五の桂が思った以上に効くことになってしまったようです。
しかし、結果は3連勝3連敗ですか。そんなに力に差があるはずは無いので
しょうが、どうしたんでしょね。ここ何度かストレートで勝負がつくタイト
ル戦が出てますね〜。まあ、タイトルの移動があったわけでは無く、両者と
も一冠ずつ保持してますからね、羽生四冠に挑戦して行ってもらいたいもの
です。
挑戦者/棋聖 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | ||||
棋王 丸山忠久 | ● | ● | 0勝2敗 | ||||||
棋聖 佐藤康光 | ○ | ○ | 2勝0敗 |
84手で後手佐藤棋聖の勝ち
・3五の歩はそのままに梅雨に入る
後手番の佐藤棋聖は中飛車から向い飛車、先手丸山棋王は角交換から美濃に
して、両者十分に組んで手詰まりになりそうな展開になりました。仕掛けた
のは先手の丸山。A図は先手の3五歩に後手が8三桂と打ったところ。4五
で桂の交換があり先手は交換した桂を後手の銀に当てて3七に打ち、2四歩
3五歩と手を作っていこうというのでしょうが、後手が自陣に控えて打った
桂が思いのほか厳しい桂打ちだったようです。先手は3五歩からの攻めの構
想を持っていたはずですがその構想は捨てて方向転換をしなければいけなく
なってしまったようです。先手の3五歩は終局までそのままでした。
A図から先手は8五として桂を交換、3三角打ちから馬を作って後手陣に迫
りますが足りませんでした。後手は8五で交換した桂を8四に打って、桂使
いの巧みさを見せました。先手は自分から8五歩として交換した桂をそのま
ま持ち駒のままで終らせてしまったし、歩の無い状態で粘りも難しかった。
佐藤の桂を使っての玉頭からの攻めが鮮やかでしたね〜。
挑戦者/棋聖 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | ||||
棋王 丸山忠久 | ● | 0勝1敗 | |||||||
棋聖 佐藤康光 | ○ | 1勝0敗 |
115手で先手佐藤棋聖の勝ち
・6月の飛車切る攻めの清清し
挑戦者の丸山棋王は二冠のチャンスです。少し前は二冠だった佐藤棋聖はこ
こは守りたいところ。後手番となった丸山は8五飛車、先手の佐藤は5八玉
と良く見る形。先手3五歩を後手飛車で取って、先手4六角から9一角成り
の展開。この9一の馬が働くかどうかが問題という将棋です。先に香を取っ
て馬を作ってもはっきり良しとならないのだから将棋は難しいです。
この将棋は後手が6四に角を打ち、先手の9一の馬と交換になりました。先
手は馬が働いた格好で左の桂が7三に成り込んで「良し良し!」というとこ
ろか。A図は先手が8三の飛車を8一に成り込んだところに後手が6一香と
打って守ったところ。ここで佐藤の思い切った手が出ました。先手6五飛車
です。決断の一手ですね。先手は持ち駒が歩二枚だけですし、ゆっくりして
いては後手からの2七歩成り、あるいは7七香打などが間に合ってしまうと
いうことでしょうか。それにしても間違えると指し切りになってしまうよう
な飛車切りです、思いきった手ですね〜。先手は取った桂をすぐに6三に打
って攻めをつなぎます。後手も9九の馬を自陣に引いて守りますが、9九の
馬が居なくなって自玉にゆとりの出来た先手は2一の桂も繰り出しての攻め
で勝ちました。本局のハイライトはなんといっても6五飛車の飛車切りの手
でしょう。こうでなくっちゃ。見て面白い。うれしくなる一手でした。
第74期棋聖戦挑戦者に丸山棋王(5/7)
第74期棋聖戦の挑戦者決定戦が丸山棋王と郷田九段とで行われ、丸山が勝ち
タイトル挑戦を決めました。
http://www.sankei.co.jp/edit/shogi/kisei/074kisei_cho.html
後手丸山の8五飛車だったのですが、先手の郷田は9一に作った馬を生かせ
なかったですね〜。こちらに馬を作ってもなかなか活用出来ないのだから、
難しいです。
郷田は残念でした。前期佐藤王将(当時)相手に2連勝のあと3連敗で敗れた
借りを返してタイトルを獲るチャンスだったのですが・・・
第1局は6月7日です。