将棋タイトル戦情報(かつおの尾)

第72期棋聖戦(2001年6/16〜8/6)

 

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挑戦者 八段 郷田真隆

棋聖     羽生善治

  挑戦者/棋聖  
八段    郷田真隆 3勝2敗
棋聖    羽生善治 2勝3敗

第1局 6月16日 105手で先手羽生棋聖の勝ち
第2局 6月26日  79手で先手郷田八段の勝ち
第3局 7月 6日 142手で後手郷田八段の勝ち
第4局 7月23日 104手で後手羽生棋聖の勝ち
第5局 8月 6日 165手で先手郷田八段の勝ち

郷田八段、3勝2敗で奪取


第72期棋聖戦五番勝負第5局(8/6)

  挑戦者/棋聖  
八段    郷田真隆 3勝2敗
棋聖    羽生善治 2勝3敗

165手で先手郷田八段の勝ち

郷田八段が165手の大激戦の将棋を制し、3勝目。棋聖位を奪取しました。
このところ好調の羽生棋聖もわずかに及ばなかったようです。

郷田八段は羽生棋聖を負かしてのタイトル奪取はお見事、天晴れでありましょう。
棋界も流動化の兆しか。まずはおめでとうございます。

・盤上の灼くるがごとき王と玉

       A図                 投了図

後手番羽生棋聖は8五飛戦法でしたが、私には難しいですね〜。歩を突いたり打っ
たりのねらいが良く解りません。相手の手を消したり、いろいろあるのでしょう。
A図は先手が後手の3五歩に合わせて3六歩と打ち、後手3六同歩、先手同金と4
六の金を寄ったところ、ここで後手羽生は3六飛車と飛車切りの勝負手です。▲3
六同銀に▽3八金と打って先手玉を挟撃しようというところですが、この飛車切り
は少し苦しいと思って勝負に出たのか、あるいはこれで攻めて勝てるということな
のか難しいですね〜。先手の飛車を6九に追ってから▽7六歩と攻めますが、先手
は7一飛車と打って攻め合いです。この飛車が最後まで良く効いていました。郷田
が良く攻め、良く守ったということでしょうか。熱戦、好局でありました。


第72期棋聖戦五番勝負第4局(7/23)

  挑戦者/棋聖  
八段    郷田真隆   2勝2敗
棋聖    羽生善治   2勝2敗

104手で後手羽生棋聖の勝ち

羽生棋聖があとの無いところからタイに押し戻しました。粘り強いですね〜。
挑戦者としては一気に決めてしまいたい一局だったでしょう。残念でした。
タイトルの行方は最終第5局へ持ち越しです。
内容は素晴らしかったですね〜。良い将棋でした。面白い将棋でした。

第5局は8月6日です。

・戻り梅雨どっこい生きてるににんがし

       A図                 投了図

私には最後までどっちが勝っているのかわからない、面白い将棋でした。郷田八段
も良く攻めたのではないでしょうか。でもA図、後手羽生棋聖の5四桂と3五金が
不思議に良く効いている。これ後手が打った金なのですが、打たれて後から、じわ
じわ効いてくる金ですね。A図から先手も▲3六香と攻めます。このあと▽同金、
▲3四角、▽2六香と取った香を打ち返して、この辺の一手一手は熱の籠もった応
酬です。結局先手の飛車は投了図のように4九に逃げるのですが、2九に居た時か
ら、敵陣に成り込むと後手龍が8九龍と銀取りで先手玉に迫ってくるので、後手陣
に成り込む時には勝負を決める時という、ちょっと重い枷を履かせられた感じでし
た。見ているファンには面白い将棋でありました。最終第5局も好勝負を期待でき
るでしょう。


第72期棋聖戦五番勝負第3局(7/6)

  挑戦者/棋聖  
八段    郷田真隆     2勝1敗
棋聖    羽生善治     1勝2敗

142手で後手郷田八段の勝ち

郷田八段が2勝目をあげてタイトル奪取に一歩近づきました。
前局で案外な負けかたをした羽生棋聖が今回は五冠の力を見せつけるかと予想して
いたのですが、郷田八段が素晴らしい差し回しで勝ちました。
長いこと五冠と呼んできたのですが、四冠となるのかどうか。

第4局は7月23日です。

羽生の攻めを受けきって勝つ強さかな

後手番の郷田八段が角を交換してから6四銀と構え、先手羽生棋聖は飛車を6八に
振ってから右の銀を4七から3六と出て、右辺から攻めて行きます。A図は後手4
一角と打ったところ。先手の右からの猛攻をなんとか防いでいるところに先手羽生
は左の銀を進出してさらに6筋方面からも攻めをつなごうというところ。後手の4
一角が受けにはぴったりの角打ちか。先手はこのあと4七金〜2八飛としてさらに
右辺から迫力の攻めにでます。後手は4一角と打った効果か、2三歩から局面をほ
ぐして反発していきます。とうとう羽生、攻め切れませんでした。
第2局は羽生もしょうがないかという納得の負けのような感じでしたが、本局は本
気で勝ちに出て勝てなかったという感じがします。それだけ郷田の差し回しが見事
であったということでしょう。この勝ち負けは大きい。これからの対局にも影響が
出るのではないかと思わせる一局でありました。羽生、五冠を守れるか、次局の戦
いが注目です。


第72期棋聖戦五番勝負第2局(6/26)

  挑戦者/棋聖  
八段    郷田真隆       1勝1敗
棋聖    羽生善治       1勝1敗

79手で先手郷田八段の勝ち

後手羽生棋聖は藤井システム、先手郷田八段は穴熊でした。
郷田が見事な攻めで羽生を粉砕。郷田、会心の一局でした。
これで1勝1敗のタイ。これからが面白い対戦になりそうです。

第3局は7月6日です。

・会心の一局を得て夏なかば

       A図                 投了図

郷田八段が思ったように指してそのまま勝ってしまった一局でした。反対側から見
ると羽生棋聖は不出来だったということでしょうか。そのへんはよくわからない。
A図は先手が▲5五歩と突いて出たところ。後手玉が3一に寄った瞬間を捉えて、
攻めて出ました。8六の角の筋を効かしての攻めです。A図から▽5五同角と取ら
せてから▲6六銀、▽3三角、▲5五歩、▽6五銀、▲同銀、▽同飛、▲5四銀、
▽5五飛、▲4三銀成りと流れるような手順の攻めですね。すばらしい。このあと
も攻め続けて勝利を手にしました。先手の8六角に後手が3一玉としたのが結果を
見ると、どうだったかという感じですが、そこはなんといっても「羽生」。大丈夫
と判断していたんでしょうね。3一玉がいけなかったのか、あるいはそのあとの指
し手に問題があったのか、私には判断できませんが、これで面白くなりました。


第72期棋聖戦五番勝負第1局(6/16)

  挑戦者/棋聖  
八段    郷田真隆         0勝1敗
棋聖    羽生善治         1勝0敗

105手で先手羽生棋聖の勝ち

後手郷田八段は8五飛戦法でした。中盤から激しい戦いになりましたが、先手羽生
棋聖が105手まで、まず1勝をあげました。

第2局は6月26日です。

・先勝にほのかな笑顔梅雨晴れ間

        A図                投了図

先手羽生棋聖横歩取り、後手郷田八段8五飛戦法で始まった本局、A図は52手目後
手から6九角と打って攻めて出たところです。この辺まで先例があるということで
びっくりしてしまいます。両者ともに承知で指していたんでしょうね。ここで先手
羽生は6七角。攻防の角打ちです。後手さらに5九銀打ちとからんで行きます。
そのあと▲4六桂、▽5五飛、▲4四歩と続きます。▽4四同歩としてから▲4二
歩、▽同金上、▲3四桂打とします。この辺の歩の使い方、なんとも絶妙ですね。
あとからも4筋に先手から歩を打つ局面が出てきますが、羽生の歩を使っての攻め
の作り方が印象的でした。先後が変わっての第2局はどんな戦形になるか興味深い
です。


第72期棋聖戦挑戦者に郷田八段(5/12)

5月12日、棋聖戦の挑戦者決定戦が行われました。
郷田真隆八段と深浦康市六段が決定戦まで勝ち上がって来たのですが、144手で郷田
八段が深浦六段に勝ち、棋聖戦挑戦を決めました。郷田八段は久しぶりのタイトル
戦登場ですね。2年ぶりくらいでしょうか。最近好調の深浦六段は大事な一局を落
としてしまいましたね。残念でした。

郷田八段と羽生棋聖の第72期棋聖戦第1局は6月16日です。

 


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